2023年シーズンのWEC世界耐久選手権ハイパーカークラスに、ル・マン・ハイパーカー(LMH)規定の車両で参戦するとしているフェラーリは、この将来のハイパーカーがプロトタイプカーとして製作され4輪駆動のハイブリッドマシンになることを確認した。
フェラーリのコンペティツィオーネGT部門の責任者であるアントネッロ・コレッタは、イタリアの高級スポーツカーブランドが新しいプロトタイプレース・プロジェクトのために、『トヨタGR010ハイブリッド』や『プジョー9X8』と同様のコア・ビークル・アーキテクチャを採用したとSportscar365に語った。
フェラーリは今年2月にLMHへの参入を発表したが、純粋なレーシング・プロトタイプを作るのか、ロードカーをベースにレース車両を製作するのかは明言しなかった。また、ハイブリッド・レーシングカーを開発することは知られていた一方で、ドライブトレインの形式については不明だった。
「(開発するLMHの)スタイルはレーシング・プロトタイプベースだ」とコレッタは説明する。
「我々はいま新しいスタイルでスタートするため、多くの作業を行っているが、最終的なスタイリングについては風洞で決定される。しかし、ベースとなるのはプロトタイプだ」
「私たちは非常に明確なアイデアを持っているが、クルマの特性をすべて説明するにはまだ時期尚早だろう」
「LMHの世界ではすべてがプロトタイプに移行している。それは論理的な決定だ。ロードカーベースのクルマではすべてのチャンスが失われる。サーキットで競争力のあるロードカーを用意することは不可能だと言っていい」
「LMHは四輪駆動になる。プロトタイプのクルマは『グリッケンハウス007 LMH』を除いてすべて4WDだ。トヨタとプジョーと同じようにフェラーリも4輪駆動を採用する」
フェラーリがLMHへの参入を決めた大きな要因は、ロードカーへの関連性を示せるという点にある。これはプロトタイプマシンのスタイリングや、ハイブリッド・パワートレイン技術の導入によって実現することが可能だ。
イタリアのメーカーがLMHとロードカーをどのように結びつけるつもりかを尋ねられたとき、コレッタは次のように答えた。
「将来的には私たちはそれを目にすることだろう。我々はレースカーからロードカーへの応用をいくつか残している。これはフェラーリの伝統だ」
「私たちは、コンペティツィオーネGT部門とともに、フェラーリのロードカー部門と非常に緊密に連携している」
「私たちは大きなファミリーであり、最大の結果を出すために、また機会があればロードカーへの最大のキャリーオーバーを実現させるために協力し合っているんだ」
■プジョー9X8のような独創的なアイデアが登場する可能性も
コレッタはその他の技術的な詳細についてはコメントを避けたが、LMH規則の下でトヨタやプジョーと同じアーキテクチャーのクルマであるにもかかわらず、フェラーリが何か違うものを持ち込むチャンスがあると示唆した。
プジョーの上級幹部は、今月6日に9X8のプロトタイプを発表した際にLMHのルールブックを詳細に確認したことでフランスのメーカーが革新的な車両を設計することができたと述べている。
「レギュレーションがオープンなので新しいアイデアを想像するチャンスがある」とコレッタ。
「我々は自分たちが持つことのできる最高のアイデアを得るために一生懸命働いている。しかし、いまこの段階で他の人たちよりも優れた可能性のあるアイデアをテーブルの上に置くのは愚かなことだ」
「私はそれらを時々発表したいと思っている」