大企業の社員をベンチャー企業にレンタル移籍させるサービスを運営するローンディールが、新たに「4th place lab(フォース・プレイス・ラボ)」というプロジェクトを立ち上げ、参加者を募っている。締め切りは2021年8月15日(日)まで。
ラボのメンバー(研究生)に応募できる条件は「会社をはみだして、自分のやりたいことをカタチにしたい方」。元NHK番組制作ディレクターで「注文をまちがえる料理店」を手がけた小国士朗さんなどが発起人になっている。スタートは今年10月の予定だ。
2020年のグッドデザイン賞受賞企業が運営
運営会社のローンディールは「日本的な人材の流動化を創出する」をミッションに掲げ、人材育成・組織開発を支援する会社。主要事業のレンタル移籍「LoanDEAL」で、2020年のグッドデザイン賞(ビジネスモデル部門)を受賞している。
LoanDEALは、大企業の組織人材を一時的にベンチャー企業へ出向させることで、受入企業の事業開発力を強化しつつ、「働く人の能力の覚醒」と「大手企業のイノベーション創出のための人材育成」を図るサービスだ。
導入企業は、トヨタ自動車や三菱UFJ銀行、NTTドコモ、パナソニック、村田製作所、京セラ、サントリーホールディングス、大日本印刷、旭化成、朝日新聞社など50社を超え、移籍者数は150名にのぼる。
労働人口の減少や就労年数の長期化といった課題を踏まえると、適材適所を図る「人材流動化」は欠かせない。とはいえ、現在の勤務先を辞めてまったく新しい環境に飛び込むことは勇気が要るし、リスクも伴う。
そこでLoanDEALは「出向制度」を利用し、組織人材が在籍しながら外の世界を見る機会を増やすことで、個人の視野を広げ成長を促す手助けをしているという。
意外に多い「外の世界を見たい」人
ローンディール代表取締役社長の原田未来氏は、レンタル移籍事業を進める過程で分かったことがあるという。
「大手企業の中には『会社を辞めたいわけじゃないけど、外の世界を見たい』『もっと組織に貢献したいけど、どうやればいいかわからない』と考えている人が、想像以上にたくさんいます。そういう人たちが持っている大企業の基盤に、ベンチャー起業家のような創造性を加えて二刀流の人材になってもらう。こういう人材こそが、いま日本で求められているイントレプレナーではないでしょうか」
原田氏も4th place labの発起人のひとりであり、LoanDEALとともに、はみだす機会を通して、いきいきと働く個人を増やしていきたいと考えているという。
元NHKの小国氏が訴えるのは、組織に属しながら半歩「はみ出す」ことのメリットだ。小国氏自身、病気のために番組が作れなくなった後、人事の交換留学制度で大手広告代理店の電通へ出向。これをきっかけに新しい世界に触れることができた。
「会社をはみ出してみてよかったのは、初めて自分のいる場所を客観的に見られたこと。自分がいる職場がイケてる組織ということに気づいたし、その価値を世の中の人たちが評価してくれていることも分かってきました。
一人ひとりのはみだしは小さいかもしれないけど、たとえば20人集まれば、結構なことができる。そうやって世界を変えていけばいいんじゃないかなって。違うと思ったら、すぐに戻ることもできますし」
オンラインセッションを通じてやりたいことを形に
4th place labのプログラムは、週1回のオンラインセッションを中心に構成される。
メンバーは、会社に勤めながらやりたいことを少しずつ形にしていくために、「内省のグループワーク」「自分にできる小さな行動のアイディア出し」「ゲストや仲間からのアドバイス」「実践と振り返り」といったサイクルを1ヶ月単位で回していく。
また、特定の時間に利用できるリアルな交流の場を都内に開設することも予定されている。
参加費用は無料だが、自分のミッションやビジョンをあぶり出す「WILL発掘講座」の未受講者は1万円の受講料が必要だ。
コンセプトから残念ながら、フリーランスや自営業者、経営者は参加できない。社会人3年未満の会社員も、所属する組織の仕事に集中して欲しいという思いから、参加対象から外しているという。