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ホンダF1田辺TD予選後会見:ポール獲得を目指すも角田のクラッシュでアタックできず「複雑な気持ちのQ3」

2021年06月06日 16:41  AUTOSPORT web

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田辺豊治 ホンダF1テクニカルディレクター 予選インタビュー
「気持ち的には複雑な部分があります」

 2021年F1第6戦アゼルバイジャンGP予選後、囲み取材でのホンダF1田辺豊治テクニカルディレクターのこの一言が、今回の予選についてのホンダ側の思いを象徴していた。ホンダ勢4台が揃ってQ2を突破。レッドブル・ホンダのふたりはQ2で1、2番手を占め、Q3初進出となったアルファタウリ・ホンダの角田裕毅も総合4番手の速さを披露した。

 ポールポジション獲得も十分視野に入っていたが、Q3最後のアタックで角田がクラッシュ、赤旗中断となったことで、その願いは叶わずに終わった。

 とはいえ「順調に周回を重ねて多くを学び、乗れてきてるなと感じている」と、予選までの角田の走りを評価し、「終わったことは割り切り、いい仕上がりのクルマに気持ちよく乗ってレースを戦ってほしい」と、エールを送っていた。またロングランでの速さにも手応えを得ており、「4台すべてが予選ポジションから順位を上げ、4台がきっちりポイント獲得をすることを狙っていきたいです」と語っていた。

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──予選の総括からお願いします。

田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):ホンダ勢4台で言えば、レースに向けての戦闘力も含め、いい1日になったと思っています。ただ気持ち的には複雑な部分もあります。クルマがよく仕上がっているだけにレースに向けては楽しみなのですが、単純に予選ポジションにこだわると、Q3(の展開)はちょっと残念でした。

 4台がQ3に進めたことは確かによかったですし、角田選手が初めてQ3まで進出できたこともよかったです。Q2が終わったあたりまでは本当にいい気分だったのですが、最終アタックの最中に角田選手がクラッシュしてしまいました。それにより赤旗が出て、アタックが完結できませんでした。

 全車アタックできていたらどうなったか。もちろんやってみなければわかりませんが、(マックス・)フェルスタッペン自身もポールポジションはいけたのではないかと言っていましたので、そこは残念でした。そのきっかけが角田選手だったことも、本人がいいペースで走れていただけになおのこと、複雑な気持ちのQ3でした。

──予選は、最初からかなり荒れた展開でした。

田辺TD:Q1から全セッションで赤旗中断があり、非常に走り出しのタイミングが難しかったです。風も一時的に強く吹いたりしたので、その影響も受けました。とはいえ、初日から2日目にかけていい仕上がりになっていることは間違いないので、クリーンなレースができればいいなと思います。レース中のオーバーテイクが可能なコースですので、4台すべてが予選ポジションから順位を上げて、4台がきっちりポイントを獲得することを狙っていきたいです。

──初日に続き、予選でもフェラーリの速さが際立ちました。フェラーリのストレートでの速さ、回生エネルギーの使い方など含めて、フェラーリの速さをどう見ていますか?

田辺TD:フェラーリが速いという思いは初日と同様です。その要因はというと、ストレートの速さだけではなく、コーナリングスピード、そしてパワーユニットの性能がうまく組み合わさっていると感じています。フェラーリのパワーユニットはもともと回生エネルギーが強く、車体が良ければウイングを倒せる、そうすれば直線スピードも伸びます。そのバランスがモナコGP以降、いい形で出ている印象です。

 モナコとバクーではコース特性がまったく違いますが、両方のコースで速くなっている事実が順位に表れていると思います。この先どうなるのか興味があるというか、脅威を感じています。

■新世代パワーユニットはエネルギーマネジメント面で進化
──フェラーリの速さの一方で、メルセデスは得意なはずのバクーでかなり苦労しています。それでもルイス・ハミルトンはなんとか予選2番手タイムを出しましたが、今週末のメルセデスについて田辺TDはどんな印象を持っていますか?

田辺TD:メルセデスの不振については、よくわからないというのが正直な感想ですが、チャンピオンチーム、チャンピオンドライバーですので、このまま終わらないのは間違いないと思っています。

──この2日間のパフォーマンスから、新世代パワーユニットのエネルギーマネジメントについては明らかな進化を実感していますか?

田辺TD:明らかな進化かどうかはともかく、エネルギーマネジメントに関しての進化は見られています。どれくらいかというのはレースを実際に走り、ライバルとの相対的な性能差を確認してから判断していくつもりですが、目標としてきた電気エネルギーの強化は向上を感じています。

──予選後、角田選手とは話をしましたか?

田辺TD:いえ、できていません。

──田辺TD自身、初日から2日目にかけての角田選手の走りをどう見ていますか?

田辺TD:順調に周回を重ねて多くを学び、乗れてきているなと感じています。だからこそQ3に進出できたのだと思いますし、Q2でもいいポジションを得ました。

 それだけに、いっそう(Q3の)クラッシュは残念でしたが、ベテランドライバーでさえバリアに突っ込んでいます。そこはそこで、終わったことは割り切り、いい仕上がりのクルマに気持ちよく乗ってレースを戦ってほしいと思っています。