2021年07月22日 10:01 弁護士ドットコム
選択的夫婦別姓制度の実現を求める声が止まらない。
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最高裁大法廷は6月23日、夫婦同姓を義務付けた民法などの規定は憲法に違反するなどと、事実婚の夫婦3組が訴えた家事審判の特別抗告を退けた。翌6月24日にも、最高裁第一小法廷が、ソフトウェア開発会社「サイボウズ」の社長、青野慶久さんら4人による上告を棄却している。
最高裁は今回、「国会で論ぜられ、判断されるべき事柄のほかならない」として、国会の立法裁量に委ねた。これは夫婦同姓を合憲とした2015年判決を踏襲したもので、選択的夫婦別姓を求める人たちに再び、「厚い壁」が立ちはだかったかたちだ。
しかし、最高裁の決定後も、地方議会では、国会に選択的夫婦別姓の導入を求める意見書の可決が相次いでいる。また、青野さんらの代理人である作花知志弁護士によると、「2次訴訟」を検討しているという。
地方議会に働きかけをしている「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」によると、6月23日の最高裁決定後、少なくとも11の地方自治体で国会に対して選択的夫婦別姓導入のための民法改正や、国会審議の推進などを求める意見書が可決されている(7月21日現在)。
都道府県レベルでは、まず埼玉県議会が7月2日、国会審議の推進を求める意見書を可決した。意見書では、6月23日の最高裁の決定にも触れ、「国の基本である戸籍制度を堅持しつつ、選択的夫婦別姓制度に関し、その意義や必要性並びに家族生活及び社会生活への影響について、社会に開かれた形で議論を進めていく必要がある」としている。
この意見書をめぐっては、最大会派である自民党県議団も賛成にまわったことから、注目を集めた。続いて、北海道議会でも7月3日、国会での議論活性化を求める意見書を最大会派の自民党を含めた全会一致で可決した。
最高裁で相次いで棄却されているのは、2018年に提訴された複数の夫婦別姓訴訟だ。最高裁の決定は2015年の最高裁判決を踏襲しているものの、今回の夫婦別姓訴訟は異なる波が起きていると、作花弁護士は指摘する。
「2015年の最高裁大法廷の判決のときは、国会がまったく動かなかったのですが、今回は私たちの提訴や、ほかの方々の提訴後に、国会がかなり動くようになり、自民党内部でも、賛成派が多数なのではないか、と思える状態になりました」
作花弁護士は、自民党の稲田朋美衆院議員が、これまで同様にファミリーネームは一つでありながら、希望すれば婚前の姓を名乗れる制度の導入を提案していることについて触れ、国会の動きに注視しているとした。
「稲田議員は、私たちが訴訟で提案していた戸籍法上の別姓を元にした法律案を提案しています。また、公明党も次の衆院選の公約に選択的夫婦別姓の導入を入れると発表しました。自民党も動きがあるのではないか、と期待しています。
少子化の影響で、以前は別姓反対派だった自民党の支持者から、早く別姓にしてくれと陳情が来ているそうです。そのような次第ですので、しばらくは国会の動きを見て、別姓法案が成立するかどうかを見極めたいと思います」
一方で、作花弁護士は、国会の動向次第によっては、再び青野さんらを原告とした「第2次訴訟」の提訴を検討していると明らかにした。