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BTS「Butter」、各リミックスバージョンのポイントは? 米ビルボード「HOT100」5週連続1位獲得を機に分析

2021年07月04日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

BTS「Butter」

 BTSが歌う「Butter」が、米国ビルボードシングルチャート「HOT100」で5週連続1位を記録。ビルボード史上、初登場1位を獲得後5週連続で首位をキープした楽曲は、わずか11曲にとどまるという。「生涯の目標」であったはずの米国ビルボードシングルチャート「HOT100」での1位。その目標を軽々と飛び越えて、自己ベストを更新し続けていく彼らに、改めて頼もしさを感じる数字だ。


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 この吉報を受けてBTSは6月29日にライブ配信アプリ『V LIVE』にて生配信を実施。ARMY(ファン)への感謝を伝えたいという思いのもと、多忙なスケジュールの合間をぬって集合した姿に、グローバルグループとなった今も変わらぬ健気さを持っていることを再認識させられる。そして「Congratulations!」と無邪気に歌い合う仲睦まじい姿も相変わらず微笑ましい。


 「21世紀のポップアイコン」とも呼ばれるようになったBTSは、スーパースターとしてのパフォーマンス性の高さはもちろんのこと、それ以上に多面的な魅力が多くのファンの心を掴んで離さない。そして、本作「Butter」にも、そんな多くの魅力を持つ彼らが織りなすリミックスバージョンが存在する。


 〈Hotter? Sweeter! Cooler? Butter!〉とリーダーのRMが歌うフレーズに沿って、発表された「Hotter」「Sweeter」「Cooler」の3バージョンのリミックス音源。オリジナルと合わせて実に4つの異なるテイストで楽しませてくれるのも、「Butter」が多くの人を魅了してやまない理由かもしれない。


 オリジナルは、まさに王道といえるプレーンの味わい。ドライなサウンド、シンプルなセット、そしてモノクロの映像からスタートするMVが象徴するように、素材で勝負といった雰囲気だ。にもかかわらず、JUNG KOOKの手の甲へのキス、JINの首に手を当てた憂いを帯びた表情、Vのウインク&バキュン……と、破壊力のあるメンバー1人ひとりの瞬間的な一挙手一投足に打ちのめされる。サビに入ると一気に映像はカラーになり、7人が揃ってダンスを披露。決して力んだ印象はないものの、それでいてその足の開く角度まで揃えられた美しい群舞に、それがBTSのベースとなるパフォーマンスレベルであることがしっかり印象付けられる作りだ。


 そんなオリジナルの音源にEDMアレンジを加えられたのが「Hotter Remix」バージョンだ。歌声には機械的なエフェクトがかけられるのだが、MVではむしろリラックスした人間味あふれる表情が映し出され、そのギャップが楽しい。リズムの取りやすいよりダンサブルなサウンドとなったことで、7人が思い思いに体を音にあずけて楽しむ姿も。まるでメンバーと共にクラブにやってきて、夜遊びを繰り広げているような気持ちにさせてくれるMVだ。SUGA、RM、J-HOPEと続くラップパートとの相性も抜群で、メンバーとの一体感もより盛り上がっているのが伺える。


 そんなノリのいい「Hotter Remix」に対して、「Sweeter Remix」はR&Bの雰囲気をプラス。大人っぽいしっとりとした楽曲に仕上がっている。背後の音の広がりが実に心地よく、まるで音のプールに身を沈めていくような感覚に。思わずまぶたを閉じて耳だけに集中して聴き込みたくなる底の深い1曲だ。間奏部分では、彼らのステップを想像させる軽快なメロディラインが脳内を駆け抜け、歌声もやさしく包み込むように響きわたる。夏という季節には、弾けるアツさだけでなく、ロマンティックで甘いひとときも似合うもの。そんな夏の持つ異なるときめきも1曲で同時に彩ってくれる。


 そして最後は、ジャージ姿のメンバーが体育館セットの中で踊るMVと共に発表された「Cooler Remix」。学園ドラマに出てくるような彼らのポップな姿と、ギターサウンドが青春感あふれるテイストに。ボーカルにもエコーがかかり、通常のステージでは味わえない雰囲気を演出。MVではJIMINが〈Oh when I look in the mirror〉のフレーズに合わせて、体をうねらせるダンスを披露。ラフに踊る中でも基礎部分のレベルの高さを感じさせる動きに、誇らしい気持ちになる。さながら、このMVを見つめる眼差しはBTSという部活動のマネージャー気分といったところだろうか。まだまだ彼らが成長していく姿を見届けられる楽しみ、そしてその期待に応え続けてくれる彼らへの信頼を、爽やかなサウンドと共に噛みしめることができる。


 混じりけのない素材そのものの良さ、遊び心と大人の余裕を兼ね備えたチャーミングさ、そしてさらに伸びしろを感じさせる成長性。リミックスバージョンを含めた「Butter」という作品には、BTSの現時点の魅力を存分に味わうことができるのだ。そんな「Butter」旋風が吹く中で、7月9日に発売するCDには新曲「Permission to Dance」を収録することを発表しているBTS。「新曲のほうがもっと良い」とRMが自信を覗かせるから大変だ。常に自己を更新し続ける彼らのカムバックを楽しみにしつつ、今は「Butter」の魅力にどっぷりと浸かっていたい。(佐藤結衣)