コロナ禍で、国内企業でも急速に広がったテレワーク。転職市場ではテレワーク出来るか否かが求職者にとって重要な条件になりつつあるが、新卒も例外ではないようだ。
学情は6月18日、テレワークに関する調査結果を発表した。調査は5~6月上旬にネット上で実施し、2022年3月卒業(修了)予定の大学生・大学院生482人から回答を得た。
入社先の企業にテレワークの制度があった場合に「利用したい」と答えた学生は82.4%にのぼった。回答者からは「コロナ禍が続く場合、出社と並行してテレワークもできると安心だと思う」「通勤時間がなくなれば、仕事に使える時間が増えると思う」といった声が寄せられている。
「テレワークは仕事に慣れてから」と2割が回答
一方、「利用したくない」(14.3%)と答えた回答者からは、
「テレワークだけでは、上手く伝わらないこともあると思う。先輩が入社してすぐにテレワークになり、苦労しているという話も聞いている」
「上司や先輩に相談をしたり、アドバイスをもらうのが難しそう」
といった声が寄せられた。
また、「どれくらいの頻度でテレワークをしたいか」という質問に対しては、意外にも「毎日」と回答した学生は13.8%にとどまった。最多は「週に3~4回」(33.2%)で、次いで「週に1~2回」(27.4%)と続く。
このほかに「仕事に慣れてから実施したい」(19.1%)と答えた人も2割弱みられた。回答者からは、
「業務に慣れ、会社の雰囲気を掴めるまでは、対面でコミュニケーションを取りたい」
「新入社員のときから、テレワークで仕事を進められるのか不安を感じている」
といった声も寄せられており、入社直後にテレワークを実施することに不安を感じる学生も多いことが分かった。
「柔軟な働き方ができる点が好意的に受け止められている」
続いて、テレワークのイメージについて聞くと、最多は「柔軟な働き方ができそう」(61.5%)だった。以降は「住む場所の自由度が高くなりそう」(52.8%)、「上司や同僚とのコミュニケーションが難しそう」(45.1%)、「効率的に働けそう」(41.4%)、「より成果が求められそう」(21.1%)などと続いた。
上位2項目はポジティブな回答が並んだものの、3番目にはコミュニケーションに対する不安の声が寄せられた。まだまだ新しい働き方に不安や課題を感じる学生が多いことが伺えた。
調査を実施した学情の担当者は、学生の8割以上がテレワークを希望しているという調査結果について「柔軟な働き方ができる点が、学生から好意的に受け止められてきていると感じます」と印象を話す。
「『働き方改革』が推進され、企業側が『働きやすい環境』の整備やそのPRに力を入れることで、就職活動においても、『働きやすさ』を重視する学生が増えています」
また、コロナ禍で学生の間でも「オンライン授業」や「ウェブ面接」が急速に広がったことも影響しているとする。
一方、テレワークの希望頻度に「毎日」と答えた人が約14%にとどまったのも興味深い。前述の担当者は「オンラインでのコミュニケーションは"用件"が中心で、気軽に質問をしたり、雑談で社内関係を築いたりすることが難しいという側面があります」とオンラインによるコミュニケーションの欠点を指摘する。
「入社してすぐにテレワークで働くことになると、『上司や先輩との人間関係を築きにくいのではないか』『業務で分からないことがあっても、質問するタイミングを掴みにくいのではないか』と不安に感じている学生が多いと考えています」
社員間のコミュニケーションの大半をメールや電話、ウェブ会議アプリに依存するテレワークでは、同僚との関係を築く"雑談"が生まれにくい。「まずは社内の人間関係を築き、仕事の基礎を覚えてから、テレワークも含めた働き方をしたいというしっかりと先を見据えた回答ではないでしょうか」と分析した。