2021年06月02日 13:21 弁護士ドットコム
阪神などで活躍した元プロ野球選手の新庄剛志さんが6月1日、女性とのツーショット写真を撮った相手から、写真週刊誌への情報提供をやめる見返りとして金銭を要求されたことを明かした。
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新庄さんは、インスタグラムのストーリー機能で、送られてきたDM(ダイレクトメッセージ)の内容を公開。「多摩川競艇で女性といる瞬間を写真で撮らせていただきました。フライデーに情報提供するつもりです」「お金で送るのはやめることを検討しますがいかがしますか?」と書かれていた。
これに対して、新庄さんは、同じストーリー上で、「フライデーに売りつけるのは、勝手にすればいいが、金を払えば売りつけないみたいなDMは他の人に今後2度とするな」と要求に応じない姿勢を明確にするとともに、撮った写真で金銭を脅し取ろうとする相手を強く非難。「人間として情けない!!」と一喝した。
新庄さんへのDMは言葉遣いこそ丁寧だが、中身は「写真をネタにしたゆすり」だ。犯罪にはならないのだろうか。
冨本和男弁護士は「恐喝未遂罪が成立する可能性がある」という。
「『恐喝』とは、相手の反抗を抑圧しない程度の脅迫・暴行を加え、財物などを要求する行為をいいます。また、ここでいう『脅迫』は、相手方を畏怖させるような害悪の告知のことです。
著名人のプライベートな写真を撮り、週刊誌へ写真の提供をやめる見返りとして金銭を要求する行為は、通常、『恐喝』といえるでしょう。もっとも、恐喝した相手方が畏怖しなかったり、要求に応じなかった場合は、未遂にとどまります。
新庄さんの返答を見る限り、DMを送ってきた相手に対して恐れおののいている様子は見られませんし、金銭要求にも応じていませんので、成立するとしても恐喝未遂罪にとどまるでしょう」
勝手に新庄さんを撮った写真がゆすりのネタとなっているが、そもそも、個人が著名人のプライベート写真をひそかに撮ることは問題にならないのだろうか。冨本弁護士は「違法と判断される可能性はある」と話す。
「判例は、『何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有する』としたうえで、無断撮影が違法かどうかは、撮影される人の社会的地位、活動内容、場所、撮影の目的・態様などから、社会生活上受忍の限度を超えるものかどうかで判断されるとしています。
新庄さんは元プロ野球選手で、今なお知名度が高い方です。多くの人に知られる存在であり、一般人とは『社会的地位』が異なるといえますので、一般人より受忍限度が高いとも考えられます。
もっとも、今回撮られたのはプライベートな時間を過ごしているところのようです。撮られた場所が競艇場という不特定多数の人がいる公共の場とはいえ、最初からゆすり目的で撮った可能性も考えられ、違法な撮影と判断されることもあると思います」
【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp