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「呪術廻戦」伏黒の領域展開は「親の顔より見た」と内田雄馬、平松禎史コンテの魅力も

2021年07月06日 18:08  コミックナタリー

コミックナタリー

「MAPPA STAGE 2021 -10th Anniversary-」より、「呪術廻戦」ステージの様子。
アニメーションスタジオ・MAPPAの設立10周年を記念したイベント「MAPPA STAGE 2021 -10th Anniversary-」が、去る6月27日に東京・J:COMホール八王子で開催された。本記事では第2部「呪術廻戦」「Yasuke -ヤスケ-」「takt op.Destiny(タクトオーパス デスティニー)」のステージをレポートする。

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「呪術廻戦」のステージには、虎杖悠仁役の榎木淳弥、伏黒恵役の内田雄馬、釘崎野薔薇役の瀬戸麻沙美、MAPPAの瀬下恵介プロデューサーが登壇。観客からの期待を受けながら、まずは第1話「両面宿儺」の制作秘話が展開されていく。瀬下は、キャラクターデザイン・平松禎史が担当した第1話の絵コンテを初めて見たときの印象を「完成度がとにかくすごいなと。コンテの絵や1カットの尺の使い方の精度がかなり高く、これは絵コンテを読み取ったうえでさらに広げてくれるスタッフを集めないといけないなと思いました」と話す。榎木は「確かに1話とほかの話数でけっこう雰囲気が違いますよね」と振り返り、内田は「1話から動きの描かれ方がすさまじかったです。完成はしていないものの、収録時点でリアルにキャラクターの動きが感じられました」と続けた。また第3話から登場する釘崎の話題になると、瀬下は「けっこう暴言を吐いたりするんですけど、下品さが出てはいけないと思っていて。瀬戸さんの声を聞いたとき、ぴったりだなと感じました」と伝える。瀬戸は「この1、2年ですっかり口が悪くなりました(笑)」と受けて観客の笑いを誘い、「私の中ではもっと彼女が持つ品を消さなきゃって思っていたんですよ。今のお話を聞いて、気が楽になりました」と打ち明けた。

名シーンを振り返るコーナーでは、花御との戦闘で黒閃を発動した虎杖のシーン、伏黒が血まみれで領域展開・嵌合暗翳庭(かんごうあんえいてい)を繰り出すシーン、釘崎が術式・共鳴りで戦うシーンをピックアップ。黒閃の発動シーンについて、榎木は「原作とはまた違う表現で、さらにイメージを膨らませて描かれていた」と作画に賛辞を贈る。それを受けて瀬下が「このシーンはアフレコ録りの後に映像を仕上げたんです。意識としては、演者さんの芝居に負けない作画を志しました」と明かすと、榎木は「自分の演技も加味したうえで作画されたと聞き、一緒に作品を作り上げている感じがしました」と感慨深そうに感想を述べた。内田は伏黒の領域展開のシーンを「親の顔より見た(笑)」とうそぶきつつ、続けて「現場では頭を真っ白にして、余計なことを考えないようにしました」とアフレコを回顧。瀬戸は「ニヤッと裂けるくらい笑う原作の表情をもとに、どんな音が出るかイメージして作り上げました」と、共鳴りを使うシーンの役作りについて説明した。エンディングで榎木は「今回登壇させていただきながら、新しい発見がいろいろあったので、ぜひスタッフだけのトークショーもやってほしいなと思いました。そのときは客席で観てみたいです」と、この日のステージの感想を語った。

現在配信中のNetflixオリジナルアニメ「Yasuke -ヤスケ-」のステージには、原案・プロデュース・監督を務めるラション・トーマスが登壇。通訳を通して、総合MCの天津・向清太朗からさまざまな質問がなされた。トーマス監督はアメリカで数々のアニメを手がけたのち、約4年前から日本を拠点に活動を開始。なぜ日本を活動拠点にしたのかと尋ねられると、アニメを作るなら日本へ行かなければいけない、ずっと日本に憧れていたと答える。アメリカで手がけた作品の実作業はほぼ韓国への外注だったそうで、MAPPAとタッグを組んだ「Yasuke -ヤスケ-」では、制作現場の空気を肌で感じてとても刺激になったと話す。トーマス監督は自分のアイデアに対し、現場のスタッフがさらにアイデアを出してくれること、そして自分の思わない進化をしていくことが非常に面白いと笑顔で語った。また「Yasuke -ヤスケ-」は劇伴をフライング・ロータスが担当しているが、トーマス監督はアメリカでの劇伴制作との違いに戸惑う部分もあったという。これにはMAPPAで「坂道のアポロン」などを手がけ、フライング・ロータスと親交のあるアニメ監督・渡辺信一郎の助力があったことも明かされた。

