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ホンダF1田辺TD初日会見:4台がトップ10入りも「車体、PUともに改善の余地はある」好調フェラーリを警戒

2021年06月05日 15:01  AUTOSPORT web

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田辺豊治 ホンダF1テクニカルディレクター初日インタビュー
2021年F1第6戦アゼルバイジャンGPの初日フリー走行ではレッドブル・ホンダがワン・ツー、アルファタウリ・ホンダも5、10番手のタイムを出し、ホンダ製パワーユニット搭載車がトップ10入りする順調な初日となった。

 それでもホンダF1田辺豊治テクニカルディレクターは「まだ車体、パワーユニットともに見直すべき点は多い」と、現時点での戦闘力には完全に納得できていない。

 ライバルを見ればメルセデスは11、16番手に沈んだものの、代わってフェラーリが3、4番手。前戦モナコGPに続いて好調を維持するフェラーリ勢に、田辺テクニカルディレクターも警戒心を隠さなかった。

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──市街地コースの初日ということで、各車グリップ不足に苦しんでいた印象です。

田辺豊治テクニカルディレクター(以下、田辺TD):昨日までかなり風が強く、コース上には土埃や紙くずがたくさん散らばっている状態でした。紙くずはさすがに掃除されていましたが、土埃は依然として舞い上がっているなかでフリー走行が始まりました。

 埃っぽいうえに滑りやすい路面だったわけですが、走行が進むにつれて改善されていきました。路面の改善具合は結構大きかったと思います。それでもコーナーを曲がりきれずにオーバーランするクルマもあり、頻繁に黄旗が出る状況でした。

──ホンダパワーユニット搭載車はトップ10に4台とも入りました。

田辺TD:はい。いくぞというときに(他車に)引っ掛かったりもしたのですが、それでも4台ともにいいタイムを刻むことができました。おかげでフリー走行2回目は、1、2、5、10番手というポジションを得られました。

 低速90度コーナーと高速区間のバランスが重要なコースですが、まだそのあたりは見直すべき点が多いです。車体、パワーユニットともに改善の余地はあります。明日の予選もぜひクリアな周回で実力を発揮できればと思います。

──モナコGPに続いてフェラーリが好調ですが、それをどう受け止めていますか。

田辺TD:(レッドブルとアルファタウリの)2チーム4台以外は敵ですので、敵は強くない方がありがたいです。

──フェラーリが調子を上げている実感はありますか?

田辺TD:はい。モナコGP以前に比べると明らかに構図が変わっています。フェラーリの立ち位置は、そのなかの大きなひとつです。

■PUのセッティングは風向きと風の強さをある程度考慮して進める
──バクー市街地コースはセーフティカーが導入されないと燃費が厳しいコースですが、そこは今年も変わっていませんか?

田辺TD:はい。(スロットルを)踏みっぱなしでは辛いですね。そこは今日のデータに検討を加えて対処していきます。

──土曜日は風が強くなるようです。

田辺TD:北側からの風が基本のようですね。確かに風は土曜日、日曜日と吹き続け、日曜日が一番強くなるようです。

──風が強くなるとわかっている場合、それをある程度想定してパワーユニットのセッティングは調整するのでしょうか。あるいは出たとこ勝負なのでしょうか?

田辺TD:風向きと風の強さは、ある程度は考慮して作業を進めています。ただ実際問題、完全に対応することは難しく、文字どおり『風の吹くまま』のようなところはあります。もちろん対策を放置しているわけではないのですが、風向きが真逆になったりすると、そこは考慮しないといけないです。

──実際に風向きは変わりそうですか?

田辺TD:確認の必要がありますが、ビル群の影響で局所的に風向きが変わったりします。なんとも言えないですね。

──FIAから各チームのパワーユニット使用リストが発表されましたが、パワーサーキットということだからでしょうか、多くのチームが新品のパワーユニットを投入していました。そんななかでホンダは投入を見合わせています。なにか意図があったのでしょうか。あるいは土曜日以降に交換するのでしょうか。

田辺TD:土曜日に交換する予定はありません。他チームは、パワーサーキットだからパワーユニットを交換すると言っているのでしょうか?

──いえ、理由は明記していないのですが、パワーサーキットにもかかわらずホンダとルノーはパワーユニット交換を見合わせているのが興味深いと思いました。

田辺TD:全23戦を年間3基のパワーユニットで乗り切るという計画のもとでやっていますので、この第6戦アゼルバイジャンGPで交換する予定はない。それだけです。