トップへ

佐々木恵梨『Colon』は創作の楽しさが詰まった2ndアルバムに

2021年06月16日 12:11  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
●テーマで縛らず、好きなことを詰め込んだアルバムが完成
シンガー・ソングライターの佐々木恵梨が、6月16日に2ndアルバム『Colon』をリリース。TVアニメ『ゆるキャン△』のEDテーマとなった「ふゆびより」以降のシングル曲に加え、新曲4曲も含む全15曲を収録している。そんな本作の収録曲を、今まで以上に楽しんで作れたと語った佐々木のインタビューが到着した。

○●『Colon』収録曲にも繋がった、コロナ禍後も生かせそうなひとつの発展

――今年5月、『Colon』のリリースに先駆けてオンラインライブ”Semicolon”を開催されました。そういった形も含めた現状の活動と、コロナ禍以前の活動との違いを感じる部分はこの1年間ありましたか?

ライブやイベントが何個か中止になったりとか、やっても無観客だったりとか。そういうところを通じて感じてはいます。ただ私、緊張しいなんで、お客さんがいないことで逆にリラックスできたときもあって(笑)。なので、一長一短かなという感じですね。

――コロナ禍が明けてから生かせそうだなと感じている経験は、今何かありますか?

ライブに関しては「普通に戻るんだろうな」という感じなんですけど、音楽制作の面を考えると、国や場所にかかわらずいろんな人と一緒に音楽を作ったり発信できるようになってきたじゃないですか? そういう部分に関してはいい発展もあったかなと思っていて。『Colon』にも、海外のアーティストさんにデータだけ送ってもらってコラボした曲も収録しているんですよ。

――この状況で生まれた環境は、今後に生きてくるかもしれない。

そうですね。ミーティングのためだけにどこかに集合しなきゃいけない、ということもなくなってきているので、余計な時間は少なくなるのかな……とは思います(笑)。

――では続いて、アルバム自体についてお聞きしていきます。まず『Colon』というタイトルをつけられた理由や、全体のコンセプトについてお教えいただきたいのですが。

実はタイトルには、あまり意味はないんですよ。1stアルバムのタイトルが『Period』という”点ひとつの記号”だったので、2ndアルバムは点ふたつで『Colon』……みたいな感じでつけたものなんです。なので内容としても、今回は何かテーマを作ったり統一性をもたせようという意図もあまりなくて。「似たような曲が増えすぎないように」というバランス以外はあまり深く考えずに、好きなことを詰め込みました。
○●バラエティ豊かな楽曲の揃った、面白い1枚に

――新曲4曲を含む15曲の曲順については、どう決めていかれたのでしょう?

テーマも決めていないので、DJになったつもりで曲の最初と終わりを繋げて聴き比べて聴きやすい流れを作っていったり。あとは「どバラードは続かないようにしよう」みたいにして決めていきました。

――ちょっとプレイリスト的な構成の決め方というか。

そうですそうです。なので曲順もあまり深く悩んだりはしなかったんですけど……あ、でも最初の曲を「ふゆびより」にするか新曲の「Beep Beep Beep」にするかは、ちょっと迷ったかもしれません。「いちばん有名だから、『ふゆびより』を最初に持ってこようかなぁ」って。でもやっぱり、全体のバランスで。あと、1曲目に「Beep Beep Beep」っていうアルバムの新曲を持ってくるのも新しくて面白いなと思ったので、全体のバランスを見つつこういう並びにしました。

――15曲の全体的なバランスについては、どうお感じですか?

すごくいい塩梅になったなぁと思います。アコースティックの曲が3~4曲あって、打ち込み打ち込みしてるのも4曲ぐらいあって……めちゃくちゃ意図していたわけじゃないけど、やっぱり「こういう曲とこういう曲が欲しいなぁ」みたいなことは考えながら作ったので、結構バラバラかもしれないけどいろんな曲があって面白い1枚になったんじゃないでしょうか。

●セッションするように生み出した新曲「BRITISH ROBOT」
○●自身のやりたいことも生かしつつ、こだわりも込めた「Beep Beep Beep」

――では、その「Beep Beep Beep」から新曲についてもお聞きしていきます。洋メロのストックもあるというお話もSNS等でされていましたが、英語詞曲となったこの曲でそういうものを生かしたい、という気持ちもありましたか?

そうですね。私は元々洋楽ばかりを聴いて育ったので、「洋楽のメロディばっかり出てきて日本語がはめられない」という曲が多くて(笑)。この曲も、できたときから「英語にしたいなぁ」と思っていたんです。でも自分には作詞ができるほどの英語力はないので困ってもいたんですよ。

――実際、この曲の作詞はJosh Paulさんがされています。どういう経緯で依頼されたのでしょう?

