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Juice=Juice 段原瑠々×BEYOOOOONDS 山﨑夢羽「悲しきヘブン」も好評 YouTube企画から伝わるハロプロメンバーの歌唱力

2021年07月11日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

℃-ute『The Power/悲しきヘブン』

 昨今では、タレントをプロモーションする際にSNSやYouTubeを利用することは欠かせなくなっているが、その中でもモーニング娘。’21らが所属するハロー!プロジェクトが運営するYouTubeチャンネルはとても個性的だ。最近注目を集めているのが、アップフロントチャンネルから公開されているメンバー1対1のデュオ企画「One on One」である。「One on One」はこれまでに6本の動画が投稿されており、ハロー!プロジェクト所属のメンバーやOGが出演している。同企画の見所は何と言っても、出演する2人のメンバーが聴かせるハーモニーである。「One on One」で歌われている楽曲は、どれもが高い歌唱力が必要となる歴代のハロプロの名曲。初期のハロプロの代表曲を現役メンバーが歌唱しているのは、原曲とは違った魅力、楽曲そのものの良さを感じられるだけでなく、ハロー!プロジェクトが“歌”を大事にして歴史を刻んできたという一貫性も象徴している。


(関連:モー娘。’21、アンジュルム、BEYOOOOONDS……各グループの平均年齢も算出 ハロプロメンバー学年別分類2021年版


 「One on One」の中でも一際目立つのは、Juice=Juiceの段原瑠々とBEYOOOOONDSの山﨑夢羽による「悲しきヘブン」(℃-ute)だろう。同楽曲は、ハロプロ楽曲の中でも最難関であることで知られている。というのも、主旋律とハモリが激しく入れ替わるため、歌唱する際には正確な音程やリズムなどが要求されるからである。それにも関わらず、原曲の歌唱を務めた元℃-uteの鈴木愛理と岡井千聖をはじめ、その後もカバーしたメンバーは、それぞれが個性を魅せながら高い歌唱スキルを見せつけてきたのだ。


 そして今回、「悲しきヘブン」を歌唱した段原と山﨑に、視聴者はさらなる感銘を受けたのではないだろうか。段原は、ハロプロ屈指の“歌うま集団”と呼ばれているJuice=Juiceに所属し、持ち味である力強く艶のある歌声でハロプロ研修生時代から歌姫として定評があった。一方で山﨑は、コミカルな楽曲が多いBEYOOOOONDSのエース的ポジションであり、映画『あの頃。』では松浦亜弥役も務める程のアイドル性で人気が高い。このように、正反対な個性であるように見える2人だが、ピッチの完璧さ故に「悲しきヘブン」ではパートの入れ替わりを卒なくこなしながら歌い上げている。また、ハロー!プロジェクトのメンバーはボイストレーニングの際にリズムを鍛えられるというエピソードがあるように、そのハーモニーは一寸のブレもないのだ。所々2人が歌い方の個性を出しながら、最難関の楽曲に挑むその姿には、釘付けになる視聴者も多かったようだ。


 「One on One」は、各グループのいわゆる“歌唱エース”と呼ばれるメンバーが登場しているわけではない(むしろ、“歌唱エース”という存在を決めにくいほど歌が上手いメンバーが多いのが、ハロー!プロジェクトの強みでもあるが)。同企画に対しては、「このメンバーの組み合わせで見たい!」といった期待が募り、楽しみにしているファンも多いことだろう。


 ハロー!プロジェクトに関連する公式YouTubeチャンネルはいくつかあるが、その中でも好評なのは、OMAKE CHANNELである。同チャンネルは、各メンバーの個性や特技にフォーカスが当たる企画が多い。このOMAKE CHANNELで配信されている《自撮りアカペラ》も人気シリーズである。タイトルの通り、メンバー自らが自撮りをしながら、伴奏なしで歌唱する企画である。ここでは、歌唱力を感じられるだけでなく、メンバーの思う“自分が魅力的に映る角度”も動画で楽しめる。さらに、モーニング娘。’21の譜久村聖と小田さくらは、「Memory 青春の光」の《ハモりアカペラ》を同チャンネルで披露している。実力派として歌唱力を存分に発揮し、《ハモりアカペラ》を卒なく歌い上げる2人だが、同時にアイドルとしても魅力的な表情を自撮りによって提供している。


 ハロー!プロジェクトに所属するグループは新曲をリリースする際、メンバー全員がフルで歌唱した後に歌割を決めるというほど、歌唱面に力を入れている。そのような努力がYouTube企画でも生かされることが多く、ファンからも好評である。


 このようなYouTubeの運営に限らず、“ハロー!プロジェクトだからできる”パフォーマンスは他にもあった。例えば、コロナ禍で開催された『Hello! Project 2020 ~The Ballad~』は、コール&レスポンスの入らないバラード曲を厳選してメンバーがソロで歌唱するという公演内容であり、心動かされるような数多くの名歌唱が誕生した。これは、日頃からメンバーが歌唱する際にどう個性を出していくか、表現力を発揮していくかといったことを意識していなければ、実現することが難しかったように感じる。ハロー!プロジェクトは今後も、メンバーが持つ歌の力を、他事務所と一線を画するプロモーション方法で広めていくだろう。(momotoxic)