アニメ映画「岬のマヨイガ」の完成披露舞台挨拶が本日7月27日に、東京・イイノホールにて開催された。
【大きな画像をもっと見る】8月27日に公開される「岬のマヨイガ」は、東日本大震災の被災地を舞台としたアニメ3作品を制作する「ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10…」のうちの1作。イベントにはある事情で家を出てきた17歳の少女ユイ役の芦田愛菜、両親を事故で亡くしたショックで声が出せなくなった8歳の少女ひより役の粟野咲莉、そんな2人を家族のように迎え入れ岬に建つ古民家“マヨイガ”でともに暮らす不思議なおばあちゃん・キワさん役の大竹しのぶ、そして監督を務めた川面真也が登壇した。
芦田は冒頭で「映画を観ていただいた方に、何気ない日常にある小さな幸せも素敵だなって思っていただけたらうれしいです」とこの日集まった観客へ挨拶。川面監督は制作が2017年頃からスタートしていたことを明かし、「コロナの状況もあって、作品を作るのもままならないような時間もありました。スタッフがコツコツと積み重ねてできた作品です。今日皆さんに観てもらえるところまできてすごくホッとしていますし、うれしいです」と笑顔を見せた。
大竹は芦田と大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」に一緒に出演していたことを振り返り、「こんなに立派になってびっくりしました」と、当時まだ小学生にもなっておらず、楽屋で無邪気にはしゃいでいたという芦田の成長に驚く。芦田も「おぼえていてくださって光栄です」と喜び、「今度は、お芝居の現場で一緒に演技させていただきたいです」と共演を希望していた。
印象に残っているシーンの話題では、芦田と粟野が食事シーンを挙げる。芦田は「ユイがずっと美味しい美味しいと言っている。ご飯ももちろん美味しいと思うんですけど、それ以上にみんなで会話しながら食べるご飯が美味しく感じるってことなのかな」と、温かな雰囲気の食事の様子に小さな幸せを感じたことを話した。それを聞いた川面監督からは「料理は盛岡で活躍されている研究家の方にアイデアをいただいてこだわりました」と制作の裏話も明かされた。
「観ていたらお腹が空いてきそうになっちゃう」と登場する食べ物を絶賛した粟野は、さらに“ふしぎっと”と呼ばれる妖怪たちも注目してほしいと続ける。「みんなかわいくて、一人ひとり個性があってとても面白い」と彼らを紹介し、無邪気な笑顔を振りまいていた。大竹は劇中の美麗な岩手の景色が印象に残ったそうで「さっき監督に『あの場所は?』って聞いたら全部、岩手にロケハンして描いたと聞いて、岩手に行きたくなりました。こういう状況でなかったら岩手の皆さんにも会いたかったです」と作品の舞台に思いを寄せた。
物語終盤の粟野のある芝居が気に入っているという川面監督。「その演技のおかげで映画が締まっている。狙っていたことではあるんですが、それ以上にいい芝居をいただいて、そこがすごく自分でも好き」と細かい演技も楽しんでほしいとメッセージを送った。
また舞台挨拶の中で、サンドウィッチマンの2人が河童役で映画に出演していることも発表。会場ではサンドウィッチマンからのメッセージ映像も上映された。バラエティ番組で2人と共演する芦田は、収録を振り返り「2人のアドリブがすっごく面白くて、セリフを忘れそうになっちゃいました(笑)」と、演技の感想を話した。
最後の挨拶では大竹が「スタジオではお話が苦手な監督さんが、今日は本当に幸せそうな顔をしているのが印象的でした」とイベントを振り返る。川面監督は「重たいものも抱えている作品」と前置きしながら「映画としては観終わった後に、少しでも遠くを見れるような気持ちになれたらいいなと思って作りました。楽しんでもらえたら幸いです」と作品に込めた思いを伝えた。
■ アニメ映画「岬のマヨイガ」
2021年8月27日(金)全国ロードショー
□ スタッフ
原作:柏葉幸子「岬のマヨイガ」(講談社刊)
監督:川面真也
脚本:吉田玲子
キャラクターデザイン原案:賀茂川
ふしぎっとキャラクター原案:丹治匠
キャラクターデザイン・総作画監督:清水洋
美術監督:畠山佑貴
色彩設計:水野愛子
CGディレクター:高野慎也
撮影監督:渡辺有正
編集:長谷川舞
音楽:宮内優里
音響監督:木村絵理子
録音調整:内田誠
音響制作:東北新社
統括プロデューサー:高瀬透子
プロデューサー:松尾拓、竹枝義典、岩崎紀子
制作:david production
製作:「岬のマヨイガ」製作委員会
配給:アニプレックス
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業) | 独立行政法人日本芸術文化振興会
□ キャスト
ユイ:芦田愛菜
キワさん:大竹しのぶ
ひより:粟野咲莉
(c)柏葉幸子・講談社/2021「岬のマヨイガ」製作委員会