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この完成度、想像以上! ヤマハの新型バイク「MT-09」に試乗

2021年07月20日 11:31  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
ヤマハ発動機の新型バイク「MT-09」がいよいよ、発売間近となった。同社の主力ブランド「MTシリーズ」に加わる新モデルは、徹底的な軽量化、新型エンジンの搭載、刺激的なサウンドなど見どころが多いが、その走りはどうなのか。スタンダードモデルとハイエンドモデルの両方にサーキットで試乗してきた。

○軽量化で600ccクラスの車両重量を実現!

今回で3世代目となる新型MT-09。「The Rodeo Master」をコンセプトとする新モデルは、より刺激的でありながら手足のように操れる操作性を兼ね備えたマシンに変貌を遂げたという。同モデルのプロジェクトリーダーを務める北村悠氏は、新型MT-09を「日常域からでも楽しめるトルクとアジャイルな走りに加えて、ライダーの感覚に訴える官能性能を高め、走りのエキサイトメントをより強く感じられる」バイクだと表現する。

トルクフルな走りとアジャイルなライドフィールを実現するため、ヤマハがこだわったのが車体の軽量化だ。車両重量は前モデルとの比較で4キロ減となる189キロ(MT-09 SPは190キロ)。この重量は、ほぼ1クラス下の600ccモデル並といえる。

888cccに排気量をアップさせた水冷4ストロークDOHC 4バルブ直列3気筒の新型エンジンは、ほとんどの主要パーツが新設計だ。これにより最高出力は88kW(120PS)/10,000rpm、最大トルクは93Nm/7,000rpmに性能が向上した一方で、吸排気系を含めて1.7キロの軽量化を達成している。

メインフレームとリアフレームには最新のCFアルミダイキャスト技術を活用。最低肉厚を従来の3.5mmから1.7mmまで引き下げた。リアフェンダーにはこれまで、ライセンスプレート懸架も兼ねたアルミ鍛造製の片持ちステーを採用していたが、新型ではアルミパネルを溶接したボックス構造の高剛性リアアームに変更し、骨格系だけで2.3キロのスリム化に成功した。

軽量化の恩恵は、走り出しからすぐに実感できた。重苦しさのない実に軽やかな走りは、大げさではなく「MT-07」に乗っているのではないかと疑ったほどだ。

コース内に置かれたS字パイロンやコーナー旋回時なども、走りはイメージ通り。特に、フロントとリアに専用サスペンションを装着するMT-09 SPの操作性は秀逸で、運転が上手くなったのかと錯覚してしまった。この走りは想像以上だ。

試乗後は撮影のため、300mほど押し歩きで移動したり向きを変えたりしたが、こちらの動きも非常にスムーズ。押し歩きが苦手な人や女性でも、これなら難なく取り回せるのではないだろうか。
○速度以上の加速感を演出するサウンド

北村氏が「MT-09」の進化ポイントに挙げていた「官能性能」にも触れておきたい。今回、ヤマハが特にこだわったのがサウンドだという。

具体的には、発進時はリアの駆動力と同期した排気音によってトルクを感じさせ、スロットルを開けた瞬間に音が増大して聞こえるようなスイッチ感のあるサウンドを目指したとのこと。回転上昇にしたがって、ライダーへの主音源が排気音から吸気音に切り替わるように調整したそうだ。

実際に乗っていると、エンジンの回転数が上昇するにつれて高まる心地よい音圧が、加速感を強力にプッシュしてくれた。この音、それぞれのダクトの断面積や長さの調整による3つの共鳴の組み合わせによって作り出しているという。聞いているだけでも爽快感抜群なサウンドなので、街に轟く日が今から楽しみだ。

■新型「MT-09」の主なスペック
全長/全幅/全高:2,090mm/795mm/1,190mm
シート高:825mm
軸間距離:1,430mm
最低地上高:140mm
車両重量:189キロ
燃料消費率(国土交通省届出地、定地燃費値):30.4km/L(時速60キロ、2名乗車時)
タイヤサイズ:前輪は120/70ZR17M/C(58W、チューブレス)、後輪は180/55ZR17M/C(73W、チューブレス)

安藤康之 あんどうやすゆき フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。twitter:@andYSYK。 この著者の記事一覧はこちら(安藤康之)