メルセデスF1のチーム代表であるトト・ウォルフは、バクーで開催された第6戦アゼルバイジャンGPの終盤の出来事にルイス・ハミルトンが大きな影響を受けていることを認めており、失望をともに味わっているという。
「正直なところ、我々はふたりとも打ちのめされている」とウォルフはレース後にメディアに語った。「しかしむろん彼はドライバーとして打ちのめされている。落胆しているだろうが、そのうちすべては消えていくだろう」
金曜日の不振から調子を取り戻したハミルトンは、予選でフロントロウの2番手を獲得した。レースでは、ピットレーンでの遅れにより、レッドブルのマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスの後ろに順位を下げるまで、ハミルトンは短い間ながらも首位を走行していた。
レース終盤でのタイヤトラブルのせいでフェルスタッペンがリタイアしたことで、ハミルトンには最後のリスタートでペレスを抜けば優勝できるチャンスがあった。しかしハミルトンはターン1で止まり切れずにコースを外れ、トップ10圏内からも脱落してしまった。
「ただただ苦痛に感じる。我々は優勝できたはずだ。トロフィーにほとんど手が届いていたんだ。マックスがポイントを獲れなかったからね」
しかしウォルフはハミルトンを擁護し、ハミルトンによる重大なミスがチームの週末を台無しにしたのではという意見に反論した。
「いや、私は彼がそうした立場にいたとは思わない。内部的には、彼の動きはまったく問題なかったと思う」
「スタートは完璧であり、序盤の動きも完璧だったと考えている」
「あれはミスとは呼べない。ちょうどセルジオ(ペレス)が来たので、(ルイスは)ボタンに触れた。それがブレーキバランスを変えた」とウォルフは『Sky Sports F1』に語った。
「ブレーキバランスは前の方にすべて寄ってしまい、最終的にマシンを止められなかった」
「彼はミスをしたわけではない。そのことは覚えておく必要がある。他のドライバーがマシンに乗っていたらなどということは願っていない」
ウォルフは、ハミルトンのマシンのブレーキダクトから煙が吹き出していたことは原因ではないと否定した。
「それが問題だったとは考えていない。もっと単純なものだ。行ってみれば指の問題だ。ブレーキが効かず、適切なポジションに設定されていなかったため、彼はブレーキングポイントを逃してしまった」
「だが分からない。いら立ちの感情だけがある。今の時点では打ちのめされている。3位になるか、このリザルトになるかだったのだろう」
■「今週末は競争力のあるパッケージをドライバーに提供できなかった」
ウォルフはタイトル争いがどれだけ接戦となってきているかを考えると、落胆はいっそう酷くなると語った。フェルスタッペンは今もドライバーズ選手権の首位にあり、コンストラクターズ選手権ではレッドブルがメルセデスに26ポイント差をつけているのだ。
「我々はベストでいる必要がある。戦略上、完璧なパフォーマンスを発揮する必要があるが、過去の2回の週末では我々全員がそうすることができていない」
「我々には今も問題がある。セットアップに関して、タイヤを適切なウインドウに入れてスタートさせることができていない。また、ピットストップの後の戦略上のミスによって、今日この曲がりくねった古い市街地で目にされたように、大幅にタイムを失った。これはモナコでも起きたことだ」
「3戦で優勝したマシンが今やどこにもないということは、驚きではない。我々に弱点があることは分かっている。そのことはこのトラックの特定の場所で目にした」
「克服しなければならない差があることは承知している。90度のコーナーで、我々は実際のところそれほど競争力を発揮できていない。曲がりくねった場所すべてでだ」
「中盤のセクターでは我々は非常に近づいていたし、ストレートでは速かった。だが、中盤のセクターは完全にショッキングだった」
「そして我々は今週末、競争力のあるパッケージをドライバーに提供できなかった」とウォルフはコメントした。「競争力のあるパッケージには程遠かった」
「それも不満のひとつだ。不満を感じるのは(アゼルバイジャンGPの)終盤のインシデントだけではなく、全体的なことが我々の期待に届かなかったことだ。ルイス、エンジニア、私自身、全員がともにそうだった」
「私が学んだのは、このチャンピオンシップを戦うにあたっては、一流のゲームをしなければならないということだ。そして今週末を通してマシンはずっと不振の状態だったのだ」
しかしウォルフは、彼とハミルトンが現在の問題に取り組んで解決策を見つけるだろうと語った。
「我々はこれから4時間飛行機で一緒になる。我々は一杯飲むかもしれない」とウォルフは語った。「Skyにこのことを話すのは良いことではないかもしれないが、我々は飲むだろう!」
「チームは非常に強力であり、そしてとても怒りを感じていることは間違いない。我々は怒りをポジティブな力に変えなければならない。我々は戦士であり、また戻ってくる」