2021年07月22日 09:41 弁護士ドットコム
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で住まいを失った人のため、東京都では一時滞在の場として、ホテルを提供する制度をもうけている。
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だが、東京五輪期間中、新たにホームレス状態になる人たちの先行きは不透明だ。
開幕直前に、東京都の制度を利用していた約120人がホテルから退去することになったからだ。宿泊需要の高まりが背景にあるとされている。
ホームレス状態になるおそれのある人がホテル利用に行き着くためには、どのような支援制度に頼ることができるのだろうか。
支援団体でつくる「新型コロナ災害緊急アクション」事務局長の瀬戸大作さんに状況を聞いた。
東京都は、住居を失った人に主に2つの方法で、一時宿泊ができるホテルを提供している。
1つは、生活保護を申請した人が1カ月程度利用できる「協議済みホテル」(都が協定を結び、区市に紹介しているホテル)。もう1つは、支援窓口「TOKYOチャレンジネット」を通じた一時宿泊場所のビジネスホテルだ。
しかし、後者のチャレンジネットを通じてホテルに滞在していた約120人が退去期限を迎えて、7月12日にホテルを一斉に後にした。
一時住宅への移行や、生活保護に切り替える人もいるが、約90人以上は行き先が決まっていないという(12日現在)。
支援団体によれば、生活保護の窓口となっている福祉事務所は、ホテルではなく、相部屋の無料低額宿泊所の利用をすすめるケースが少なくない。
しかし、新型コロナの感染不安から、相部屋を避け、路上生活を選ばざるをえない人もいるそうだ。
路上生活者の増加を懸念して、瀬戸さんたち支援団体は、7月中に2度、東京都に対して、ホームレスなど住居喪失者の住まい確保を緊急要請した。
この要請に、東京都は7月16日、生活保護申請者向けの「ホテルの確保」は十分と回答した。また、チャレンジネット利用者がホテルに戻ることを求めた場合にも、必要に応じて対応するという。
それでは、実際のところ、東京五輪期間中に新たに住まいを失った人たちは、どうすればよいのだろうか。困窮者の同行支援を続ける瀬戸さんは「ホテルには空きがあると聞いています」と話す。
生活保護の申請時、福祉事務所によって、ホテル提供の判断に違いはあるので、必ずしもホテルにたどりつけるとまでは言い難いものの、部屋数が足りていないことはないようだ。
住まいを失った人にホテルを一時的に提供するという制度は、新型コロナ禍の2020年に東京都が独自に設けたもの。支援団体も、この取り組みに一定の評価をしている。
ただし、ここにはジレンマもあるという。
「個室のホテルで生活する困窮者のなかには、交流が失われ、孤立することで体調を崩す方います。コロナ禍でなければ、無料低額宿泊所を利用してほしいという気持ちもあります」
もちろん、ホテルも無料低額宿泊所も、あくまで一時滞在の場に過ぎない。仕事を得て、安定した生活を送る基盤となるのは、住宅の確保が課題となる。
なお、住まいを失った人に向けた情報が、緊急要請の呼びかけ人によってまとめられている。