メルセデスのトラックサイドエンジニアリングディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは、F1第10戦イギリスGPで赤旗が出ていなければ、ハミルトンはホイールリムのダメージのせいでリタイアするところだっただろうと述べている。
日曜日のレースのオープニングラップでは、コプスコーナーでハミルトンの左フロントのホイールが、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のマシンの右リヤに当たり、ふたりはクラッシュした。これにより、フェルスタッペンのマシンはコース外のタイヤバリアに激しく衝突。レースコントロールはマシンを安全に戻し、マーシャルがバリアの修復作業を行うことができるよう賢明にも赤旗を出した。
その後メルセデスがハミルトンのマシンを調べたところ、左フロントのホイールリム以外にダメージはほとんどなかった。
「接触があった左フロントのリムが損傷していたので、赤旗が出なければリタイアとなっていたかもしれない」とショブリンはレース後に語った。
「だがその他のダメージは実際のところ非常に少なかった。タイヤ温度センサーが緩んでぐらついていた。驚きだが、それはフロントウイング上の最も重要度が低いパーツであり、唯一壊れたものだった」
衝突を引き起こしたとして、レースのリスタート時にハミルトンには10秒のタイムペナルティが科された。ハミルトンは27周目にミディアムタイヤからハードタイヤに変更する際に、ペナルティを消化した。
コースに戻ったハミルトンは5番手で、マクラーレンのランド・ノリスのすぐ後ろだが、レースリーダーのシャルル・ルクレールには35秒の差をつけられていた。その時点でショブリンは、メルセデスのストラテジストから、2周を残すところでハミルトンはルクレールに追いつくだろうと知らされた。だがハミルトンは自身が優勝できると確信するのに多少時間がかかった。
「レース中に予測をその場で行っているストラテジストの言葉から、我々はあと2周のところで彼(ルクレール)に追いつくと考えていた」とショブリンは説明した。
「確かにそうなるだろうと思ったのはあと5周くらいのところだ。通常はタイヤの磨耗が見られるころだが、ルイスは毎周回でシャルルに対し0.8秒のアドバンテージを維持していた」
「ルイスはペースを落とさなかったし、バランスも良かった。正直なところ、ルイスが無線で話しているその声から聞き取ることができた」
「彼が自分の頭のなかにあると分かっているスイッチを入れるだけだ。今日彼はそうした。正直に言えば、ピットウォールに座ってあのファイナルスティントの展開を見るのは素晴らしいものだった。なぜならそれは見事だったし、当然の勝利だったからだ」