第2部のラストを飾ったのは、3月に発表されたDeNAとバンダイナムコアーツによるプロジェクト「takt op.(タクトオーパス)」。このステージで初めて、そのTVアニメ「takt op.Destiny(タクトオーパス デスティニー)」のティザーPVとビジュアル、そして制作を、MAPPAとマッドハウスが共同で手がけることが明かされた。ステージには伊藤祐毅監督、脚本の𠮷村清子、DeNAの堀田章一プロデューサー、マッドハウスの福士裕一郎プロデューサー、MAPPAの木村誠プロデューサーが登壇。クラシックがモチーフとなり、有名な楽曲がキャラクター化して描かれる同作について、スタッフサイドからの裏話が飛び出していった。意気込みを聞かれた伊藤は「楽曲同士が戦うんですが、“音楽の力”をコンセプトに、その楽曲にどういう意味があるのかをうまく落とし込めたらいいなと、現場のスタッフも全力で探りながら戦っている状態です」と語る。𠮷村は「クラシックと聞くと堅苦しいイメージがあるかもしれないんですが、会話もテンポよく楽しいシーンもたくさんあるので、ぜひ身構えないで観てほしいですね」と呼びかけた。

MAPPAとマッドハウスがタッグを組むことになった経緯について尋ねられると、マッドハウスの福士は「MAPPAの大塚学さんと仕事をしたいと思っていて、2年前にお会いして一緒に食事をしたときに声をかけさせていただいたのがきっかけです。MAPPAさんのチャレンジする姿勢と勢いに飛び込んでみました。(発表された)クレジットを見て、夢じゃないんだなって思いましたね」と喜びを伝える。木村も「1年前くらいに共同制作することが正式に決まったんですよね。いろいろ固まるまで時間がかかりましたが、僕自身も福士さんとご一緒したかったので、うれしいです」と笑顔を見せた。また主演を務めることが明かされた指揮者(コンダクター)・朝雛タクト役の内山昂輝から、自身の役柄や見どころについて語るビデオメッセージが届けられる場面も。最後に堀田は「ベートーヴェンが怒らないような作品になっていると思います」とアピールし、ステージを締めくくった。「takt op.Destiny」はテレビ東京系6局ネット・BSテレビ東京にて10月5日に放送開始が決定している。

なお「MAPPA STAGE 2021 -10th Anniversary-」の模様は、MAPPA公式YouTubeチャンネルでアーカイブ配信中だ。

■ 「劇場版 呪術廻戦 0」
2021年12月24日(金)公開

原作:「呪術廻戦 0 東京都立呪術高等専門学校」芥見下々(集英社 ジャンプ コミックス刊)
制作:MAPPA
配給:東宝



■ Netflixオリジナルアニメシリーズ「Yasuke -ヤスケ-」
Netflixで全世界独占配信中

□ スタッフ
原案・監督・製作総指揮:ラション・トーマス
キャラクターデザイン:小池健
チーフアニメーター:岩瀧智
演出チーフ:佐藤威
サブキャラクターデザイン:嶋謙一
世界観設計・美術設定:西田稔
美術監督:東潤一
色彩設計:佐々木梓
3DCGディレクター:野本郁紀
撮影監督:朴孝圭
編集:武宮むつみ
音楽・製作総指揮:フライング・ロータス
制作:MAPPA

□ 日本語版キャスト
ヤスケ:副島淳
織田信長:平岳大
咲希:田村嬉子
闇の大名:榊原良子
夏丸:占部房子
アブラハム:牛山茂
守助:神尾佑
イシカワ:喜多村英梨
アチョウジャ:北村謙次
ハルト:窪塚俊介
ニキータ:七海ひろき
一華:田中理恵



■ TVアニメ「takt op.Destiny」
テレビ東京系6局ネット・BSテレビ東京:2021年10月5日(火)より毎週火曜日24:00~

□ スタッフ
原作:DeNA、広井王子
監督:伊藤祐毅
シリーズ構成:𠮷村清子
キャラクター原案:LAM
キャラクターデザイン:長澤礼子
音楽:池頼広
制作:MAPPA、マッドハウス

□ キャスト
朝雛タクト:内山昂輝