フェラーリF1のチーム代表であるマッティア・ビノットは、グランプリの週末におけるチーム運営への関与を大幅に縮小するという。2022年に向けた完全に新しいマシンの設計と開発が本格的に始まっているマラネロでさらに時間を費やすためだ。
2020年シーズン後半、ビノットはバーレーンでの2連戦のうち1戦に帯同せず、レーシングディレクターのローレン・メキースに週末の運営を代行させていた。だが現在はレースチームの体制が変更されたため、ビノットはコースでのチーム運営に何の変化ももたらさずに、必要があるときだけレースに帯同することができるようになる。
現在ビノットはフリー走行とレースをフェラーリのガレージから見ているが、ピットウォールでチームのグランプリの指揮を執っているのはメキースだ。メキースを支えるのは元戦略責任者のイニャキ・ルエダで、彼はスポーツディレクターに昇進している。ルエダは今もレース戦略の最終決定権を持っているが、チーフストラテジストの役割はピットウォールで彼の隣に座るラビン・ジャインに引き継がれた。ジャインはグランプリの週末にはマラネロのバーチャルガレージで長年仕事をしてきており、ピットウォールでの仕事は初めてだ。彼はまた、ファクトリーの元同僚たちと連携して意志決定のためのサポートを受ける。
ビノットのレースにおける役割は、他の多くのチーム代表がすでにそうしているように、さらに限定されたものになる。チーム運営はエンジニアと技術者たちに任せ、他チームやFIA、F1、そしてもちろんフェラーリのスポンサーやサプライヤーとのミーティングに出るためにコースに来るのだ。それに加え、技術報告や戦略会議にも関与することがなくなるビノットは、いかにチーム運営を行うか、またどの分野に改善が必要かといった点について、より確実な視点を得るための分析に空いた時間を使うことになるだろう。
またビノットは、7月初旬にレッドブルリンクで行われる2戦のうちの1戦に帯同しないことをすでに決めており、ファクトリーでチームと時間を過ごす予定だ。彼は、グランプリの週末にはバーチャルガレージとシミュレーターチームの作業の分析も行うことになる。
メルセデスのチーム代表であるトト・ウォルフとビノットは基本的に話をする仲ではないが、皮肉なことにビノットはウォルフを真似てフェラーリのガレージからグランプリを見ることになる。他の8人のチーム代表たちは今もピットウォールに座っているが、予選とレースに介入することはほとんどない。だがビノットとウォルフの性格がいかに違うかということを考慮すると、ビノットが感情を爆発させるところを見ることは期待できないだろう。彼は非常に感情的なウォルフよりも、はるかに感情をコントロールしているからだ。