個別指導塾を経営・運営する中で、1500人以上の小中高生をサポートした、プロ家庭教師の妻鹿潤です。
私はいま、キャリアコンサルタントや採用面接官の仕事もしているのですが、面接でやり取りをしていて「この人は地頭がいいな」と感じることが多々あります。実はこの「地頭」、小中高の勉強でも、かなり鍛えられると思っています。今日はそのポイントをご紹介します。
そもそも「地頭がいい」ってどういうこと?
私が面接をしていて「地頭がいいな」と思うのは、その人に「構造把握能力」と「言語化能力」の両方があると感じたときです。
ここでいう構造把握能力とは、情報を分類・整理して、ものごと全体のしくみを理解する力のことです。言語化能力は、自分自身の考えを言葉にする力です。
構造把握能力が高いと、ちょっと会話をするだけで、話の全体像を理解することができます。それに加えて、言葉の選び方が適切なら、会話が変にズレることはありませんよね。そうすると、面接官に「この人は、地頭が良いな」という感想を持ってもらいやすくなります。
では、この2つの力は、どうやって鍛えればいいのでしょうか。
勉強の「やり方」でガラッと変わってくる
言語化能力については、友達と話したり授業で発表したりと、鍛えられる場面があります。ただ、大学受験でも中高受験でも、難易度の高い論述問題が出るのは、ごく一部の難関校に限られますので、テスト勉強という形では少ないでしょう。
その一方、構造把握能力は、小学校~高校の勉強でもかなり鍛えられます。たとえば、数学のテストでは、問題をしっかり読み取って、「ここでは、この公式を使うべきだ」などと判断できなければ、正解にはたどり着けません。理科、英語、国語でも、同じように問題を分析してパターンを読み取る必要があり、そこで構造把握能力が鍛えられます。
暗記モノとされる地理でも、その土地の気候と産業をバラバラに覚えるのではなく、温暖で日当たりが良いから果物がよく育つ、などと関連付けて覚えることができれば、記憶が定着しやすくなります。
歴史でも、「なぜその出来事が起こったか?」を理解していくようにすれば、モノゴトが次々につながっていって、覚えるのがラクになります。
逆に、モノゴトのつながりを考えずにバラバラに「暗記」するだけの勉強はNG。構造把握能力はほとんど育ちません。
暗記だけに頼ると……
このように、情報を整理して、モノゴトの背景を理解したり、パターンを見出したりしながら勉強している生徒は、成績が段違いに伸びます。15年以上教育現場で見てきて、これは断言できます。
たとえば、応用問題は「パッと見て解法が思いつかない」ように、ひとひねりしてあるのが特徴です。見方を変えたり、要素を分解したり、いろいろなやり方を試す中で「あ、これって、あのパターンだ」と気づくように作ってあるのです。暗記だけに頼った勉強をしている人は、応用問題でピタッと手が止まります。「解いたことがない問題」だからです。
一方で、構造把握能力が高い生徒は「ここがちょっと違うだけで、結局同じだ」と見抜けるので、正解にたどり着けます。そうやって見抜く力を身につければ、一つの解き方を覚えるだけで、さまざまな応用問題を解けるようになるので、時短にもなります。
部活動を引退したあと、短期間で飛躍的に成績を伸ばす生徒は、構造把握能力が高いケースが多いです。
というわけで今回は、 どうせ勉強するなら、力ずくで暗記するのではなく「地頭を鍛えるやり方で」という話でした。成績が上がりやすいですし、社会に出てからも役に立ちますよ。