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「チェンソーマン」ポチタの手触りは「まりも」、梶裕貴はエレンへの思い滲ませる

2021年07月06日 18:19  コミックナタリー

コミックナタリー

「MAPPA STAGE 2021 -10th Anniversary-」より、「チェンソーマン」ステージの様子。
アニメーションスタジオ・MAPPAの設立10周年を記念したイベント「MAPPA STAGE 2021 -10th Anniversary-」が、去る6月27日に東京・J:COMホール八王子で開催された。本記事では第3部「『進撃の巨人』The Final Season」「チェンソーマン」のステージ、そしてイベントの終幕までをレポートする。

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「『進撃の巨人』The Final Season」ステージにはエレン役の梶裕貴、アルミン役の井上麻里奈、ガビ役の佐倉綾音、監督の林祐一郎、音楽を手がけるKOHTA YAMAMOTOが登壇した。「The Final Season」よりWIT STUDIOからMAPPAへ制作がバトンタッチされたということもあり、林監督とじっくり話をするのはこの日が初めてだったというキャスト陣。3人自ら林監督への質問を交えながら、「Part.1」の“推しシーン”を振り返っていった。佐倉は「The Final Season」第1話で登場したガビが「覚悟」という言葉を使ったシーンに着目し、「私はこの年頃に“覚悟”という言葉を使ったことも、意識したこともなかった。その言葉を振りかざさないといけない生い立ちや運命だった」と、彼女も歴史の被害者であると語る。井上は「発表される前から、この役は綾音しかいないと思ってた」と明かし、林監督も「ガビが飛行船に乗り込んでいく場面のお芝居がすごくよくて、そこでガビの印象が変わりました。声が付いたことで特に変わったキャラクター」と佐倉の演技を絶賛した。

井上は安藤裕子の歌う「衝撃」が流れるエンディングをピックアップし、「毎回涙が勝手に流れるんですよね。話数ごとに感じる意味が変わってくる」と話す。林監督は「エンディングは本編の一部。『The Final Season』は観終えた後、悲しい、暗い気持ちになってほしいと思っていました」と意図を語り、音楽担当のKOHTA YAMAMOTOも「映像的にも音楽的にも、一筋縄ではいかない楽曲。オンエアで初めて聴いたときには衝撃を受けました」と太鼓判を押した。そんなやりとりを見ていた梶は「このステージが始まってからずっと泣きそうで……」と感極まった表情を見せる。そして自身の“推しシーン”として「The Final Season」第9話での「戦わなければ勝てない 戦え…戦え…」というエレンの独白を挙げ、「エレンの人間性、彼らしさが詰まっているシーン」と並々ならぬ思い入れを滲ませた。さらに「家で台本をいただいて家で練習しているときから、涙が止まらなくなってしまって。改めてエレンの気持ちがわかったような気がします、と諫山(創)先生に連絡したんです」とのエピソードも明かす。そんな梶の演技について、林監督は「第一声で、喉を潰したような怖い感じのお芝居をされていて。それが僕の想像していたエレン像をはるかに超えるものだったんです」と、エレンの解釈における1つの指針になったと語った。

長きにわたったイベントも、いよいよクライマックスへ。会場に集まった観客や配信視聴者の期待が集まる中で始まった「チェンソーマン」のステージには、原作者・藤本タツキの担当編集者である集英社の林士平(りんしへい)氏、MAPPA代表取締役・大塚学氏が登壇した。昨年12月にアニメ化が発表され、この日はティザーPVを初披露。林氏は「自分が想像していた頭の中の映像よりすごくカッコよくて。(中山竜)監督にぶん殴られた感じがしましたね」と興奮気味に感想を語り、アニメ制作をMAPPAが担当すると聞いたときには、藤本とともに「ヤッター!!」と喜んだことを打ち明ける。アニメ化に至る経緯を尋ねられた大塚氏は「1巻を読んだときに『これを映像化できたら幸せだな』と思い、集英社さんに連絡させていただきました。企画が通ったときは僕も『ヤッター!!』という気持ちでしたね」と振り返った。林氏は原作について「ジャンプの過去作品を研究したり、藤本先生と何度もキャッチボールをしながら、あれこれいろんなパターンを試して辿り着いた作品です」と話したうえで、「アニメ化によって、彼(藤本)の作品を世界中に届けられるチャンスが訪れたというのが、僕としてはとてもうれしいです」と胸の内を語った。

