愛する妻への思いが多くの人に伝わる(画像は『TimesLIVE 2021年7月22日付「WATCH | ‘You are not alone’: Man braces cold to play music outside hospital for wife」(Image: Charlotte Barnard)』のスクリーンショット) 病院にいると、病気と闘っている辛さだけでなく家族にも会えず寂しさも募るものだ。帰る場所がある、待っている人がいるという希望は回復するエネルギーにもなる。このたび南アフリカのモッセルベイ(Mossel Bay)にある病院の外で、闘病中の妻のためにアコーディオンを弾く夫の姿が話題となっている。『TimesLIVE』などが伝えた。
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ルーカス・ドゥプリーズさん(66)は、妻のマリンダさんといつも一緒だった。7月に入ってから車で5時間ほどかけてケープタウンに向かい新型コロナウイルスのワクチンを打ったのだが、4日後にマリンダさんは体調を崩してしまった。マリンダさんの症状は悪化し、自宅から離れたところにあるライフ・ベイ・ビュー私立病院へ入院することとなり、ルーカスさんはマリンダさんに会えない状況になった。
マリンダさんが入院してからすでに3週間が経つ。結婚してから44年になるが、いつも一緒に過ごしていたマリンダさんとこんなに長い間離れていることはなかったという。顔を見ることができない、会いに行くこともできない、酸素マスクを装着しているマリンダさんは疲れるため電話で話すことすら難しい。そんな彼女にルーカスさんは音楽で思いを伝えようと決めた。幼い頃にアコーディオンを習い、趣味で演奏を続けていたルーカスさんにとって、アコーディオンを奏でることが一番だと思ったそうだ。
病院に演奏の許可を得て窓を開けてもらうように伝え、マリンダさんのいる病棟の近くに立ち、彼女が好きなゴスペルを含めた数曲を奏でた。ルーカスさんは「僕がその日来ることを妻は知らなかったけど、すぐに僕の演奏だと分かったはずだ。だって僕が演奏中、3回も着信があったから」と嬉しそうに述べている。
朝の凍えるような寒さの中、「あなたは一人じゃない」という思いを込めて演奏した音色に感銘したのはマリンダさんだけではなかった。ルーカスさんが病院に演奏の許可を取りに来た時に対応した女性は、その音色が聴こえると外に出て動画を撮り始めた。寒さと感動の涙で震えながら撮影した彼女は「友人と叔母がこの病棟に入院しているけど、彼女たちもこの曲を聴き勇気をもらったそうよ。会えないけれど、私たちがそばにいること、常に思っていることが伝わった」と話している。演奏を聴いた病院内の患者や医療従事者らからも、気持ちが前向きになるという絶賛コメントをもらった。
一度きりの演奏のつもりだったが、ルーカスさんは自分の演奏が人々を元気付けられると気づきその後も演奏を続けた。なおマリンダさんは現在回復に向かっており、ルーカスさんは許される限りマリンダさんの退院まで演奏を続けたいそうだ。
この演奏の動画は反響を呼び、ニュージーランドやオーストラリアからもマリンダさんの回復を祈るコメントが届いた。ルーカスさんが送った妻への小さな優しさが他の人の心にまで届いていることに、ルーカスさん自身も感動しているという。
画像は『TimesLIVE 2021年7月22日付「WATCH | ‘You are not alone’: Man braces cold to play music outside hospital for wife」(Image: Charlotte Barnard)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)