2021年05月29日 09:51 弁護士ドットコム
食べ放題サービスを利用すると、「料金分以上は食べなきゃ」という心理も働くのか、ついつい頼みすぎてしまうことがあります。食べきれる分だけ頼むのが一番ですが、食べきれなかった場合、そのまま捨てられるくらいなら、持ち帰りたいという人もいるようです。
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弁護士ドットコムには、「食べ放題で食べ切れなかったデザートを持ち帰ったけど、犯罪になってしまうのだろうか」という相談が寄せられています。
相談者は後日、持ち帰った行為についてインターネットで調べてみると、犯罪に当たるかもしれないことを知ったため、食べ放題の店に連絡。謝罪したうえで、店側から「食べないで捨ててください」との指示を受けました。
食べ放題で頼んだ料理を勝手に持ち帰ると、犯罪になるのでしょうか。
冨本和男弁護士は「窃盗罪(刑法235条)が成立する可能性がある」といいます。
「一般に、食べ放題サービスは、一定の料金を設定したうえで、『決められた時間内に店内で好きなだけ食べてよい』とするものです。利用客には、頼んだ料理を食べる権利がありますが、持ち帰る権利まではないと考えられます。持ち帰ることは、通常、店の意思に反するわけです。
持ち帰りを禁止するルールや持ち帰る際には別途料金がかかる旨のルールを設定している店舗もあるかと思いますが、そのようなルールの有無にかかわらず、店側に無断で持ち帰れば、その時点で窃盗罪が成立します」
では、食べ放題ではなく、単品で注文した料理を持ち帰った場合はどうなのでしょうか。客の食べ残しを客自身が処分してくれるのであれば、店側としても不都合がなさそうに思えます。
「食べ放題の場合とは異なり、提供後の料理の処分は通常、客に任されていると考えられますので、単品で注文した料理を持ち帰る分には、店の意思に反するわけではなく、窃盗罪は成立しないと思います」
【取材協力弁護士】
冨本 和男(とみもと・かずお)弁護士
債務整理・離婚等の一般民事事件の他刑事事件(示談交渉、保釈請求、公判弁護)も多く扱っている。
事務所名:法律事務所あすか
事務所URL:http://www.aska-law.jp