トップへ

元妻とルームシェア、OKしちゃったけどやっぱり止めたい…どうすればいい?

2021年07月11日 09:31  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

元妻とのルームシェアをやっぱり止めたい——。こんな相談が、弁護士ドットコムに寄せられました。


【関連記事:花嫁に水ぶっかけ、「きれいじゃねえ」と暴言…結婚式ぶち壊しの招待客に慰謝料請求したい!】



相談者の男性はすでに離婚していますが、元妻が「貯金をしたい」と言ったため、男性が契約している賃貸マンションでの同居を1年間限りで受け入れることにしました。



しかし、同居を始めて数カ月後、男性は新しい恋人ができたため、元妻に出ていって欲しいと考えています。



男性と元妻の約束は口約束ではありましたが、元妻を追い出すことは可能なのでしょうか。その場合、引っ越し代などのお金などを渡す必要があるのでしょうか。寺林智栄弁護士に聞きました。



●口約束でも「使用貸借契約」が成立

——約束は口約束ですが、どう考えられますか?



男性は元妻から賃料をもらわずに部屋を使わせているケースとして解説します。



口約束だったとしても、両者の間には、無償でものを貸す「使用貸借契約」という契約が成立していることになります(民法593条)。この使用契約の締結に当たり、男性と元妻の間では使用期間を1年とする合意が成立しています。



もちろん、このような場合でも、1年経過前に、お互いが合意して解約すれば、元妻には出て行ってもらうことができます。しかし、そうでない場合には、法律上1年の期間満了を待たなければ、出て行ってもらうことはできません(民法597条1項)。



つまり、男性は、いくら出て行ってほしくても、一度受け入れてしまった以上、約束の1年を過ぎるまでの間は、一方的に元妻を追い出すことはできないのです。



先ほどもお話ししたように、両者の間で合意ができれば、1年が過ぎる前に出て行ってもらうことは可能です。ただ、「新しい恋人ができたから」という理由だけで、元妻が出て行ってくれるとは限りません。



離婚した夫のもとに転がり込んでくる女性ですから、事情を説明しただけで出て行ってもらうことは難しいと思われます。



ですので、説得材料の1つとして、引っ越し代や向こう数カ月分の家賃などの名目で一定の金銭を渡すという方法が考えられるでしょう。




【取材協力弁護士】
寺林 智栄(てらばやし・ともえ)弁護士
2007年弁護士登録。東京弁護士会所属。法テラス愛知法律事務所、法テラス東京法律事務所、琥珀法律事務所(東京都渋谷区恵比寿)を経て、2014年10月開業。2018年11月から弁護士法人北千住パブリック法律事務所(東京都足立区千住)。刑事事件、離婚事件、不当請求事件などを得意としています。
事務所名:北千住パブリック法律事務所
事務所URL:http://www.kp-law.jp/