一緒に曲を作っている中村ヒロさんが、今インスタで結構海外の音楽仲間と友達になっていて。その中にJosh Paulさんがいて、ベースと歌詞を頼んでくれたんです。私も入れた3人のグループメッセージの中で、私から英語で曲のテーマなどを頑張って伝えたら一発でイメージ通りのものが返ってきたので、もう「ありがとー!」みたいな感じでしたね。

しかもこの曲は、ドラムも中村ヒロさんの繋がりで、ニューヨークのブロードウェイで叩いてらっしゃる方に演奏していただいているんですよ。このご時世なので最近では向こうのミュージシャンたちが宅録環境を整えているので、ドラムもベースもめちゃくちゃかっこいい音が返ってきて……すごい満足、って感じです(笑)。

――そうなると、歌うときの気持ちのノリにもちょっと違いが?
たぶん、めちゃくちゃノってたと思います(笑)。でも、英語の発音はネイティブが聴いてもおかしくないものにしたくて、友達の英語の先生を呼んでレコーディングに付き添ってもらって。発音の変なところは直してもらいながら録っていきました。

――発音の部分で引っかかっちゃう部分も、やっぱりあった?

ありましたよ、結構何箇所も。たとえば「Open your mind again」というフレーズの「Open」の母音のオは、こっちは”オ”と言っているつもりでも、微妙な口の開け方が全然違っていたみたいで。「アと中間のオに聞こえるから、もっと”オ”だ」みたいに指摘してもらったり……「厳しく言って」ってお願いしたのもあって、めちゃくちゃ勉強になりました。
○●ライブでもレコーディングでも、“リラックスして歌う”ことを大事に

――続く2曲目の「Me Time」からは、テイスト的には肩の力がいい具合に抜けたようにも感じました。

おっしゃるとおり、この曲は肩の力を抜いて楽しく気軽に聴ける曲にしようと思って、特にテーマも決めずにメロディから作ったんです。この「Me Time」というフレーズは今習っている英会話の先生が教えてくれたもので、「自分のためのリラックスタイム」という意味らしいんです。それが「なんかいいな」と思ったところから、歌詞を考えていきました。ただこの曲、いちばん疲れていたときに最初の歌詞を書きまして(笑)。

――テーマとは裏腹に。

はい。週に1曲新曲を作って歌詞を書いて、レコーディングしてミックスして……というのを続けていた、いちばん疲れたときだったんです。そうしたら、1回スタジオまで持っていって歌ってはみたけど、どうも頑張ってこねくり出したような感じがして納得がいかず。「もう1回考えさせてください」と言って翌週に引き伸ばして、ちょっと元気になって気軽に書いたものを採用していただきました(笑)。

――Bメロのあたりは、一段と歌声から力が抜けているような印象がありました。

歌うときには「リラックスして、ちょっと楽しく軽快に歌う」という気持ちでした。実は最近の曲では、全部リラックスして歌うことを心がけていて。昔はレコーディング前も緊張していたんですけど、頭で考えて「こういうふうにして頑張ろう」と思えば思うほど体も歌い方も固くなっちゃっていって結局うまくいかないんですよ。だから経験上、ライブでもレコーディングでも何も考えずにリラックスして歌うのがいちばんいいなぁ、と感じています。

――そして3曲目にも新曲、「BRITISH ROBOT」が収められています。

この曲は完全に遊びというか……仲間と遊びながら作った曲なんです。

――そうなんですか! 完成までは、どんな経緯があったのでしょうか。

まず共同作曲の中村ヒロさんに、大学時代にプログレでジャズっぽいバンドをやっていたときに影響を受けた、アヴィシャイ・コーエンというジャズのベーシストがすごく好きで……という話をして勧めたら、ハマって(笑)。「ジャズっぽくて変拍子の面白い曲を作ってみたいね」という話になって、最初にリフを作ってくれたんです。それに私がメロを乗っけたあとに、そのバンドを一緒にやっていた鵜飼(大幹)ちゃんに続きの展開を相談したら、ピアノを入れて返してくれたんですよ。

それで、私がふたりからもらったオケを編集してひとつの形にして、さらにもう1回投げて……みたいなことを完全にオンラインでやり取りしながらできた曲なんですよ。その途中にロボットというモチーフを思いついて、絵も描いてふたりとイメージを共有して。そこからまたやり取りして最終的に今の形になりました。

――まるでセッションのような……。

そうですね。私、以前から結構編曲の方とか、ギターやピアノの方とセッションっぽく作ることが多くて。メロディと歌詞はいくらでも書けるんですけど、やっぱりコード感とかは楽器をやってる人のほうが得意だからお願いすることが多いので、セッション的に作るのは好きなんです。

――聴いていくなかで、言葉遊びのような語感に非常に気持ちよさがありました。

ありがとうございます。まさに言葉遊びというか、そこまで考えすぎず「気持ちいいなぁ」という感じの音をはめていって、でも意味やストーリーもなんとなく一貫性をもたせて……という感じで作っていきました。

●リード曲「魂の部屋」の歌唱で意識したのは、語り部であること
○●リラックスして自分から提案することで、昔以上にアニメ主題歌も楽しむ

――このあとは14曲目まで既存曲が続きます。その中にはアニメやゲームの主題歌もございますが、そういう曲も含めてこのアルバム収録曲を作っている期間は、同様に楽しみながら作れた曲が多かった?

