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ホンダF1田辺TD会見:ホンダPUパワーアップの噂を否定「今回のタイミングでパワーを上げることは不可能」

2021年07月02日 15:11  AUTOSPORT web

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田辺豊治 ホンダF1テクニカルディレクター レースプレビュー
先週末の2021年F1第8戦シュタイアーマルクGPでメルセデスに圧勝し、4連勝を果たしたレッドブル・ホンダ。常勝軍団を圧倒した勝ち方だっただけに、特にホンダ製パワーユニットについて「フランスから投入された2基目から、大幅なパワーアップをしているのでは」といった憶測が飛んだ。

 しかし、もちろんホンダF1の田辺豊治テクニカルディレクターはそれを全面否定した。レース週末での使い方の最適化が進んだことで、「パフォーマンスが上がった可能性は?」という問いかけにも、「開幕戦から最適化に取り組んでおり、特に使い方は変えていない」とのことだった。

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──今週末は、同一サーキットでの2週連続開催です。

田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):先週のレースでは(ピエール・)ガスリーは残念でしたが、(マックス・)フェルスタッペンが優勝し、ホンダとしても4連勝を果たすことができました。

 同じサーキットですが、今週末は涼しくなって曇りがちという予報です。天候的には、コンディションは変わりそうです。タイヤも一段階ソフト側に振られていますので、先週のデータを検討し、さらなる戦闘力が発揮できるように明日から頑張ります。

──ピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)のトラブルに関しては、その後何かわかったことはありますか?

田辺TD:まだ調査中ですね。

──先週のレースでもルイス・ハミルトン(メルセデス)は「レッドブルの直線スピードは上がっている」というようなことを言っていました。それは置くとしても、新世代パワーユニットの1基目のときは初めてということで慎重な使い方をしていたのが、7戦目のフランスGPから2基目を投入するにあたり、よりアグレッシブな使い方にスイッチしたということはありますか?

田辺TD:基本的には、開幕戦から性能と信頼性の最適なバランスを取りながらやってきました。当然、実際に使ってみて、最適化を図る作業は毎レースやっていますが、1戦1戦全力でやっています。ですので、2基目から特に使い方を変えたということはありません。

■パドックで噂されるホンダPUのパワーアップについては否定
──パドックでは、「ホンダの2基目は10kw上がっている」などという噂が出ているようです。そのことに対してホンダ側は何か明確な答えは用意していますか?

田辺TD:特にしていません。直接聞かれていないですし、もし聞かれた場合でも、今の規約では今季使用するパワーユニットはすべて年初の時点でホモロゲーションを提出しています。その後は信頼性の問題に関わるものだけはFIAに申請を出し、全メーカーの承認が得られて、初めて対応できることになっています。

 その意味で言えば、今回のようなタイミングでパワーを上げることは不可能です。そこまで細かく、厳しい体制にしているかといえば、1基目から2基目、3基目への変更のときに、パワーを上げた例が昔あったじゃないかという指摘があったからです。それで今はプロの目で審査をして、そういうことがないように厳しく管理されています。

 今季ここまで全メーカーからいろいろな改造申請が出ていますが、ひとつとして否認されたものはないです。全チームがきちんと規約に沿った運用をしているということです。噂が出ていることは承知していますが、我々としては、もともとそんなことはできませんし、していません。

──土曜日にはメーカー会議が開かれます。2025年以降のパワーユニットについてという議題なのでホンダは出席しませんが、アウディやポルシェが出席すると言われています。新たなメーカーがF1に参入する可能性、今後の情勢についてはどう考えていますか?

田辺TD:FIAをはじめ、F1関係者はメーカーの新規参入を望んでいます。そのなかでFIAが今後のパワーユニットのあり方についてOEMトップと話し、方向性をシェアする会議と捉えています。その意味では非常にいいことだと思っています。