レッドブルのモータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコ博士は、現在FIA-F2とDTMドイツ・ツーリングカー選手権に参戦するリアム・ローソンについて、近い将来のF1昇格の可能性を示唆した。
ニュージーランド出身で19歳のローソンは、ハイテックGPからF2に参戦して現時点でランキング8位につけており、DTMでは、レッドブル・AFコルセからアレクサンダー・アルボンのチームメイトとして初参戦を果たしている。
ローソンは初めてのDTMでのレースとなったモンツァの開幕戦レース1で優勝し、第2ラウンドが行われたラウジッツリンクでは2レースとも2位に入った。選手権のドライバーズランキングでは、いまのところケルビン・ファン・デル・リンデ(アプト・スポーツライン)に次ぐ2位につけている一方、アルボンは5位にいる。
「フェラーリをドライブしてモンツァのシーズン開幕戦で勝てたなんて、夢がかなった気分だ」と、ローソンは優勝後に語った。
「フェラーリと仕事ができたのも、僕にとってはすごく楽しい経験だった。F1では、レッドブルとフェラーリは競争相手なのに、ここでは一緒なんだからね」
「僕はすべてのレースに優勝するつもりで臨んでいる。もちろん、DTMでもチャンピオンになりたい。とても厳しい戦いになるだろうし、いま続いているシーズンのなかで学ばなくてはいけないこともたくさんある。それでも、僕たちはタイトルに挑戦できると確信しているよ」
マルコは、ニュージーランドのオークランドにあるラジオネットワーク『Newstalk ZB』に対して、「彼がF2からDTMに移ったのは本当に素晴らしいことだった」と語った。
「今度も素晴らしい仕事をしている。神様は彼に大変な速さと見事なマシンコントロールの能力を授けて下さった」
同時に、ローソンはレッドブルのオペレーションについても水面下でかなりの作業をこなしてきた。マルコが、ここ数カ月間の彼について最も驚かされたのはこの話についてのようだ。
「レッドブルとしては、精神面と肉体面で彼を教育することができる。しかし、それだけではなく、技術レベルでも準備させつつある」と、レッドブルの若手ドライバー育成プログラムのトップでもある78歳のマルコは述べた。
「ファクトリーでシミュレーター作業をするときでも、彼は膨大な作業をこなしている。これからの2週間、彼はミルトンキーンズのファクトリーに詰める予定だ。F1でどの程度戦えるのか、実際の昇格前にここで分かるだろう」
「リアムは堅実な男だ。非常に熱心に仕事をするし、誠実だ。自分がミスを犯したら、すぐにそれを認める」
「エンジニアたちともうまくやっている。自分の弱点を見つけたら改善に取り組むので、同じミスを繰り返すこともない。分析力が高いが、それは彼のパフォーマンス能力とはまた別だ。(プレッシャーに)うまく対処できる。そして、非常にどん欲な男でもある」
マルコは、F2でのローソンについて以下の点にも言及した。
「今年の彼は多少の不運に見舞われた。モナコのレース2で優勝した後、禁止されているスロットルマップをスタート時点で使用したということで失格になったのもそうだった」
才能あるニュージーランド人の前に、近い将来のF1昇格への道が開けているかどうかという点について、それは2022年にシートの空きが出そうかどうかによる、とマルコは語った。
「つねにF2やF3の先頭集団を走り、しかもDTMでベテランたちに交じって善戦しているのだから、彼はF1へ進む能力も素質も持っている」
「9月末が過ぎた時点で評価したい。ただし、もうひとつの問題は、そのシートが空くかどうかだ」
ローソンは、現在F1チームへのフル帯同や公式テストへの参加、といったことはしていない。彼にとって、F1昇格は今後考えるべき話なのだという。
「僕としては、まだそれについて話せることはない。まずやるべきは、F1スーパーライセンス取得に必要なポイントを稼ぐことなんだ。それまでは何も進められない。両選手権での戦いに集中するだけだ」と、ローソンは語っている。