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『東京卍リベンジャーズ』なぜ女性ファン多い? “推し”が見つかる3つの理由

2021年07月14日 15:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 実写映画『東京リベンジャーズ』が7月9日に公開され、土日2日間で38万6000人動員、興行収入5億2800万円という数字を出し、動員ラインキング初登場1位に輝いた。映画人気も然ることながら、原作漫画も大人気になっている同作。特に、ヤンキー漫画ながら女性人気が高いことが特徴ではないだろうか。『クローズ』や『BADBOYS』など、人気俳優が実写化をして女性人気も獲得するというパターンはこれまでもあったが、同作のように原作のヤンキー漫画自体が人気という状況は比較的珍しいのではないだろうか。ではなぜ同作はこんなにも多くの女性人気を獲得できているのだろうか。


参考:『東京卍リベンジャーズ』タイムリーパーは武道だけじゃない? 疑わしき人物を検証


 その理由を考えると、まず「魅力的なキャラクターたち」が一番の理由のように感じる。とにかく様々なタイプの男性キャラがこれでもかというほど登場する同作。主人公の花垣武道は喧嘩が強いわけではないが、強靭な精神力と強い正義感の持ち主。その熱い姿に胸を打たれることも少なくない。その他にも、イケメンかつカリスマ性溢れるマイキー、どこかスタイリッシュnあ見た目と冷静沈着な視野を持つドラケン、破天荒だが仲間への思いは誰よりも強い場地圭介、武道の絶対的味方で相棒の松野千冬、「東京卍會」のまとめ役にもかかわらず裁縫が得意というギャップを持つ三ツ谷隆、日向の弟で刑事の橘直人……と、挙げていけばキリがないほどだ。これだけバラエティに富んだキャラクターが登場するのだ、刺さるキャラクターは必ず1人はいるはずである。回を重ねるに連れ、次々と新しい人物が登場してくることもあり、推しを見つける楽しさもあるだろう。しかも12年後の現代、26歳になった姿がガラリと変わっているキャラクターもいる。かつて爆発的な女性人気を誇った漫画『家庭教師ヒットマンREBORN!』でもそうだったが、大人になった際のかっこいい姿が見られるのもポイントになっているのではないだろうか。


 2つ目は、「親しみやすい作画」だ。作者の和久井健氏は、かの有名なアウトロー漫画『新宿スワン』の作者だ。その『新宿スワン』を見ると、『東京リベンジャーズ』とかなり作画が違うことがわかる。『週刊マガジン』編集部の土屋一機氏も「和久井先生の絵の改造ぶりはすごいですよ。たくさんの読者に届けるにはどうしたらいいかをめちゃくちゃ考えている。青年誌と少年誌で描き分けているだけでなくて、連載が始まって以降も少しずつ絵柄を変えていらっしゃいます」(引用元:現代ビジネス『半年余りで1500万部超の大増刷。今なぜ『東京卍リベンジャーズ』がアツいのか。』)と語っているように、“ザ・青年マンガ”といったタッチだったのがかなりポップに変わっている。これまで女性人気を獲得してきた『銀魂』、『BLEACH』、『黒子のバスケ』、『ハイキュー!!』、『鬼灯の冷徹』などの少年・青年漫画作品を振り返ってみると、登場人物の外見がリアルすぎず、線の書き込みが細かく丁寧という共通点があるように思う。同作もその条件が当てはまっているため、女性に受け入れられやすい作画と考えられるのだ。


 3つ目は、「面白いストーリー」。編集の土屋氏が「読者層をさらに広げるためにヤンキーテイストを抑えて、タイムリープ部分を押し出す表紙にシフトしました」と語っているように、同作は単なるヤンキー漫画にとどまっていない。もちろん喧嘩のシーンもあるが、人間模様や謎解き要素なども盛り込まれており、次々と読み進めたくなる仕掛けもしてある。さらに分量は決して多くはないが、武道と橘日向、ドラケンと佐野エマなどの恋愛模様も描かれている。1つの作品に様々なジャンルのテイストが楽しめること、恋愛要素があることも、女性人気の理由に挙げられる。


 昨今では、「漫画が大好き」という層以外にも作品が見つかりやすいルートが確立したように感じる。アニメ化され、動画配信サービスで配信され、多くの人の目に留まる。引き込まれた結果、原作にたどり着くという流れだ。『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』もこのルートでより広いファン層を取り込んだはずだ。『東京リベンジャーズ』はそれに加えて北村匠海、山田裕貴、吉沢亮、間宮祥太朗などの今を時めく若手人気俳優たちによる実写化もされている。同作が今後より広い層に受け入れられ、さらなるブームとなる可能性は非常に高いのではないだろうか。