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メルセデスF1とハミルトン、モータースポーツにおける多様性の向上を目指し共同慈善活動『Ignite』を立ち上げ

2021年07月28日 08:11  AUTOSPORT web

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メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チームの代表を務めるトト・ウォルフとルイス・ハミルトン
7月27日(火)、メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チームとルイス・ハミルトンは、モータースポーツにおける多様性と包括性を支援するための共同慈善活動『Ignite』を立ち上げたことを発表した。

 メルセデスの発表によると、Igniteは、モータースポーツ業界とチームの発展に向けた共通のビジョンの一環として、モータースポーツ業界の一員となることを目指してより多様な才能ある人材のためのパイプラインを増やすこと、STEM教育(科学、技術、工学、数学)を通してモータースポーツへの熱意を呼び起こすことに焦点を当てていくという。これらの活動は、2020年6月に創設されたハミルトン・コミッションの提案に基づいたものだ。

 Igniteの活動は多岐にわたり、エキサイティングで刺激的なSTEMカリキュラムの開発、STEMやモータースポーツに関する教育機会の充実、またSTEMやモータースポーツでのキャリアに進みたいが手段のない才能ある学生への経済的な支援などが含まれる。

 今後Igniteはまず初めにメルセデスF1とハミルトンが設立した数百万ドル規模の基金から資金を調達することになる。その後はメルセデスF1とイギリスのモータースポーツ業界に対し明確な成果をもたらすために、ハミルトンの個人財団『Mission 44』と密接に連携しながら取り組んでいくということだ。

 ハミルトンは、Igniteの活動がモータースポーツ界に目に見える変化をもたらすだろうと語った。

「メルセデスは、モータースポーツ業界における多様性と包括性を向上させたいという僕の野望を長年にわたってサポートしてくれている。Igniteを通じて正式に協力できることになり、非常に嬉しく思っている。どの業界にとっても、多様な人々がいることはより多くの成功を収めるだけでなく、道徳的に正しいアプローチだ」

「ハミルトン・コミッションの調査結果は、僕たちが活動を始めるための素晴らしい基盤となった。Igniteは、モータースポーツ界に実際に目に見える変化をもたらすと自信を持っている」

「15年間、僕はF1における数少ない黒人のひとりだった。メルセデスとの取り組みが、この状況を良い方向に変えていくことを誇りに思っている」

 またメルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ウォルフは、これらの取り組みを通じて将来の世代の人々がモータースポーツ業界でキャリアを積んでいくことを期待していると述べた。

「ようやくIgniteの計画について話ができることを嬉しく思う。今年の初めにルイスと共同プロジェクトを立ち上げると発表して以来、我々の目的やミッションを明確にするため、舞台裏では多くの取り組みや議論が行われてきた」

「モータースポーツを開放し、より多様で包括的なチームになることは我々チームの価値観の基本だ。メルセデス・ベンツの全面的な支援のもとで、社会にポジティブな影響を与え、将来の世代がこの素晴らしいスポーツに参加して楽しむことができるプラットフォームを構築することを約束する」

「これらのプラットフォームを通して、マイノリティのグループからより多くの才能ある人々が我々のチームに参加し、より広いモータースポーツ業界でキャリアを積むことを期待している」

 ハミルトン・コミッションはイギリスのモータースポーツ業界において黒人の人材が少ないことについて長期的な調査を行い、採用などを妨げていた要因を特定した。一方でF1は、マイノリティの人々を対象に奨学金やインターンシップ、実習などを行う予定であることを発表。このプログラムは『#WeRaceAsOne』キャンペーンと、F1の元CEOであるチェイス・キャリーが個人的に資金を出した基金の上に成り立っており、F1に参戦する全10チームからのサポートがあるという。