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呂布、ノストラダムス、シモ・ヘイヘ……『終末のワルキューレ』人類代表を全解説

2021年07月22日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『終末のワルキューレ』

 終末を賭けた人類代表vs神代表のタイマン十三番勝負を描く、究極のバトル漫画『終末のワルキューレ』。筆者はコミック1巻のラストで発表された人類代表一覧を見て、思わず胸を高鳴らせた。しかし勢揃いした代表の中には、名前のみ知る者や初見の者がいる読者も多いだろう。本作はキャラ設定が実在したモデルのエピソードを軸としているため、前情報を頭に入れておくとより楽しめる仕様になっている。そこで本稿では我らが人類の命運を握る「神殺しの13人(エインヘリャル)」の、モデルとなった人物を一挙に紹介していく。


参考:神様VS人類のタイマン描く『終末のワルキューレ』はなぜ面白い? バトルを盛り上げる「堅実なハッタリ」の巧さ


1.呂布奉先


 呂布奉先は群雄割拠の古代中国を舞台とした、「三国志」最強の武将だ。三国志から1000年以上経過した明の時代に書かれた「三国志演義」では、身長は一丈(約230cm)あり、愛馬である「赤兎馬」に跨った勇猛な姿で描かれている呂布。しかし彼は三国志では狡猾な裏切り者として知られている。ただし武人としての強さはやはり尋常では無く、愛馬と共に「人中に呂布あり、馬中に赤兎あり」と称されるほどだった。


2.アダム


 アダムは創造主であるヤハウェ・エロヒムによって造られた、人類の始祖である。地面の土を元に造られ、エデンの園に置かれたアダム。ヤハウェは彼に「ここのある木の実は食べていいが、『善悪の知識の木』の実だけは食べてはいけない」と話す。しかしヤハウェに様々な動物や妻となるイヴを与えられたアダムは、ヘビに唆されイヴと共に「善悪の知識の木」の実を食べてしまった。こうしてアダムとイヴはエデンの園から追放されてしまったのだった。


3.佐々木小次郎


 現代でも宮本武蔵のライバルとして知られる、佐々木小次郎。佐々木小次郎は腕の立つ剣豪で、身の丈ほどある愛刀「備前長船長光(通称“物干し竿”)」を携えていたと言われる。巌流島で武蔵と決闘する運びとなった小次郎。しかし決闘の場で2時間も待たされ鞘を捨てたことを敗北の予兆と指摘された彼は、冷静さを失い敗北したと伝えられている。得意技は振り下ろした刀を瞬時に斬り上げる「燕返し」。


4.ジャック・ザ・リッパー


 ジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)は1888年のロンドンで犯行を繰り返した、正体不明の連続殺人鬼だ。娼婦ばかりを複数人殺害しており、喉と腹部を切る犯行方法が特徴であったジャック・ザ・リッパー。その残虐な行いと報道機関の大々的な報道から、彼は世界で1番有名な殺人鬼となった。


5.雷電為右衛門


 日本の国技である相撲。その相撲界の頂である大相撲の歴史で、史上最強と謳われる力士が雷電為右衛門である。江戸時代では類を見ない巨体に恵まれた雷電には、強すぎていくつかの決まり手が禁止されていたという「禁じ手伝説」など、様々な伝説も存在した。彼の勝率「9割6分2厘」は、未だ破られていない歴代トップ記録である。


6.始皇帝


 始皇帝は中華統一の偉業を果たした、中国の初代皇帝だ。本名は嬴政で、13歳で秦国の王に即位した始皇帝は、他の6国を討ち滅ぼし紀元前221年に史上初となる中国全土の皇帝の位置に座った。史記では「目的の為なら下手に出るが、性格は虎狼のように残忍」と語られており、相当な暴君であったと予想されている。


7.レオニダス王


 古代ギリシアで繁栄した、スパルタ国の王として君臨していたレオニダス1世(レオニダス王)。当時のギリシャ都市国家はペルシアからの侵攻に耐える、ペルシア戦争の真っ最中だった。そして「王が死ぬか、国が滅びるか」と信託を受けたレオニダス王は覚悟を決め、僅かな兵のみ引き連れ自ら戦地へと赴く。そのためレオニダス王はスパルタ一の英雄としてその名を轟かせている。


8.ニコラ・テスラ


 ニコラ・テスラは19世紀中期から20世紀中期まで活動していた、天才発明家である。主に電気や電磁波の技術発展に大きく貢献しており、磁束密度の単位「テスラ」にもその名が用いられている。電流戦争ではあのトーマス・エジソンにも勝利したテスラ。彼は長身の美男子で、極度の潔癖性としても知られている。


9.沖田総司


 沖田総司は幕末の世に名を轟かせた、新撰組の一番隊組長を務めた男だ。彼は剣術の達人で、一説には土方歳三や山南敬助はもちろん、師範である近藤勇にも本気の対決であれば勝利するだろうと語られている。性格は明るく冗談も言う青年だったと伝えられており、子供好きとしても知られていた。得意技は瞬速の「三段突き」。


10.グリゴリー・ラスプーチン


 “ロシアの怪僧”と呼ばれる謎多き祈祷師、グリゴリー・ラスプーチン。元々農民として生活していた彼は、突如聖母マリアの啓示を受けたとして修行僧となる。帝政ロシア末期、祈祷によりアレクセイ皇太子の治癒を行ったラスプーチンは、皇帝夫妻から絶大な信頼を得た。その後帝政にまで影響を及ぼす存在となるも、その不潔な風貌や言動から周囲は懐疑的で、歴史的な人物評も極めて低い。


11.ミシェル・ノストラダムス


 ミシェル・ノストラダムスはルネサンス期のフランスで活躍した、医師、占星術師、予言者である。元々は医師として活躍していたノストラダムスだが、後に占星術を元にした予言集『ミシェル・ノストラダムス師の予言集』を発行するなど、予言者としても活動を始める。この予言集の内容は日本でも大きな話題となり、1999年の日本人は世界の行く末を静かに見守っていた。


12.シモ・ヘイヘ


 フィンランドとソビエト連邦の間で起こった冬戦争で活躍したフィンランド軍人、シモ・ヘイヘ。彼は小柄な体躯ながら凄腕スナイパーとして名を轟かせ、史上最多の542名射殺の記録を残している。また敵であるソビエト赤軍にもその存在は伝わっていたとされ、彼らからは“白い死神”と呼ばれ恐れられていた。


13.坂田金時


 幼名である「金太郎」で馴染みの深い坂田金時。童話でもお馴染みの熊と相撲をとるほどの怪童であった金太郎は、源頼光に見出され家来となる。その後「坂田金時」と名を改めた彼は、頼光四天王の一角を担う武人となった。酒呑童子討伐伝説でも有名な金時。しかし彼の場合は、実在したのか諸説ある人物として記録されている。


 人類に終末をもたらす神に対抗する、最強の戦士として選ばれた13人。中には武闘派では無い人物がいるのも、興味をそそる。テスラは神相手にどのような戦い方をするのか、日本では世界滅亡を予言したとされているノストラダムスは終末を決断した神に何を感じるのか。人類に待ち受ける結末はもちろん、今後の各バトルからも目が離せない。(青木圭介)