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aespa、NCT、EXOらSMエンターテインメント所属アーティストの楽曲に登場 「KWANGYA」の謎を紐解く

2021年07月18日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

aespa「Black Mamba」

 近頃、SMエンターテインメント所属アーティストの新曲が発表されるたびにK-POPのトレンドワードに上る「KWANGYA」という言葉。「KWANGYAって何?」という疑問が散見されるので、本稿でまとめてみよう。


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 「KWANGYA」の読みは「クァンヤ」。ハングルでは「광야」で、「荒野」という意味だ。この言葉がSMアーティストの歌詞の中に最初に登場したのは、2020年11月17日にリリースされたガールズグループ・aespa(エスパ)のデビュー曲「Black Mamba」だった。このときはさほど話題にならなかったが、ザワついたのは、その6日後、23日にMVが公開されたNCT Uの「90’s Love」(アルバム『NCT The 2nd Album RESONANCE Pt. 2』収録)。YouTubeの公式日本語字幕で「KWANGYAを越えてもっと近くに」と表記されたからだ。aespaの「Black Mamba」MVを見返してみると、こちらも字幕で「君はKWANGYAを彷徨っている」と表記されていたのだ。


 「KWANGYA」の謎にぶちあたったファンは、特定作業を開始。するとaespa「Black Mamba」よりも前となる9月25日に公開された、NCTの新プロジェクト・NCT2020の始まりを告げる「NCT 2020 : The Past & Future – Ether」という映像の中に「無意識の海からろ過された波動をクァンヤ(表記はハングル)と呼ぶ」という英語ナレーションと英語字幕が入っていることに気が付いた。「KWANGYA」の出発点はNCTだったのだ。


 2021年5月17日リリースのaespa「Next Level」の「KWANGYAへ歩いていく」、6月7日リリースのEXO「Don’t fight the feeling」(アルバム『DON’T FIGHT THE FEELING』収録)の「KWANGYAの上を疾走する」という歌詞でどんどんザワつきが大きくなり、日本でもTwitterのK-POPトレンドワードに上った。


 特定班は、aespaの「Next Level」MVに出てくる探知機のような機械に「KWANGYA 37° 32′ 40.2″N 127° 02′ 40.0″E」という謎の文字列が写っているのを発見。座標であると察知し検索すると、SMエンターテインメント(以下、SMエンタ)の新社屋(ソウル市聖水洞)と一致した。


 どんどんと深まる「KWANGYA」の謎は、6月29日にオンライン上で行われたSMエンターテインメントグループの『SM Congress 2021』で公表された。


 その中でキーとなったのは、「SMCU」(SM Culture Universe)という世界観だ。昨年11月に開催された『2020 韓国・世界華商ビジネスウィーク』でSMエンタの価値とビジョンについての演説を行ったSUPER JUNIORのチェ・シウォンは、「SMCUは、単に象徴やメタファーで解釈される世界観ではなく、魅力的なキャラクターや物語のあるストーリーテリング・コンテンツを通じて、アーティストと音楽を表現するための新しいビジョンであり、プロジェクトです。このSMCUプロジェクトの始まりがガールズグループaespaであり、EXO、Red Velvet、NCTなど複数グループの世界観とストーリーが時にはつながり、新しい物語を繰り広げていくはずです」と語った(※1)。


 aespaには仮想世界「FLAT」に“もう一人の自分”であるアバター「æ(アイ)」が存在し、「SYNK(シンク)」しているという設定がある。昨年9月に公開されたSuperM「One (Monster & Infinity)」のMVの最後に、発表前のaespaのロゴが登場していたり、同年10月に公開されたNCT U「Make A Wish」のMVの最後にaespaの「Black Mamba」MVと同じ花を敷き詰めた電車が出てきたりと、別アーティストのコンテンツにさまざまな「SYNK」が見て取れる。


 今年5月には10分にもおよぶaespa「ep1. Black Mamba’– SM Culture Universe」を公開。「Black Mamba」(ヘビ)が現実世界とデジタル世界との「SYNK」を妨害するのを防ぐために、aespaが「KWANGYA」に向う姿が描かれており、「FLAT」の向こうにある無規則な無限の領域が「KWANGYA」だという。


 『SM Congress 2021』でSMエンタ総括プロデューサー イ・スマン氏は、「以前はSMP(SM Music Performance=SMエンタらしい楽曲とパフォーマンスが融合したスタイル)があったが、これからはSMCUという名前で世界観を広げ、我々のユニバースを新しい形式で見せるジャンルをCAWMAN(Cartoon、Animation、Web-Toon、Motion Graphic、Avatar、Novelの頭文字から)とする。SMPの進化版であるCAWMANを本格的に実現させるのがaespaだ。CAWMANというジャンルでエピソードを作り、ハリウッドで映画化の話も進めている」とも述べている。


 日本でもLDHが次世代総合エンタテインメントプロジェクトとして、Jr.EXILE世代のアーティストとさまざまなコンテンツが次元やジャンルを超えて共存する「BATTLE OF TOKYO」を本格化させた。コロナ禍のエンタテインメントの進化として、日韓のエンタメ界で大きな影響力を持つ両社の思惑は図らずも「SYNK」しているのかもしれない。


 NCT DREAMが6月28日にリリースしたリパッケージアルバム『Hello Future』のタイトル曲にも、「僕の未来に伝えてくれ 世界中とあのKWANGYAの上に 後悔なく愛したと言うよ」という歌詞が見られた。


 また、『SM Congress 2021』で公開された「SMCU the Origin」コンセプト映像は、「昔KWANGYAがあった その向こうにKOSMOが存在した」というナレーションから始まっているが、この「KOSMO」という言葉も、aespa、NCT Uの歌詞に登場しているので、今後のSMCUのキーワードになりそうだ。


 『SM Congress 2021』には、SMCUを担うNCTとaespaも登場。イ・スマン氏とのトークショーの中でaespaのメンバー・KARINAは、「aespaとæ-aespaがKWANGYAで冒険をし、どのようにBlack Mambaと戦うか、気になる方も多いと思います。年内にシーズン1の残りのエピソードをお見せする予定です」と発言。次なるKWANGYAの展開を提示した。


 同トークショーでNCTは、アメリカを中心に活動するNCTの新グループ・NCT Hollywoodメンバーを選ぶオーディション番組を米MGMと共同で制作することにも言及した。また、NCTメンバー・DOYOUNGによると、さらなる拡張があるのかないのか不明ではあるが、NCT 2021での活動が行われるという。そしてMARKは、「ベールに包まれたNCTの世界観がしっかりと理解できるコンテンツも準備しています。もうすぐKWANGYAで会いましょう!」という言葉でコーナーを締めくくった。


 そして7月14日に公開されたKANGTAの「FreeTo Fly 2021」MVでは、ついにaespaのWINTERとNCTのSUNGCHANがKWANGYAで出会った! この先のストーリが気になるところだ。


 SMエンタは、「KWANGYA」、「SMCU」、そして「SMCT(SM Culture Technology)」という言葉の商標登録を出願済。ソウルの新社屋「KWANGYA」から、これからどんなコンテンツが生み出されて行くのか期待したい。


※1:https://news.kstyle.com/article.ksn?articleNo=2155841(坂本ゆかり)