WRC世界ラリー選手権の2021年シーズンからTOYOTA GAZOO Racing WRTの指揮を執るヤリ-マティ・ラトバラ代表は7月15~18日、エストニアのタルトゥを拠点に開催される今季第7戦『ラリー・エストニア』で、トヨタが昨シーズンの同イベントで味わった苦い記憶を払拭できると確信している。
2020年にWRCイベントとして初めて開催されたラリー・エストニアは超高速グラベル(未舗装路)ラリーであり、このキャラクターはトヨタ・ヤリスWRCが得意とする『ラリー・フィンランド』のそれとよく似ているとされる。そのため、前回大会ではトヨタがラリーのウイナーになることが有力視されていた。
しかし、実際にはライバルであるヒュンダイのオット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)とクレイグ・ブリーン(ヒュンダイi20クーペWRC)がラリーを支配し、ワン・ツー・フィニッシュを飾ってみせた。
一方、トヨタではカッレ・ロバンペラがデイ2のSS2でトップタイムを記録し、一時は総合首位に立った。しかし、当時19歳だった彼は直後のSS3でタイヤのパンクに見舞われタイムロス。最終的にはチームメイトのセバスチャン・オジエ、エルフィン・エバンスに続く総合5位となっている。
チーム代表として今年初めてエストニアでのラリーに臨むラトバラは、「昨年、我々のドライバーたちはエストニアでのクルマに100%満足していなかった」とWRC公式サイト『wrc.com』に語った。
「2020年のイベントのルートには予想以上にテクニカルな場所が多くあった。それらはラリーカーの速度を下げるために使用されたんだ」
「それは私たちにとって驚きだった。チームはそれを予想していなかったんだ」
「我々はハイスピードステージを想定したテストを数多く行っていたため、小さく回りこむテクニカルな部分をクリアするのが困難になった。この部分で想定していたレベルに達していなかったんだ」
そんな2020年シーズンの失敗を踏まえ、トヨタは今回のエストニアに向けたテストではバランスの取れたアプローチを選択。高速コースだけでなく、コーナー径が小さいテクニカルなコースでもデータを収集してきた。
「私たちのクルマは順調に進歩していると思う」とラトバラ。
「ドライバーたちもテストに満足しているように見えた。これはイベントに対しての自信にもつながるので良いことだ。前回大会からすべてを修正し、エストニアに戻って挑戦できることを願っているよ」
15日(木)に競技がスタートするWRC第7戦ラリー・エストニアでは、現地時間同日9時(日本時間15時)からシェイクダウンが行われる予定だ。