まさにおっしゃるとおりで。ちょうど自分で主題歌を作らせてもらえるようになった『ゆるキャン△』の「ふゆびより」以降のシングルが全部入っているので、全部の作品に自分のエキスがちゃんと入っているという意味でも、ちゃんと自分の子という感じがするというか(笑)。しかも、作り方も「頑張って発注側の意向に合わせなきゃ」というよりも、自分がリラックスして楽しんで「こういう世界観がいいと思う」とこちらから提案する姿勢で作った曲が多いので、昔に比べて本当に楽しめていると思います。

――そういった楽曲を経て、最後15曲目に新曲「魂の部屋」が来ます。

この曲は結構前に自分で作った曲なんですけど、テーマとしては”魂”。私たちの魂が人生を終えて、”魂の部屋”という想像上の場所に行って、そこで浄化されてまた次の人生に向かっていく……みたいなイメージなんです。歌とギターだけの本当にシンプルな曲なんですけど、私はいいコードといいメロディだと感じていて。曲自体すごく気に入っているので、それを生かす形で完全にシンプルにしました。それをアルバムの最後に置くというのも、1回やってみたかったんですよ。アコースティックの曲が最後に入るってシメとしてかっこいいな、と思うので。

――ここまでの14曲が本当に多彩だからこそ”帰ってくる場所感”があって、最後にこの曲というのがより効いているように感じました。

狙い通りです……よかった(笑)。

――そういうところって、歌にするときに気をつける部分も、普段と違ったり?

そうですね……私この曲、いい曲すぎて自分で歌ってて泣いちゃうんですよ。自分で言うのもなんですけど(笑)。そういう意味で、あんまり入り込みすぎないように語り部でいよう、みたいな気持ちです。レコーディングでも、2番で「あー! もうだめだ!」みたいになって、ちょっと時間をもらったりもしましたから(笑)。

――その他にも、この曲を歌うときならではのポイントはありますか?

この曲は、部屋でなんとなく口ずさんだり紡いでいたりするようなイメージで。「聴かせるために歌う」みたいに肩肘を張らずに、部屋でなんとなく演奏しているようなイメージで作りました。でも構えている感じってすぐ音に出てしまうので、そこはもう集中して。意識をそういう方向に持っていくしかない……という感じでしたね。

――MVも非常にシンプルなものになっていますが、同じようなコンセプトを意図して?

はい。ワンカット長回しでただ撮っているだけで、私もただ歌ってるだけみたいな感じで撮ったんです。最近はMVも中村ヒロさんと村上(純)さんというレーベルの担当の方と3人で撮っているんですけど、今ってシンプル・イズ・ザ・ベストみたいな感じのMVもあると思うので、いろいろ3人で案を出し合った結果そういうものをめざすことになって。それがこの曲には、うまくハマったのかなと思います。

○●『Colon』の曲を披露して、お客さんと一体感を生み出したい

――そして初回盤のBlu-rayには、先ほどお話にも出たオンラインライブ”Semicolon”の映像が早くも収録されます。ライブ自体へは、どういった反響がありましたか?

すごくいい反響をいただきました。今回Blu-rayに収録されるバンドパートは事前収録だったんですけど、生放送したアコースティックセットの部分では、みんなにハッシュタグを使ってリクエストをもらって、その場で作曲するコーナーをやってみたりして。普通のライブで同じようなことをやろうとしたら恥ずかしがって言えない人もいたかもしれないので、オンラインならではの交流ができてよかったなと思います。

――Blu-rayには、未配信だった「ふゆびより」のバンドセットの映像も収録されます。

同じ日に演奏してはいたんですけど、これはCDを買ってくれた方だけが観られる特典として。あの日のライブを観てくれた方でも新しい発見があるように、ということで収録しました。

――もちろんまた有観客でのライブも開催できるようになるとは思うのですが、ファンの方を前にして今回のアルバムの曲を歌う際には、どんなことを心がけて歌声や音楽を届けたいですか?

まずは、できればまたバンドでやりたいですね。あと、今までの私の曲にアコースティックが多かったのもあってアコースティックライブはよくやっていたんですけど、そのときはみんな座ってゆったり聴いてくれていることが多かったんです。だからこの『Colon』の曲をいつかバンドでやれたときには、お客さんがいるならではの一体感を作りたいといいますか。もうちょっと一緒に、踊れたり盛り上がれたりしてみたいですね。
○●佐々木恵梨2ndアルバム「Colon」

発売日:6月16日
【Blu-ray付盤】4,620円(税込)
【通常盤】3,300円(税込)
発売元・販売元:MAGES.
○●佐々木恵梨ネットサイン会

【日時】2021年6月19日13時00分~
【ネットサイン会対象商品販売期間】2021年6月17日23時59分まで
【詳細】キャラアニ.com 販売サイト
※開始時間は変更になる場合あり
※終了時間は未定