新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、IT業界を中心にテレワークが普及した。結果として職場で同僚と顔を合わせる機会が減り、コミュニケーションのデジタル化も急速に進んでいる。テレワークやデジタル化は、会社に対する満足度にどのように影響するのだろうか。
アドビは6月3日、「業務のデジタル化と会社への満足度」に関する調査結果を発表した。調査は4月にネット上で実施し、昨年4月に新卒入社した500人から回答を得た。
「業務のデジタル化が進んでいると思わない」が6割
押印やFAXの廃止、書類の電子化といった"業務のデジタル化"が自分の職場では進んでいないと考える人が60.6%にのぼり、「とても進んでいると思う」と答えた人は9.8%に留まった。業務のデジタル化をもっと進めてほしいかを聞く設問では、全体の92.8%が進めてほしいと考えていることがわかった。
まだデジタル化できていない社内の慣習を聞くと、最多は「社内書類や決裁書の印刷と押印」(61.8%)。続いて「社外向け書類や契約書などへの押印や郵送」(53.4%)、「FAXの送受信」(44.8%)、「会議やプレゼンのための資料印刷」(37.6%)、「現金での小口清算」(22.4%)、「タイムカードの打刻」(16.4%)が挙がった。
このような業務がデジタル化すれば、業務効率が上がると思うと答えた人は82.0%。また、72.4%は業務のデジタル化は仕事のモチベーションに影響すると回答した。
企業選定でも業務デジタル化を重視
雇用契約書のやりとりといった入社手続きをオンラインで行った人は31.6%。一方、「紙や判子などを使って全てアナログで行った」と答えた人は68.4%で依然として多い。
もしこれからまた就職活動をするとしたら、企業の選定基準として業務のデジタル化が進んでいることはどのくらい重要だと思うかを聞く設問では、全体の70.8%が重要だと思うと回答。就活時の企業選定においても、重要な判断材料になり得ることが分かった。
また、勤務する会社の満足度を聞くと、「業務のデジタル化がとても進んでいる」と回答した人では「とても満足している」と答えた人が49%だったが、「業務のデジタル化が全く進んでいない」と回答した人では6.9%と、大きく差が開いた。
さらに、テレワークの実施頻度についても「テレワークを毎日実施している」と回答した人のうち「とても満足している」と答えた人は37.2%と高かったのに対し、「以前行っていたが現在は実施していない」と答えた人は6.7%、「実施したことはない」と答えた人は6.5%で、いずれも満足度が低かった。
同社マーケティング本部バイスプレジデントの秋田夏実氏はリリースで、
「テレワークの実施頻度や業務のデジタル化への取り組み度合いと、就業環境への満足度が比例することがわかりました。(中略)デジタル化の推進は、業務効率化・生産性向上に寄与するのみならず、採用の観点からも重要であると言えます」
とまとめている。