ステージでは藤本への質問コーナーを展開。事前にTwitterで質問を募集し、それに藤本自身が回答する音声が届けられた。マンガ家を目指した理由について藤本は「映画は1人じゃ作れないけど、マンガや小説は1人でできるからそれが大きい」と話し、インスピレーションを受けた作品を聞かれると「『悪魔のいけにえ』。チェンソーがカッコいいんで」と回答。ポチタの実際の触り心地は?という質問には、藤本は「まりも、水気のないまりもですね。“ツルフサ”って感じです」と答える。この回答に林氏は「これからポチタを商品化する人は、まりもを研究しそう」とコメントし、大塚氏も「映像化するときに、影響を受けないようにしないと」と続けて観客の笑いを誘った。「現在の夢や今後やりたいことは」という質問に対しては、「頑張って生きることです」と伝える藤本。林氏は「彼にとって、生きることはマンガを描くことと等しいと思うので、がんばって描き続けてくれるんじゃないかなと思います」と付け加えた。最後に林氏は「早バレや流出はやめて、お祭りみたいにみんなで楽しんでもらえたら」と呼びかけ、大塚氏は「次のMAPPAの10年間を代表する作品になると思っています。中山監督をはじめ、愛のある若い世代のスタッフたちが引っ張っていってくれると思いますので、期待してお待ちください」と全世界のファンにメッセージを贈った。

約5時間にわたり繰り広げられた「MAPPA STAGE 2021 -10th Anniversary-」。そのフィナーレでは、MAPPA初となるオリジナル劇場作品の制作も発表された。スクリーンに流れたのは、岡田麿里が監督を務める「アリスとテレスのまぼろし工場」の特報映像。10周年を迎え、さらに新たな挑戦へと向かうMAPPAへ、そして総合MCを務めあげた天津・向清太朗へも観客から盛大な拍手が贈られ、イベントは幕を下ろした。

なお「MAPPA STAGE 2021 -10th Anniversary-」の模様は、MAPPA公式YouTubeチャンネルでアーカイブ配信中だ。

■ 「進撃の巨人」The Final Season Part 2
今冬放送予定

□ スタッフ
原作:諫山創(別冊少年マガジン/講談社)
監督:林祐一郎
シリーズ構成:瀬古浩司
キャラクターデザイン:岸友洋
総作画監督:新沼大祐
演出チーフ:宍戸淳
エフェクト作画監督:酒井智史 / 古俣太一
色彩設計:末永絢子
美術監督:小倉一男
画面設計:淡輪雄介
3DCG監督:上薗隆浩
撮影監督:浅川茂輝
編集:吉武将人
音響監督:三間雅文
音楽:澤野弘之 / KOHTA YAMAMOTO
音響効果:山谷尚人(サウンドボックス)
音響制作:テクノサウンド
アニメーションプロデューサー:松永理人
制作:MAPPA

□ キャスト
エレン・イェーガー:梶裕貴
ミカサ・アッカーマン:石川由依
アルミン・アルレルト:井上麻里奈
コニー・スプリンガー:下野紘
サシャ・ブラウス:小林ゆう
ヒストリア・レイス:三上枝織
ジャン・キルシュタイン:谷山紀章
ライナー・ブラウン:細谷佳正
ハンジ・ゾエ:朴璐美
リヴァイ:神谷浩史
ジーク:子安武人
ファルコ・グライス:花江夏樹
ガビ・ブラウン:佐倉綾音
ピーク:沼倉愛美
ポルコ・ガリアード:増田俊樹
ウド:村瀬歩
ゾフィア:川島悠美
コルト・グライス:松風雅也



■ TVアニメ「チェンソーマン」
原作:藤本タツキ(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:中山竜
脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:杉山和隆
アクションディレクター:吉原達矢
チーフ演出:中園真登
悪魔デザイン:押山清高
美術監督:竹田悠介
色彩設計:中野尚美
画面設計:宮原洋平
音楽:牛尾憲輔
アニメーションプロデューサー:瀬下恵介
制作:MAPPA

■ 映画「アリスとテレスのまぼろし工場」
監督:岡田麿里
副監督:平松禎史
キャラクターデザイン・総作画監督:石井百合子
美術監督:東地和生
音楽:横山克
アニメーション制作:MAPPA