やけに人懐っこいアザラシ(画像は『LincolnshireWorld 2021年7月21日付「‘Hello? Police? There’s a seal on my patio’: Billinghay resident explains bizarre morning call to Lincolnshire cop」』のスクリーンショット) 今月20日、イギリスの警察に「庭にアザラシがいる」と朝から奇妙な通報が入った。発見者の自宅は海から30キロ以上も離れた場所にあり、芝生の上で気持ちよさそうに日向ぼっこをする姿に驚いたという。以前にも迷子になった前科があったというこのアザラシは、今回も無事に群れのいる場所へ返されたと『LincolnshireWorld』などが伝えている。
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英リンカンシャー州ビリングヘイ在住のアン・ペイジさん(Anne Page、72)は今月20日午前7時半過ぎ、庭の植物に水をあげようとするといつもと違う光景があったという。
なんと芝生の上で日向ぼっこをしてくつろぐアザラシと目が合ったのだ。アンさんの自宅は海岸から20マイル(約32キロ)も離れた場所にあり、アザラシが庭に現れるにはあまりにも遠かった。
「驚いてじょうろをその場に置いて一度家の中に戻りましたが、見た光景がとても信じられず、もう一度外に出て確認しました」と話すアンさんは、すぐに息子のロブさん(Rob、48)に電話をして助けを求めた。
ロブさんは「普段目にすることのない光景に、母はとても驚いていましたよ。すぐに英国動物虐待防止協会(以下、RSPCA)やアザラシの保護区に連絡しましたが、繋がりませんでした。警察官の友人がいたので相談したところ、駆けつけて対応してくれました」と当時の状況を明かした。
メスのハイイロアザラシと判明したこのアザラシについてロブさんは「非常に飼いならされている様子で、とてもリラックスしていましたね。最初は日向にいましたが、私が到着した頃には気温が上がり、日陰に移動していました」と話している。
ロブさんから連絡を受けた警察で野生動物担当官のマーティン・グリーンさん(Martin Green)は当初、ロブさんにからかわれていると思ったそうだ。
マーティンさんは「私が現場に着くまで、逃げ出さないようにしてください」とアンさんに伝えてもらい、RSPCAのスタッフと共に現場に到着すると木陰で休むアザラシを見つけたという。
アンさんは「アザラシと距離を取りながらイワシをあげてみましたが、トマトソースに浸かったものは嫌だったみたいです。警察官が到着すると、RSPCAのスタッフと一緒に板を使ってケージの方へ誘導していました」と振り返っている。
のちにこのアザラシは近くを流れるスカース川で頻繁に目撃されており、地元で“ダンディ(Dandy)”と呼ばれて親しまれていたことが分かった。
スカース川は海と繋がるウィザム川の支流であり、ダンディは海からウィザム川をひたすら泳いでスカース川までたどり着いたようだ。しかしこの時期のスカース川には水が少なく、川幅は8フィート(約2.4メートル)、水深はわずか1.5フィート(約45センチ)しかなくアザラシには適さないので、ダンディはこの川を迂回するためにアンさんの自宅の庭に現れたのではないかとみられている。
RSPCAにはダンディの目撃情報が何件も寄せられているが、いつ行ってもスタッフはダンディを見つけることができなかったという。しかし過去に一度ダンディは迷子になったことがあり、RSPCAが救出したという記録が残されていた。
アザラシに異常がないかどうか確認したマーティンさんは「ダンディは年齢のわりには良い状態でした。体重は恐らく60~70キロくらいあったと思いますね。RSPCAスタッフの車に積んでいたケージに乗せるときは苦労しました」と明かした。
健康状態などに問題無いことが確認されたダンディは、ビリングヘイから南東に位置するウェルランド川下流のハイイロアザラシの群れが生息するフォスダイク橋近くに放たれたという。
マーティンさんは「今回の出来事は非常に珍しいですよ。これまで23年間警察で働いてきて、3頭のアザラシを対処したことがあります。アザラシを見つけた際には、近寄ることはお勧めしません。代わりに専門家へ連絡してください。噛まれると酷い傷痕が残ります」とコメントしている。
画像は『LincolnshireWorld 2021年7月21日付「‘Hello? Police? There’s a seal on my patio’: Billinghay resident explains bizarre morning call to Lincolnshire cop」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)