2021年F1第8戦シュタイアーマルクGPは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のポール・トゥ・ウインでレッドブル・ホンダが4連勝を挙げ、ドライバー、コンストラクターズ両選手権でのリードをさらに広げた。セルジオ・ペレス(レッドブル・ホンダ)は4位、角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)もミスのない週末を過ごし、2戦ぶりのポイント獲得となる10位入賞を果たした。
一方で予選6番手と相変わらず速さを見せていたピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)は、スタート直後の接触事故でリタイア。「4台完走、4台入賞」の目標は、今回も達成できなかった。
それでも激戦の末の勝利だった前戦フランスGPから一転、メルセデスを寄せ付けず完勝したことには、ホンダF1田辺豊治テクニカルディレクターも「素晴らしい優勝だった」と手放しで称賛。「勝ち続けることへのプレッシャーは高まっているし、これからもどんどん高くなってほしい」としながらも、「あくまでプレッシャーで死なない程度に」とジョークで応じていた。
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──モナコから4連勝を果たしました。
田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):予選でもルイス・ハミルトン(メルセデス)にコンマ2秒近い差をつけてポールポジションを獲得し、決勝レースもそのまま独走という形でした。予選からレースと非常に力強い展開で、素晴らしい優勝だったと思います。
ほかの3台も予選まではいいパフォーマンスを見せていました。しかしレースでは6番グリッドの(ピエール・)ガスリーが残念ながら早々にリタイアを喫し、4台完走、4台入賞とはなりませんでした。
──セルジオ・ペレスも表彰台まであと一歩でした。
田辺TD:ピット作業でタイムロスがあり4番手に後退しました。それが最後まで響きましたね。今のF1は前のクルマにうまく近づけません。コンマ5秒差まで(バルテリ・ボッタス/メルセデスを)追い上げましたが、追い抜くことはできませんでした。
角田(裕毅)は3グリッド降格ペナルティが響きました。11番グリッドからのスタートになり、ミディアムタイヤスタートの周囲のクルマを相手に苦戦を強いられました。それでもガスリーのリタイア後は1台で戦い続け、ポイントを獲得できました。
──今週末も同じレッドブルリンクでの2連戦です。
田辺TD:どのチームも初戦で得たデータを分析して2戦目に備えると思います。タイヤコンパウンドが1段階柔らかくなりますし、コンディションも大きく変わるかもしれません。車体、パワーユニットのセットアップの見直しなど、万全を期したいと思います。
■フェルスタッペンのリヤブレーキ不具合はセンサー異常
──レッドブル・ホンダとしてはこの勝利が通算10勝目になります。ホンダとしてこの2年半でどんな進化を遂げたことが、この10勝目につながったと考えていますか?
田辺TD:パワーユニットの進化は言うまでもないことです。年間3基という制限のなかで最高の性能を発揮するには、高いレベルの信頼性を確立しなければなりません。性能と信頼性、両方で進化を遂げたことがホンダ側の一番の要因です。
ここまで多くのことを学び、いろいろなトライをして開発を重ねてきました。と同時に、レース現場とさくら、ミルトンキーンズの両オペレーションセンターでは、最適な使い方、マネジメントを模索してきました。それらが噛み合っての結果だったと思います。
──レース中、マックス・フェルスタッペンは何度かリヤブレーキの不具合を訴えていました。
田辺TD:車体側のセンサー異常で、パフォーマンスには大きく影響しなかったようです。パワーユニット側には、まったく影響はありませんでした。
──前戦フランスGPでは非常に緊迫した展開で、レース後には「勝てば勝つほどプレッシャーがかかる」と言っていました。独走で勝利した今回のシュタイアーマルクGPは、それに比べれば気持ち的に余裕が出てきたのではないでしょうか?
田辺TD:直線ではなく、曲線的にプレッシャーは高まっています。
──さらにプレッシャーが高まっていると?
田辺TD:そうです。その繰り返しです。そのプレッシャーが、これからもどんどん高くなっていけばと思っています。あくまでプレッシャーで死なない程度に、ですが(笑)。