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ETCR第3戦は初参戦フィリップ・エングがデビューウインの快挙達成。アルファロメオが1-2を記録

2021年08月10日 13:01  AUTOSPORT web

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第3戦はPURE ETCR Race DKとして、デンマーク・コペンハーゲン市街地で開催された
TCRデンマーク第3戦との併催で実施されたTCR規定採用の電動ツーリングカー選手権PURE ETCR(ピュアETCR)第3戦が、デンマーク伝統のイベント『コペンハーゲン・ヒストリック・グランプリ』の一部として8月6~8日に開催された。

 同イベントからステファノ・コレッティに代わりロメオ・フェラーリ-M1RAの『アルファロメオ・ジュリアETCR』をドライブしたフィリップ・エングが、公式練習から最速タイムを連発する速さを披露すると、そのままスーパーファイナルB組を制し、デビュー戦でいきなりの週末最多得点者“キング・オブ・ザ・ウイークエンド”を獲得する快挙を達成した。

 また、同じくA組を勝ち上がったルカ・フィリピ(アルファロメオ・ジュリアETCR)もスーパーファイナルを制し、アルファロメオ陣営がワン・ツーを達成するなど、開幕2戦を席巻したゼングー・モータースポーツXクプラへ反撃の狼煙を上げるパーフェクトな週末となった。

 例年も首都の旧市街が最大の盛り上がりを見せるという伝統のイベントに組み込まれ、ベラホイパークの特設ストリートコースで争われた電動ツーリングカー第3戦は、この市街地戦でも独創的なイベントフォーマットを堅持。各陣営2台のマシンを組み分けされた4名のドライバーでシェアし、A、Bの各プールから3台ずつのバトル、1台でのタイムアタックを勝ち上がったドライバーが、日曜6台で争うスーパーファイナルに進出する。

 しかし、2年越しの開催実現となったデンマークのフェスティバル戦は初日から天候の変化とレインシャワーの影響を受けフォーマット変更を余儀なくされ、3台ずつで争うバトル1は5周から4周へ、2台のデュエル方式によるバトル2も同じく5周から2周へと減算されることに。

 そんなコンディションのもと、The Draw(ザ・ドロー)でプールAとプールBの計6名ずつに組分けされた12名のドライバーたちは、初開催コースで追加セッションも設定された公式練習に臨むと、ヒュンダイ・モータースポーツNから参戦するジョン・フィリピ(ヒュンダイ・ヴェロスターN ETCR)がクラッシュを喫する一方、選手権首位の“クプラ・ブランド電動アンバサダー”ことマティアス・エクストローム(セアト・クプラ e-Racer)がA組最速、同じくB組ではジュリアのステアリングを握る初参戦エングがトップタイムをマークするなど、週末の趨勢を予感させる展開となる。

 ここで悪い流れを断ち切ろうと気を吐いたのが、今やヒュンダイの実質的エース格と目されるジャン-カール・ベルネイ(ヒュンダイ・ヴェロスターN ETCR)で、オリバー・ウェッブ(アルファロメオ・ジュリアETCR)と並んでプールAのバトル1を制すると、プールBでも続けとばかりに、アウグスト・ファーフス(ヒュンダイ・ヴェロスターN ETCR)が勝利を収め、アルファロメオのエングとともに15ポイントを稼ぎ出した。

■ファイナルラップで逆転、1.118秒差の接戦制したアルファロメオがスーパーファイナル初勝利

 最大500kW(約680PS)を発生する後輪駆動電動マシンのパフォーマンスを常用300kW(約408PS)設定とし、500kWを最長40秒間の“ブースト”として利用可能なデュエル方式のバトル2では、ルカ・フィリッピのジュリアがスタートゲートのピラーに接触し、修復作業でレース中断というアクシデントが発生したものの、続くヒートはシグナルスタートに変更しての継続に。

 結果、ゲートを破壊したルカ・フィリッピを含め、A組はベルネイとエクストロームが、B組ではファルファスと初代勝者ミケル・アズコナ(セアト・クプラ e-Racer)、そしてジョルディ・ジェネ(セアト・クプラ e-Racer)が勝利を収めた。

 明けた日曜朝のタイムトライアルでは、週末最初のセッションで最速を分け合ったA組エクストロームとB組エングが、順当にトップタイムを記録して各々スーパーファイナルのポールポジションを獲得。まずはA組でターン1のインサイドラインを守った2016年のWorldRX世界ラリークロス選手権チャンピオンがホールショットを奪う。

 そのまま7周レースで首位をキープし続けたエクストロームだったが、ファイナルラップのシケインでクプラのインサイドに飛び込んだルカ・フィリッピのジュリアは、ウォールと挟まれながらもドアをこじ開けると、わずか1.118秒差でフィニッシュラインを先行して逆転勝利。これがアルファロメオにとって初のスーパーファイナル勝利となった。

 続くB組は初参戦、初ポールシッターのエングが盤石のレース運びを見せ、2番手チルトンのヒュンダイを引き離す展開に。そのヴェロスターN ETCRも最終ラップを前にパンクで戦列を去ると、エングのアルファはジェネ、アズコナのクプラ艦隊に約2秒ものマージンを保った状態でトップチェッカー。デビュー戦のファイナルで完璧な“ライト・トゥ・フラッグ”の勝利を決め、いきなりの“キング・オブ・ザ・ウイークエンド”となった。

「素晴らしい週末になったね。誰もが懸命に働いたし、この結果に値する努力を重ねてきた。直前のテストではハードなメニューをこなし、いくつかの変更を加えたことがすべてを前進させるキッカケになったようだ」と、驚きとともに勝利の喜びを語った31歳のエング。

「直前に亡くなったアルド(・セルッティ/マネージング・ディレクターであるミケーラの父で、元レーシングドライバー)のことで、チームは非常に感傷的な時期でもあった。この勝利を彼に捧げたいし、すべてのメンバーに感謝したい。彼らのオープンな態度により、ここへ来たときには"新人"のような気がしなかったよ」

 この週末の結果により、エクストロームはランキング首位を維持して、2位のベルネイに対し34点差をキープ。続くETCR第4戦は8月20~22日の週末にハンガロリンクで争われる。