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茨城県、首都圏からの移住者が急増中!?  新築戸建が2000万円台、つくばエクスプレスで高い利便性

2021年06月20日 06:10  キャリコネニュース

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テレワークの広がりを受け、都市部から地方に移住を検討する人が増えている。中でも人気を集めているのが、2019年まで7年連続で魅力度ランキング最下位だった茨城県だ。

県の計画推進課によると、移住相談窓口「いばらき暮らしサポートセンター」に寄せられた相談件数は2019年6~9月は197件だったのに対し、20年6~9月は338件と1.72倍に増加。直近の21年4~5月についても112件(19年:71件、20年:42件)で、増加傾向が続いている。

「東京までの通勤時間が神奈川県、埼玉県、千葉県と同じくらい」


茨城県が移住先として注目を集める理由について、次のように分析する。

「都心からそれほど離れずに、広い住宅や豊かな自然環境のある生活が可能なことだと思います。神奈川県、埼玉県、千葉県と比べ、東京までの通勤時間が同じくらいの場所で、よりゆとりがある環境で暮らせると思います。また、北関東3県の中では、茨城県の特に南部は新幹線を使わずに東京へ通勤が可能といった特長があります」

実際に相談者からも「テレワークが増えたので、通勤時間1時間半程度で自然環境の良い地域に住みたい」「会社がほぼテレワークになったので、のびのび子育てするため茨城県への移住を検討している」といった声が寄せられているという。

県内では特につくば市、守谷市、つくばみらい市が人気のエリアになっている。3市に共通するのは、いずれも「つくばエクスプレス」の沿線である点だ。

「秋葉原駅まで30分~50分程度という交通利便性と、駅周辺の区画整理された新しい住宅地が人気となっています。またJR常磐線も東京駅まで直通で乗り入れており利便性は高く、沿線が注目されています」

担当者はさらに「都心への直通電車の始発駅も多く座って通勤可能であり、週1~2回東京へ通いながらテレワークを行うには、茨城県が最適です」と意外な利便性とアピールする。

移住先候補は「茨城県」「千葉県」 茨城県を選んだ決め手とは?

今年1月に埼玉県から茨城県守谷市に移住した30代男性に話を聞いた。東京・丸の内の企業で働いているが、やはり新型コロナウイルスの影響で当面はテレワークだ。移住先に守谷市を選んだ理由を聞くと、

「子どもがいるので、子育てしやすい場所を基準に選びました」

と子育て環境を第一の理由に挙げた。4歳、2歳、0歳の3人の子どもがおり、市民公園や森林公園といった、子どもを遊びに連れていける公園が近隣に多いことが決め手になったようだ。

市内に2000万円台の新築戸建て住宅を購入。間取りは広々とした2階建ての4LDKで、家の前には車が3台置ける庭まで付いている。住宅選びの際には、千葉県も候補に挙がっていたというが、

「当初の移住先候補は、茨城県か八千代緑が丘(千葉県八千代市)でした。ただ、千葉県で同じ条件の家を買おうとすると価格が2倍近くなるので辞めました。千葉県とは違い、茨城県は車社会なので道が広く、ゴミゴミしていない点も気に入っています」

駅から自宅まではやや距離があり、生活には自家用車が必須だ。だが裏を返せば、車さえあれば生活に困ることはなく、飲食店であればマクドナルド、丸亀製麺、かつや、スシローといったチェーン店がそろう。

また、商業施設も充実。コストコやイオンタウンのほか、高速道路を使えば30分ほどで埼玉県のイケアにアクセスすることも可能。「郊外ならではの大型商業施設で買い物を楽しめることも魅力」とした。

少子化とは無縁 1学年180人以上の小学校も

そもそも当初から「つくばエクスプレス沿い」が有力な候補だったという。最寄り駅から秋葉原駅までは41分、快速ならば32分で、前述の県担当者の説明通り、神奈川、埼玉、千葉の3県からの通勤時間と大きく変わらない。現在は、原則通勤する必要はないが、急な出勤であっても座りながら都内まで出ることができるのは魅力的だ。

茨城県内で車を購入した際も、営業担当者から「守谷いいですね」と言われたという。地元の人からも注目を集める"ホットスポット"になりつつあるようだ。

「小学校は1学年180人以上になることもあると聞きます。茨城は地方ですが、ここだけは少子化が問題になっていないようです」

"茨城県"と聞くと、ヤンキーのイメージを想像してしまいがちだが、男性は「筑波、守谷に関して言えばそんなことはない」と印象を話す。ファミリータウンとして確立しており、飲み屋などの夜の店は極端に少ない。終電で最寄り駅に着いた時にも、車が一切走っておらず「静かだった」と語る。

また、近所に難関大の筑波大学があることで、学習塾が多いのも特徴。子どもの将来を考え、教育に力を注ぎたい保護者からも人気のエリアだ。

田舎、不便、治安が悪い――などネガティブなイメージを集め、魅力度最下位の常連だった茨城県。だが、実態はそれほど悪くなさそうだ。男性は、

「守谷はある程度完成した町ですが、これからは『みらい平駅』周辺などが来そうです。道路とかもどんどん整備されています」

と話した。新型コロナウイルスで生活や働き方が変化する中、今後も"茨城人気"は続いていきそうだ。