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由紀さおりが語る「志村けんさん」への思い、コロナ禍での変化と“これから”

2021年06月11日 08:00  週刊女性PRIME

週刊女性PRIME

由紀さおり 撮影/渡邉智裕

「残された時間をただ過ごすより、目的を持ってほしい。何でもいいと思うんです。私にとっては、それが歌うことになりますけど。目的を持って進むことで1日1日が真剣勝負になるし、一生懸命生きている感じがすごくしてくる。そういうことが伝わるといいなと思っています」

50年超の芸歴で初めて映画に主演

 1969年に名曲『夜明けのスキャット』でデビューし、歌に演技と50年を超える芸能生活で輝き続ける由紀さおり。『ブルーヘブンを君に』で、驚くことに映画初主演を飾る。

 地方創生ムービー2・0プロジェクトの第3弾となる今作の舞台は岐阜県。

「主役というか軸になる役をやらせていただいたんですけれど、私の中での主役は岐阜です。岐阜は2012年の『第67回ぎふ清流国体(国民体育大会)』で今の上皇さま、上皇后さまの前で『ふるさと』を歌わせていただいてからのご縁なんです。

 新幹線の岐阜羽島駅から岐阜市内に入ると川が見えて。空が広いし、水はきれいだし、緑がいっぱいなの。岐阜の人に、どうしてこんなに水がきれいなのか聞いたら、“鵜飼の鵜が食べる鮎は、きれいな水じゃないと育たないことを知っているから川を汚さないんです”と言われて、なるほどと思いました。その川沿いを孫役でボイメン(BOYS AND MEN)の小林豊くんとバイクで走るシーンも出てくるんですよ」

共感したのは夢を実現する強さ

 今作で由紀が演じているのは、世界初の青いバラ『ブルーヘブン』を生み出したバラ育種家・河本純子さんをモデルにした園芸家の鷺坂冬子。原作、脚本も手がけた秦建日子監督から「どうしても」とオファーがあったという。

「役作りで監督からのリクエストは全然ないの(笑)。余命を宣告されるということが背景にありながらも、結構、おちゃめな役。夢の実現を貫く強さというんでしょうかね、そういうものはとても共感することができました

 突然の腹痛に襲われた冬子は、がんが再発し余命半年のステージ4と宣告されてしまう。主治医から治療に専念することをすすめられるが、ある決意をする。それは、初恋の青年が挑戦したことでもある、ハンググライダーで池田山から飛ぶことだった。

「(東海最大級の美しさを誇る夜景スポットでもある)池田山から見える街並みが素晴らしいの。初めて行ったとき、(見晴らし)台があるのだけれど、そこで思わず“うわ~”って大きな声を出してしまって(笑)。監督から“危ないですよ”と言われてしまうくらい、すごく気持ちがよかった」

 がんに身体をむしばまれていく冬子にとって筋力や体力を使うハンググライダーは決して簡単な挑戦ではない。はたして、彼女は空を飛ぶことができるのか。そして、胸にしまい続けてきた淡い初恋の結末も解き明かされていく。

撮影時から一変した現在の生活

 今作の撮影は、新型コロナウイルスが蔓延する以前。当時は、世の中がこんなことになるとは夢にも思っていなかった。

「こんなに自宅にいる生活も初めて。最初のころは今までの疲れが噴き出す感じで、あまり調子がよくなかったんです。でも、これじゃいけないと仕事をしていたときと同じようにスケジュールを入れるようにしました。

 若い方の1年と私たちのとは、まったく意味が違う。コロナが収束して“歌ってください”と言われたときに以前と同じようにマイクの前で歌える自分をつくっておけるか、すごく不安を感じたんです

 以前からのどの状態を診てくれている医師への週1回の通院は変えず、パーソナルトレーナーとのトレーニングを増やし、ヒールを履いて歌える身体でいたいとひざを診察してくれる整形外科にも通うようになった。余分なものを食べないようウエイトコントロールも心がけている。
 
 身体をより思いやるようになったのは、昨年逝去した志村けんさんのこともあったのだろうか?

いかりやさんが旅立たれたときもすごく衝撃だったけど、志村さんもそう。私が志村 さんと番組でご一緒させていただいたのは、いかりやさんがお元気でいられたときなので、デビューしてから10年から20年くらいのあいだが一番多かったと思います。映画『キネマの神様』でコントではない志村さんの姿を見せていただけると思っていたので本当に残念です。いかりやさんが呼んじゃったのかなとも思いましたね。

 あと、岡江(久美子)さん。今回の映画で(夫の大和田)獏さんと共演させていただいているので。最近、お嬢さんのお力もあってお元気になられているようなので少し安心しました。こんなことになるなんて思ってもみないときに撮影させていただきましたから」

こんなときだからもっと活発に元気に

 昨年から続く新たな生活を経験し、改めて思ったことがあるという。

「もちろん、人混みに行かないようにとか、行動には非常に気をつけています。そのうえで、私たちの世代の人たちは、もっと活発に元気に、アグレッシブまでいかなくても努力していかないと。映画の冬子のように、元気でやれる仕事があったら、無理のないところでやったほうがいいと思うんです。

 私自身、まだまだ発展途上。やりたいことがたくさんあります。そのひとつが、楽器。合唱団にいた幼いころにピアノのお稽古をしたことはあるんですが、あまり好きではなくて途中でやめてしまって。弾きながら歌えるものといったらギターみたいなものもあるかもしれないけれど、母が三味線をやっていたこともあって4年ほど前からお稽古をしています。

 端唄とか都々逸とか、そういったものにも、もっと挑戦していきたいですね。それから、着物にもより興味が出てきて。草履、帯留め、かんざしなど、そういうこともすごくお勉強になっています」

ふっくらシフォン肌の秘訣は?

 努力してますから(笑)。父親が東北出身で色が白いのは似たんです。そのかわり、シミとか残るものが増えるんですよ。だから、必死。ハワイに行っても泳ぎませんから。そういう日々のささやかな努力の積み重ねです。
 
 オススメの洗顔方法があるんです。ほお紅とかのブラシがあるでしょ、それで洗顔料を泡立てるの。ジャムの空いた瓶とか広口のものに洗顔料と水を入れて泡立てる。その泡をつけたブラシで洗顔すると自分でもビックリするぐらい「あら? 今日、色が白いわね」って。

 毛穴の汚れもすごくきれいになるので、ぜひやってみてください。蒸しタオルで泡を2回ぐらい取ると、きれいに汚れが落ちているのがわかるはず。見違えるほど白くなるから。

6月11日公開 映画『ブルーヘブンを君に』
(c)2020「ブルーヘブンを君に」製作委員会