トップへ

ヤマハ「トレーサー9 GT」がフルモデルチェンジ! どう変わった?

2021年07月21日 11:32  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
近年、各メーカーが新モデルを投入するなど人気が高まっているアドベンチャーバイク。コロナ禍において移動手段やレジャーとしてあらためてバイクの価値が見直されており、今後も要注目のセグメントだ。そんな中、7月28日にはヤマハ発動機の「トレーサー9 GT」が発売となる。いったい、どんなバイクなのだろうか。一足先に試乗してきた。

○快適性と利便性を両立させるこだわりの作り込み

2015年に「MT-09」ベースのスポーツツアラーとして登場した「MT-09 トレーサー」から数えて、今回の新型で3世代目となる「トレーサー9 GT」。2018年のマイナーチェンジで「トレーサー900」に名称を変更していたが、今回のフルモデルチェンジを機に再び名を改めた。

同シリーズでヤマハは、一貫してスポーツ性能とツーリング性能の両立を目指してきた。「トレーサー9 GT」では「Multirole fighter of the motorcycle」をコンセプトとし、よりスポーツの刺激を高めつつ、多用途性を向上させるべく開発を進めたという。イメージしたのは、装備変更によって陸海空のさまざまな任務を遂行する戦闘機(マルチロール機)だ。

刺激的な走りを実現させるため、ヤマハが着目したのは骨格だ。エンジンや6軸IMUなど、新型「MT-09」と共通のパーツを採用している部分が多いトレーサー9 GTだが、骨格は大きく異なる。

リアフレームはスチールパイプ性を採用。荷物を積載しながら高速走行するツーリングシーンなどを想定し、直進安定性を高めた。専用設計のアルミロングリアフレームは、新型MT-09に対して60mm長く作ってある。フレームヘッドパイプ手前のステーやシリンダーヘッド左右のエンジンマウントには専用チューニングを施し、剛性バランスを最適化した。

前後のサスペンションは、走行状況に応じて最適な減衰力を発揮するKYB製の電子制御式だ。路面をグリップするタイヤは、ブリジストンとの共同開発で専用チューニングを施した「バトラックス スポーツツーリング T32」を採用している。

これらによって、「トレーサー9 GT」は刺激的な走りと安定性を高次元で両立させることに成功したという。

「トレーサー9 GT」は多用途性を高めるため、純正アクセサリーのトップケースと両サイドケースの計3バッグを積載できる仕様となっている。サイドケース取り付けステーは、車体と振動を切り離すダンパー内蔵構造とした。これにより、積載時の高速安定性が高まるとともに、非積載時と比べてハンドリング変化の少ない旋回性が実現するそうだ。

LEDコーナリングランプは、夜間走行時の視認性向上に寄与する新開発のアイテムだ。一灯タイプのコンパクトなLEDだが、バンク角に合わせて光量が変化するため、旧モデルと比べて視認性は圧倒的によくなっている。

試乗した印象としては、「MT-09」と比べて車体重量が重い分、どうしても走り出しに若干の重苦しさを感じた。ただ、スピードに乗ってくると、どっしりとした走りが逆に安心感をもたらしてくれる。「MT-09」譲りの走りは快適そのもので、ワインディングなども果敢に攻められるだろう。

乗ってみて実感できたのは、大型スクリーンによる疲労軽減効果だ。例えば直線走行でアクセルを全開にしても空気抵抗が少なく、試乗を終えた後もあまり疲れを感じなかった。この恩恵は、長距離走行であればより大きくなるはずだ。

安藤康之 あんどうやすゆき フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。twitter:@andYSYK。 この著者の記事一覧はこちら(安藤康之)