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舞台化で話題の『バクマン。』 鈴木拡樹と荒牧慶彦はサイコーとシュージンをどう演じる?

2021年06月06日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 『バクマン。』の舞台化が決定し、Twitterでトレンド入りするなどネット上では大きな話題となっている。2008年に連載を開始した本作は、中学校のクラスメイトである「真城最高」と「高木秋人」が2人で漫画を執筆し、「週刊少年ジャンプ」で人気漫画家を目指す物語だ。


関連:【画像】『バクマン。』2巻(集英社)


 「マンガ大賞2010」で3位にランクインし、「このマンガがすごい!2010」オトコ編では1位を獲得。2010年にTVアニメとして放送が開始され、2015年には佐藤健と神木隆之介のW主演で実写映画化。満を持してこの度の舞台化が決定したのである。


 『僕のヒーローアカデミア』や『鬼滅の刃』など、舞台化されたジャンプ作品は多い。しかし本作は「友情・努力・勝利」のジャンプイズムを継承しつつも、これまで舞台化されてきたジャンプ作品とは一線を画す作品である。本稿では舞台「『バクマン。』THE STAGE」に期待する点を考察したい。


 同作が話題となったのは、舞台化決定と共に発表されたキャストの影響が大きいだろう。絵のコンクールで表彰をされるなど画力に定評のある「真城最高(ましろもりたか)」を演じるのは鈴木拡樹。読書感想文で表彰されるなど文才に長ける「高木秋人(たかぎあきと)」を演じるのは荒牧慶彦である。


 鈴木は舞台『弱虫ペダル』『PSYCHO-PASS サイコパス』に出演し、荒牧も舞台『A3!』やミュージカル『テニスの王子様2ndシーズン』に出演するなど、多くの人気作品に出演する2人。ネット上では、W主演を務める彼らへの期待の声が多く挙がっていた。


 また舞台『刀剣乱舞』で2人は共演しており、鈴木は「三日月宗近」役を、荒牧は「山姥切国広」役を演じている。作中で彼らは親しい関係であるため、鈴木と荒牧がW主演を務めることが発表された際には、『刀剣乱舞』のファンからは大きな反響を呼んだ。鈴木と荒牧によって演じられる、作品の垣根を超えた最高と秋人の関係は、原作とはひと味違う「友情」を感じさせてくれる。


 人気漫画家を目指し最高と秋人が手を合わせ奮闘する『バクマン。』であるが、バトル漫画やスポーツ漫画のような派手なアクションシーンは登場しない。登場人物たちが打ち合わせをするシーンや机に向かい漫画を執筆する場面が多く描かれる原作を、舞台としていかに表現するのだろうか。


 映画『バクマン。』の見せ方で特徴的だったのは、最高と秋人のライバルである「新妻エイジ」と週刊少年ジャンプの人気順位を争うシーン。彼らは巨大なペンを手に持ち、武器のように振り回して戦うのである。ワイヤーアクションを駆使しながら描かれたこの場面は、直接的に目に見えない人気順位を争う様子をアクションとして見事に表現したのである。


 また原作者である大場つぐみ氏と小畑健氏が手掛けた漫画『DEATH NOTE』のミュージカル『デスノート THE MUSICAL』でも演出に工夫が見られた。ステージ後方に設置されたスクリーンを用いて、「夜神月」がデスノートに書くタイミングに合わせて名前が表示されたり、「L」にスポットライトが当たるシーンでは、彼の複雑な思考回路を表すために数式が羅列する映像が流れるのだ。


 同作も舞台特有の様々な工夫を凝らした表現によって、原作とは異なる感動を得られると期待される。経験や信頼のある俳優によって演じられる「友情」、そして舞台芸術の技法によって表現される「努力」や「勝利」は、これまで舞台化されてきたジャンプ作品とは一線を画すものとなるだろう。