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5連勝中のトヨタ、WRC初開催のベルギーで今季7勝目を狙う。最終日の舞台はスパ・フランコルシャン

2021年08月07日 07:40  AUTOSPORT web

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WRCドライバー選手権をリードしている7冠王者セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)
WRC世界ラリー選手権に参戦しているTOYOTA GAZOO Racing WRTは8月13~15日、ベルギーで開催される2021年シーズン第8戦『イープル・ラリー』で今季7勝目に挑む。最高峰クラスに投入される3台のトヨタ・ヤリスWRCをドライブするのは、選手権リーダーのセバスチャン・オジエとランキング2位につけるエルフィン・エバンス、そして前戦エストニアで史上最年少優勝を達成したカッレ・ロバンペラの3名だ。

 また、TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムからは引き続き勝田貴元がトヨタ・ヤリスWRCで参戦するが、今戦では彼のコドライバーを務めてきたダニエル・バリットが第7戦で負った怪我の影響で欠場。代わってキートン・ウイリアムズとのコンビでラリーに臨む。

 2020年のWRC開催が新型コロナウイルスの影響で中止になったことから1年後しの開催となるイープル・ラリーは、ベルギーを代表する伝統のターマック(舗装路)ラリーだ。

 1965年に初開催されて以降、ERCヨーロッパ・ラリー選手権やIRCインターコンチネンタル・ラリー・チャレンジの1戦としても開催された高い人気を誇るイベントだが、WRCのカレンダーに加わったのは昨年が初めて。今季、改めて実施が決まった同ラリーはベルギーで行われる初めてのWRCイベントとなる。

 そんな今大会は、ラリーの名称にもなっているベルギー西部の都市イープルを中心に展開される。このラリーは農場内の幅が狭い道で競技が行われるのが特徴だ。その関係で峠道のようにコーナーが続くステージよりも、直線とジャンクション(曲がり角)が連続するステージが多い点が他のターマックラリーとは異なる。なお、ジャンクションでは多くのクルマがイン側の路肩にタイヤを落としながら走る“インカット”を多用するため路上には土や砂が撒かれ、その部分ではタイヤのグリップが著しく低下する。

 またコースの脇には排水溝や電柱がある他、道幅自体が狭いため小さなミスが大きなアクシデントにつながりやすい難しいラリーでもある。

 近年のイープル・ラリーにはヒュンダイ勢を中心に数名のWRCトップドライバーが出場している一方、トヨタのレギュラードライバーは全員が未経験。今回のラリーが初参戦となるため、ライバルとの経験差をいかに埋めるかが大きなテーマとなりそうだ。

 ラリーは13日(金)午後に競技がスタート。初日は同日夜にかけて8本のSSで争われる。翌14日(土)も8つのSS、最終日の15日(日)はF1やWEC世界耐久選手権の開催地として知られるスパ・フランコルシャンに移動し、同地を起点に4本のSSが行われる。最終SS20“フランコルシャン”はトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスポイントが与えられる“パワーステージ”となっている。

■出走順が早く、クリーンな路面を走れることが「自信につながるはず」とラトバラ代表

「WRC初開催となるイープル、そしてベルギーに行くことがとても楽しみだ」と語るのは、TOYOTA GAZOO Racing WRTのヤリ-マティ・ラトバラ代表。

「私自身は出場経験がないが、幅が狭い道を走るハイスピードなターマックラリーであることは知っている。イン側をカットして走るコーナーが多くあり、そのため大量のダートがステージ上にかき出される。ミスを冒しやすく、その代償も非常に大きいイベントであると理解しているよ」

「そのようなステージでの経験豊富なライバルを相手に戦うのは大変だと思うが、我々のクルマはターマックラリーで非常に競争力があるし、ドライバーたちもクルマに慣れている」

「また、我々は選手権でいい位置につけており、それによって出走順が早くもっともクリーンな状態の路面を走ることができることも、きっと自信につながるはずだ」

 僚友のエバンスに対してポイント差を37に広げて今戦に臨むオジエは、「非常にチャレンジングなラリーとして知られているので、初めて出場し、どのようなステージであるのかを探ることが楽しみ」と余裕も感じられるコメント。

 対するエバンスは、「ここ数戦は望んでいたような成績を残せていないので、何としてもいいリザルトを狙いたいと思う」と意気込む。

 エストニアで、ラトバラ代表が保持していたWRCの史上最年少優勝記録を塗り替えたロバンペラは「初勝利を待ち焦がれる必要がなくなったことは、もちろんうれしい。今はイープルをとても楽しみにしている」と語っている。