WEC世界耐久選手権の第3戦モンツァ6時間で、優勝したトヨタGAZOO Racingの7号車GR010ハイブリッドに続く2位に入ったアルピーヌ・エルフ・マットミュートのマシュー・バキシビエールは、チームが次戦ル・マン24時間に向けて「本当に快調である」と信じている。
バキシビエール、アンドレ・ネグラオ、ニコラ・ラピエールがドライブした36号車アルピーヌA480・ギブソンはトヨタ7号車から60秒おくれの2位でフィニッシュし、開幕から3戦連続でポディウムに立った。
ノンハイブリッドLMP1マシンであるA480は、今回ハイパーカークラスに参戦した5台のうち、大きな問題なくレースを完走した唯一の車両だった。
「これは、ル・マンに向けて本当にポジティブなことだ」とバキシビエールはSportscar365に対し語っている。
「僕らは本当にとても良い状態で、本当に快調なんだ。モチベーションにも満ちている。ル・マンい向けて分析する必要のあるいくつかの事柄を見つけたが、すべてはかなり良い感じだよ」
「僕らはクリーンなレースをした。この調子をル・マンに向けてキープし、最後のコンマ1秒のため、そして真に完璧にするために、もう少しクルマについて取り組むべき作業が必要だ。でも、僕らは本当にパーフェクトに近づいているんだ」
「ライバルに比べると、確かに少しペースは劣っているが、ル・マンのBoP(性能調整)ではどうなるだろうか」
アルピーヌは優勝したトヨタよりも3ラップ短い1スティント27周をなんとか実行したにもかかわらず、レース中の燃料節約は最小限に抑えようとしたことをバキシビエールは示唆する。
第2戦ポルティマオでは、搭載できる燃料量の違いよりアルピーヌのスティントはトヨタのそれより6~7周短くなったため、レースの終わりまでにトヨタにアドバンテージが生じていた。
モンツァでは、以前のラウンドよりもスティントあたりの走行距離が長く、おかげでアルピーヌはリードラップに留まり続けることができた。
「正直に言うと、あまり“駆け引き”はしなかったんだ」とバキシビエールは言う。
「僕らはまたベストを尽くし、ただすべてのラップを全開でプッシュしていただけだと思う。燃料もあまり節約しなかった」
「ここモンツァでも同じだ。彼ら(トヨタ)は僕らよりも(1スティントあたり)多くの周回を走っていた。ポルティマオに比べると(差は)ちょっと少なかったかもしれないが、それでも僕らはそれに苦労した」
「ポルティマオと比較すると、いまは彼らよりも少し遅いという程度だ。ル・マンでもうまくいくよう、努力するよ」
■「グリッケンハウスがこんなに近くにいるとは思わなかった」
バキシビエールはまた、グリッケンハウスが2位の座をめぐって容赦ないチャレンジをしてくることを、アルピーヌ陣営は「予期していなかった」と認めた。
最終的に総合4位でフィニッシュしたグリッケンハウス・レーシングの709号車グリッケンハウス007 LMHは、3時間目に入って導入されたセーフティカーの後、ブレーキ交換により表彰台圏内から脱落するまで、アルピーヌを脅かす位置を走行していた。
709号車のロマン・デュマはコース上でバキシビエールを追い抜くことはできなかったが、アルピーヌの早めのピット作業によりグリウッケンハウスが先行する場面もあり、7号車トヨタの小林可夢偉がシステムリセットのため一コース上に停止した際には、一時的にレースをリードする位置につけていた。
「グリッケンハウスはよくやったと思う。いいレースをした」とバキシビエールは語っている。
「たしかに彼らはちょっと問題を抱えていたが、最終的に彼らがこれほど自分たちの近くにいるとは思っていなかった。このような競争があるのはいいことだから、彼らがその位置にいることを本当に嬉しく思う」
「最初は、僕らよりも少し苦労したかもしれない。でも、レースのある時点では彼らは少し速かった。彼らは、うまくやった」
「それは彼らにとって、本当にポジティブなことだ。そしていま、僕らは皆、ル・マンを楽しみにしている。(ハイパーカークラスに)5台のコンペティターがいるのではなく、5台の優れたコンペティターがいるというのは、本当に良いことだ」
アルピーヌがトヨタ7号車を打ち負かすことができたと感じたかどうかと尋ねられると、バキシビエールはこう語った。
「結構、良さそうには見えた。終盤にフルコースイエローが導入され、そのおかげでもう勝てるとは思わなかった。だけど、僕らはまたしても完璧なレースを成し遂げたと言える。チームとしても、ドライバーとしてもね」