2021年06月15日 10:21 弁護士ドットコム
彼女とのわいせつ行為を、全世界に公開してしまった——。間違ってSNSに動画をアップしてしまった男性から弁護士ドットコムに相談が寄せられました。
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彼女とのわいせつな行為の動画を撮影した男性。その後、動画をSNSの鍵つきアカウントにあげるつもりが、間違えて公開アカウントにアップしてしまいました。
1時間後に気づいてアカウントごと削除しましたが、多くの人に見られてしまい、データを保存されている可能性もあるようです。
男性は「身から出た錆とはいえ、食欲も減りストレスフルで『死』という言葉も想像していた」と打ち明けます。果たして、男性の行為は何か罪に問われてしまうのでしょうか。大山滋郎弁護士に聞きました。
——男性はひどく落ち込んでいるようですが、犯罪に当たるのでしょうか。
撮影対象者を特定することができる方法でわいせつ行為の動画をアップした場合は、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪(刑法175条1項前段)やリベンジポルノ防止法違反など犯罪行為になることは間違いありません。
わいせつ動画を公衆に見せたという点でも犯罪ですし、リベンジ目的での行為という意味でも、リベンジポルノ防止法違反ということで犯罪になりそうです。
ただ、これはあくまでも、わざと行ったときに犯罪になるということです。
——今回はわざとやったわけではないようですが…。
今回のように、うっかりとやってしまったような場合は、過失犯として処罰される規定がなければ、犯罪とはなりません。今回の場合、過失犯の処罰規定はありませんので、その意味では特に犯罪とはならないことになります。
なお相談者は当初、鍵アカウントにアップロードするつもりだったとのことです。たとえ鍵アカウントであっても、アクセス可能な人数によっては「不特定または多数」にあたり得ますので、刑事責任を問われる可能性もあります。
今回の事案では、犯罪となるかどうかにかかわらず、本人や彼女の評判に大きな打撃となることは間違いのないところです。たとえ犯罪とはならなくても、民事上の不法行為として、彼女側から責任追及されることもありえます。こういうことが無いように、今後十分な注意が必要なことはいうまでもありません。
なお、仮に彼女が18歳未満だった場合には、わいせつ動画を撮影した行為自体が、児童ポルノを作成したという点において犯罪となります。その場合は、ネットにアップしたことによって、児童ポルノ製造という犯罪行為が発覚して、処罰されることもありえます。
【取材協力弁護士】
大山 滋郎(おおやま・じろう)弁護士
刑事弁護と企業法務が得意分野。メーカーの法務部門に長く勤め、勤務のかたわらニューヨーク州弁護士資格を取得し、日本の司法試験にも合格した。会社の法律問題を扱う一方、多数の刑事事件を手がける。
事務所名:弁護士法人横浜パートナー法律事務所
事務所URL:http://www.ypartner.com/