2021年08月11日 12:21 弁護士ドットコム
知人男性から性的行為が条件の借金に同意してしまった。このような相談が弁護士ドットコムに寄せられています。
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相談者の女性は返済が完了するまで毎週、性的行為をすることを条件に知人男性から借金をしました。毎月の支払いが遅れそうな時も性的行為をすることで遅らせたこともあるようです。
男性は「返済が約束通りに為されない場合は相談者の両親に直接訴える」と言っているため、断ることもできずにいます。
仮に一度は同意した契約でも、その内容が法的に問題がある場合には、無効になることはあるのでしょうか。河野晃弁護士に聞きました。
――そもそも「性的行為を要求する」という貸付内容にも問題がありそうです。返済義務はありますか
このような契約は公序良俗違反(民法90条)により無効となる可能性が高いといえます。
公序良俗とは、もう少し簡単な言葉に置き換えると「一般的な良識や道徳」といった意味と理解していただければよいと思います。つまり、お金を借りるための条件として性行為を求めるという内容が性道徳に反するということになり、約束そのものが最初から効力がないものとされるということです。
合意が最初からないことになるのであれば、「渡したお金は返してくれ」と言われると思います。しかし、そもそもの貸付は不法原因給付(民法708条)にあたり、基本的には返さなくてよいということになります。
ただ、借主(女性)の方から積極的にこういった内容の合意に誘引したというような事情がある場合には返還義務は免れないという結論もありえるでしょう。
―― 相談者はお金を返済する意思はあるものの、性的な行為については拒否したいと考えています。しかし、相手方は断固として交渉に応じてくれないそうです。どのような対応法が考えられますか
もし私が相談者の代理人となったとすれば、前述したように「公序良俗違反により無効かつ、不法原因給付により返済義務がない」ということを内容証明郵便で送付します。そのうえで、相談者はお金の返済をする意思があるということを伝え、改めて性的な行為を含まない書面の作成を行うよう促すことになると思います。
さらに「親に直接訴える」などといって性交渉を強要してきていることがLINE等で残っているとのことですので、あまりにもしつこいのであれば、脅迫罪で告訴するといった方法を取ることも検討するでしょう。
【取材協力弁護士】
河野 晃(こうの・あきら)弁護士
兵庫県弁護士会所属。2010年弁護士登録。民事事件(中小企業法務・交通事故等)、家事事件(離婚・相続)、刑事事件など、多種多彩な業務を行う。趣味はゴルフ、野球など。日本一話しやすい弁護士を目指す。
事務所名:水田法律事務所
事務所URL:https://www.bengo4.com/hyogo/a_28201/l_137891/