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『東京卍リベンジャーズ』マイキー、なぜ圧倒的なカリスマ性? 奔放な個性を探る

2021年06月05日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 2017年より「週刊少年マガジン」にて連載、2021年4月よりテレビアニメ化、同年7月9日に実写映画公開、さらに8月には舞台化と勢いよくメディアミックス展開されており、ファンを増やし続けている『東京卍リベンジャーズ』。ストーリーも然ることながら、魅力的なキャラクターも同作の人気の要因だろう。その中でも1位2位を争う人気キャラといえば、“無敵のマイキー”こと佐野万次郎だ。


『東京卍リベンジャーズ』1巻(講談社)

 マイキーは、東京卍會の総長。小柄ながらも喧嘩の強さで右に出る者はいないほどで、主人公・花垣武道を理不尽にこき使っていたキヨマサや、敵対する暴走族「愛美愛主」八代目総長・長内信高を一発KOしている。その後も必殺技のハイキックで体格差や人数差を物ともせずに圧勝を重ねている。この強さが“無敵のマイキー”という呼ばれる所以だ。さらに圧倒的カリスマ性を兼ね備えており、彼のひと声で約100人の東京卍會メンバー全員が鼓舞され、士気を高める。マイキーの不思議な魅力に惹かれて東京卍會に入ったメンバーも多いはずである。


 そんなマイキーの魅力として挙げられるのは、まず「仲間思い」であること。実写映画でも描かれるであろう「愛美愛主」との抗争、「8・3抗争」も元をたどれば東京卍會参番隊隊長だったパーちんこと林田春樹の親友がやられた仕返しから始まった。


 マイキーは東京卍會メンバーを集め、「東卍にパーの親友やられてんのに迷惑って思ってる奴いる!? パーの親友やられてんのに“愛美愛主”に日和ってる奴いる? いねえよなぁ!!?」とメンバーたちをまとめ上げたのだった。


 さらに、抗争前パーちんらと共に作戦会議をしているところに「愛美愛主」が乗り込んで来ると、立ち向かうパーちんを静かに見守るマイキー。パーちんは気絶させられてしまったが、マイキーが一蹴りで長内をノックアウト。そして「東卍はオレのモンだ オレが後ろにいるかぎり 誰も負けねぇんだよ」と、パーちんが折れずに立ち向かっていった姿勢を称えるかのような発言をしている。複雑な家庭のマイキーだからこそ、仲間の大切さをひしひしと感じているのだろう。


 喧嘩も強くて仲間思いなマイキー。だが、子どもっぽ部分を持っており、それもまた魅力の一つになっている。彼はとにかく「無邪気」だ。外食していようが食後はすぐに寝るし、お子様セットについているはずの旗が無いとダダをこねているシーンも。作品の序盤、武道の学校に乗り込んできた時もそうだ。授業中でもお構いなし。勝手に教室に入り、「遊ぼうよ タケミっち」と笑顔で言い放つ。(12年前の東京卍會では)無碍に人を傷つけることはないものの、自分がやりたいと思ったことをやる。ある種の常識が通じない奔放さを持っているが、それもまた「マイキーらしさ」の一つだ。


 そんな人格かつ、複雑な家庭環境のせいだろうか。精神的な弱さを持つというギャップもある。12年後の現代でも、何があったかは定かではないが闇落ちしてしまっており、様々な凶悪犯罪に手を染めている。


 7回目のタイムリープ後、現代で武道と再会した時も「オレの人生は苦しみだけだった」という意味深な言葉を発している。「彼がもう少し鈍感力が高いタイプだったら……」、そう考えたことがある読者は少なくないはずだ。だが、この繊細さがあるが故、マイキーという人物が浮世離れてした儚くも美しい存在になっているのではないだろうか。


 そんなマイキーを実写映画では俳優・吉沢亮が演じる。吉沢はその容姿端麗さに注目が集まりがちだが、振り返ればこれまで様々な役をやってきた。『銀魂』や『BLEACH』などの漫画の実写作品への出演も多く、『斉木楠雄のΨ難』ではコメディ、『ママレード・ボーイ』では少女漫画の王道ヒーロー、『リバーズ・エッジ』ではミステリアスな役……と、かなり幅広い。


 しかもどれもハマり役であり、様々な顔を持つマイキーを演じるのに申し分の無い俳優だろう。もちろん、見た目の再現度も申し分ない。同作の岡田翔太プロデューサーも「吉沢くん以外に、この世界でマイキーを演じられる人、いないと思うんですよ。小柄な感じで、かわいい顔をしていて、最強。最初から『マイキーは吉沢くんしかいない、断られたらこの企画自体を止めよう』と思っていました」(引用元:https://eiga.com/news/20210421/6/)と話しているほどだ。原作のマイキーの魅力を再度確認しつつ、吉沢がマイキーをどこまで表せるかを楽しみに待ちたい。