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BTS、「Permission to Dance」で7人がかけたマジック 『音楽の日』での日本初パフォーマンスを観て

2021年07月18日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

BTS「Butter」

 BTSが、7月17日放送の音楽特番『音楽の日』(TBS系)にて、新曲「Permission to Dance」のフルサイズを日本のテレビ初披露した。


(関連:BTS、「Permission to Dance」で伝える“繋がっている”という希望 紫色の風船が象徴的なMVから感じたこと


 青空が見えるプールサイドをイメージしたスペシャルステージにて、披露されたパフォーマンスは、まだまだ混乱が続く2021年の夏の始まりを勇気づけるのにぴったりな爽やかさだった。


 「Permission to Dance」は、同じ空のもと世界は繋がっているというポジティブなメッセージを発信する楽曲。7人が身を包んで登場した水色をポイントにした白色の衣装からも、空のイメージを連想させる。


 夏の日差しを彷彿とさせる眩しいライティング。そのなかで、心地よさそうに居眠りをするJUNG KOOKを、メンバーがそっと起こすような素振りから始まると、次の瞬間には、RMを先頭にSUGA、V、JIMINが並ぶフォーメーションに。かと思えば、くるりとターンをするJIMIN1人に……。まるでミュージカルを見ているかのように、次々と展開していくフォーメーションチェンジが楽しい。


 〈talk〉で手をパクパクさせたり、〈walk〉で歩み進めるような素振りをしたりと、歌詞をそのまま表現するような振り付けがあったり、JIMINが空へと伸ばした指先をJINがつかみ取るシーンや、J-HOPEからSUGAへとパートがシフトしていくときに対面して踊るなど「繋ぐ」をより印象づける振り付けがあったりと、ダンス全体からもメッセージを感じ取ることができる。


 また、7人が揃ったときにも、舞台の素早い場面転換かのようにセンターが入れ替わる。そのキレのある動きは、さすがBTSと言ったところ。しかし一方で、どこかこの楽曲にはラフな雰囲気が漂う。魅せるダンスと言うよりは、一緒に踊りたくなるような楽しいダンスなのだ。


 JIMINが、この曲について「ただ踊ればいいです」と話していたことを思い出す。例えば夏の風物詩でもあるキャンプファイヤーを囲むと、日頃ダンスを踊らない人も、自ずと体を動かしたくなるように。そう言えば、メンバーもこの曲のことを「キャンプファイヤーのようだ」とも話していたが、こういうことかと気付かされる。


 〈Da na na na na na na〉の部分で、JINからJ-HOPE、RM、JIMIN、そしてV、SUGA、JUNG KOOKへとスイングする動きが順番に伝播していく振り付けは、その先にこの楽曲を聞くすべての人へと広がっていくように見えるのだ。


 そして、最も印象的なのは彼らの満面の笑みだ。こぼれるように笑う彼らの表情を見ていると、これまで圧倒するダンスパフォーマンスを披露してきたBTSも、この楽曲ではダンスを純粋に楽しんでいるのだと実感して、何だかうれしくなってしまうのだ。


 楽曲の後半、真っ白に輝いていたプールサイドの日が傾いていく。雲は徐々にピンク色を帯び、「マジックアワー」と呼ばれる空色に。すると、7人は一列に並び、指を立て腕を広げていく。腕と腕が重なる様は、手を繋ぐことが難しい現代も、人と人とが繋がっていることを改めて強調しているかのよう。


 今回のパフォーマンスは、まさにBTSがかけるある種のマジックだったのかもしれない。誰もがためらうことなく、ダンスを、そして音楽を楽しめる魔法。幻想的な風景に見えるマジックアワーも、決して特別なものではないということ。世界的な人気を誇るグローバルグループでとなりながらも、どこか身近に感じられるBTSだから見せられた夏の夜の夢だ。(佐藤結衣)