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フェラーリに完敗。ポルシェ911 RSRを襲った「驚きの」タイヤ・デグラデーション/WEC第2戦

2021年06月16日 14:51  AUTOSPORT web

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WEC第2戦ポルティマオでピット作業を行なうポルシェGTチームの91号車ポルシェ911 RSR-19
WEC世界耐久選手権のLMGTEプロクラスに参戦するポルシェGTチームのファクトリードライバー、リヒャルト・リエツは、第2戦ポルティマオ8時間レースにおいてライバルのフェラーリに挑むことができなかった要因となったレース中のタイヤ・デグラデーションについて、「驚いた」と語っている。

 91号車、92号車と2台のポルシェ911 RSR-19をそれぞれ3人のドライバーによって走らせたチームは、レース中によりハードな仕様のミシュランタイヤへと切り替え、ライバルである2台のフェラーリ488 GTE Evoとのギャップを取り戻そうとした。

 しかしケビン・エストーレ/ニール・ジャニ/ミカエル・クリステンセンの92号車は3位、リエツ/ジャンマリア・ブルーニ/フレデリック・マコウィッキの91号車は4位に甘んじ、フェラーリがワン・ツー・フィニッシュを達成した。

「残念ながら、プラクティスでは問題は見られなかったんだ」とリエツはSportscar365に対し語っている。

「だから、僕らは驚いたんだ。決勝でそれに対処しなければいけなかった。まず、ドライビングスタイルで対応し、気をつけ、それから他のことを試した」

「この問題がレースの段階になって起きたのはちょっと悲しい。幸いなことに、タイヤのスペックを変えてからは速かった」

 リエツ含む91号車のクルーは、92号車よりも厳しいタイヤ・デグラデーションに直面していたように見えた。91号車はさらに、デブリによるパンクにも見舞われ、標準的なピット・シークエンスからも外れることとなった。

 ポルシェのWECオペレーション責任者であるアレックス・シュテーリッヒは、レース中盤タイヤスペックの変更により、ポルシェは「より良いペースとリザルト」を得ることができたと説明している。

「このプランは、フリープラクティスのセッションで決定された」とシュテーリッヒはSportscar365に対し述べている。

「我々は自分たちがやっていることを正しいと思っていたが、最初の3~4スティントで我々はプランを適合させる必要があると分かった。それが起こったのだ」

「レースの序盤では、92号車の第1スティントは良いものだったし、91号車もOKだった。その後、セカンドスティントから、思い通りのペースで走れないことに気がついた」

「思っていたより、タイヤのデグが大きかった。我々の選んでいたタイヤが作動領域にないことが分かったので、ペースを失った。次に、タイヤ温度など、マシンに装着されているタイヤの状態を理解しようとした」

「我々は、レース中に隣り合うスペックへと変更することを決定した。ただし、次から次へとスペックを変更していくことはできない。戦略というものがあるからだ。タイヤに関する計画、そしてタイヤを(ウォーマーで)暖めるプランもある。それらすべてを整える必要があり、それには少しの時間がかかる」

「レース中盤については、スペックを変更してペースが改善し、より良いリザルトを手にすることができた」

 ポールからスタートした92号車は、7時間目にエストーレが最後のふたつのコーナーでAFコルセ52号車フェラーリ488 GTE Evoのダニエル・セラをパスしたことで2番手のポジションを回復したが、これは最終8時間目に導入されたFCYまでしか続かず、フェラーリが戦略的な優位性を保ったままだった。

「その時点で、我々はフェラーリとのギャップを失っていた」

「ピットシークエンスの問題で、我々はすでにアンダーグリーンの状況で最後のピットストップを済ませており、フェラーリのピットタイミングはそこから6~7周おくれていた。まさにそのタイミングで、FCYが導入された」

「彼らはこのFCY中にピットインし、大幅にタイムロスを減らすことができた。それにより、彼らが再び2位のポジションを得たのだ」

■ワン・ツーのフェラーリ「本来は5ラップ、足りなかった」
 GTEプロカテゴリーを制したAFコルセ51号車フェラーリ488 GTE Evoのジェームス・カラドは、彼およびチームメイトのアレッサンドロ・ピエール・グイディがマニュファクチャラーにとって19カ月ぶりとなる勝利を挙げることになった要因である、チームのクルーを賞賛した。

 セーフティカーとFCYの導入により、タイムロスの生じる追加のピットストップが必要なくなった、とカラドは付け加えている。

 ピエール・グイディの最後のピットストップは、残り1時間7分の時点で行なわれた。GTEプロの1スティントは通常約1時間だが、最終8時間目に導入されたFCYが51号車の優勝を助けた。

「彼ら(ポルシェ)はペースが少し速かったが、僕らよりもタイヤのデグラデーションに苦しんでいたと思う」とカラドは振り返る。

「プラクティスでは苦労したけど、スパにちょっと似たベースセットに戻すことができた。そのため、レースでのクルマはかなり良かった」

「セーフティカーは必要な燃料節約を行なうことができるという点で、僕らの戦略を少し助けてくれた。本来は、5ラップ足りなかったんだ。スプラッシュをするつもりだったけど、セーフティカーによってその必要はなくなった」

「もちろん、勝利を収めることができて良かったよ。久しぶりだ。最後の勝利は2019年の上海だったので、チームにとっては素晴らしい結果になった。そして、ワン・ツーという結果もフェラーリとAFコルセにとって偉大なものとなった」

「これはクルーの戦略のおかげだ。それが僕らが勝てた理由だ。モンツァ戦も楽しみにしている」