オーストラリア大陸の人気ツーリングカー選手権、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップの2021年第7戦タウンスヴィル500が7月9~11日に開催され、開幕6連勝と最高のスタートダッシュを決めたレッドブル・アンポル・レーシングの2016年王者“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲンが、ふたたびの“ウイークエンド・ダブル”を決め、今季10勝目をマークした。V8スーパーカー時代を含むキャリア通算50勝目を飾り、年間勝利数記録更新も見える快進撃を続けている。
本来、5月28日~30日の週末にオーストラリア・ビクトリア州のウィントン・モーターレースウェイで開催予定だった第5戦“スーパースプリント”を延期中のRSCだが、このタウンスヴィルの週末に続いて実施予定だった計画をさらに延期し、今季「後半戦での日程再調整」を発表した。
その代替案として、タウンスヴィルが開催されるリードパーク市街地コースでの「週末2連戦」を実施するとアナウンスし、今回は本来のカレンダーどおり250kmを2ヒートで争う“500フォーマット”を採用。追加設定の次週は短距離戦3ヒートのスーパースプリントでの開催を予定するなど、南半球にもふたたび新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が色濃く影を落とす形となった。
そんな慌ただしい状況で始まった週末は、土曜予選からトリプルエイト・レースエンジニアリングのWエースが速さを見せ、トップ10シュートアウトを経てSVGがポールポジションを獲得。
ここリードパークを得意とする僚友の“セブン・タイムス・チャンピオン”ジェイミー・ウインカップ(ホールデン・コモドアZB)をフロントロウに従え、レッドブル・ホールデンが最前列をロックアウトし、2列目にディック・ジョンソン・レーシング(DJR)のShell V-Powerカラーのフォード・マスタング、ウィル・デイビソンとアントン・デ・パスカーレが並ぶ上位グリッドとなった。
しかし88周のレース1では、そのポールシッターが「あまりにホイールスピンが多すぎた」とスタートに失敗し、7冠王者に先行を許す展開に。その後方では、6番グリッドにつけた2010年王者ジェームス・コートニー(フォード・マスタング/ブーストモバイル・レーシング)が、ターン2までにDJRの2台を出し抜き、早々に3番手浮上に成功。同じく11番手発進のエレバス・モータースポーツ、デビッド・レイノルズ(フォード・マスタング/ペンライト・レーシング)がDJRに次ぐ6番手にジャンプアップするなど、グリッド後方組が躍進を見せる。
■今季10勝目、キャリア通算でも50勝目
先頭クリーンエアのメリットを享受するウインカップは、30周目のピットまでに5秒のマージンを稼いだものの、ここで2番手SVGはピットストップを引っ張ることでオーバーカットを狙う戦略を採用。チームメイトより5周長くコース上に留まったSVGは、少ない燃料搭載量とよりフレッシュなタイヤでセカンドスティントを刻んでいく。
すると、従来よりタイヤ摩耗が激しく全車4本交換を強いられるコンディションも奏功し、2度目のピットを終えたSVGがラップあたり0.5秒のゲインで首位ウインカップに迫ると、残り19周時点の71周目。グリップに勝るSVGがターン11のブレーキングで鮮やかにオーバーテイクを決めて勝負アリ。まずは週末最初の勝利、今季通算9勝目を手にしてみせた。
明けた日曜のレース2に向け、今度は逆襲を期すウインカップがトップ10シュートアウトを制してフロントロウ入れ替えでスタートが切られると、前日とまったく同じ戦略を採用したSVGがジリジリと7冠チャンピオンを追い詰める。
そしてレース終盤の最終コーナーで「クロスを狙うジェイミーに対し、ギリギリまでブレーキを残し続けた」SVGがふたたびの逆転劇。今季10勝目、キャリア通算でも50勝に到達する節目の勝利を手にした。
「最後のバトルでは『お互いにヒットするのは絶対に避けたい』と思っていたが、クロスラインでの逆襲を防ぐことができて、良いブレーキングだったと思う」と、開幕直後に骨折した鎖骨負傷の影響がまだ残っているというSVG。
「個人的には、ダーウィンやここタウンスヴィルのように、これまでジェイミーには及ばなかったトラックがいくつかある。彼がここでどれほど優れているかは皆の知るところだ。次週もここでの勝負だし、彼が去る(今季限りで引退を表明済み)前に決着をつけるチャンスだね!」
両日ともに3位表彰台にはDJRのパスカーレが登壇し、こちらも復調の兆しは見えたものの、週末の結果によりSVGはシリーズポイントを1661点まで伸ばし、2位ウインカップは1416点と、依然として大量リードを保っている。
続く7月16~18日の週末には、前述のとおり実質の第7戦となるタウンスヴィルでのスーパースプリント戦が争われる予定だ。