真鍋昌平「九条の大罪」2巻が、本日5月28日に刊行された。
【大きな画像をもっと見る】「九条の大罪」は、どんな悪人でも依頼人であればあらゆる手段を駆使して擁護する弁護士・九条間人(くじょうたいざ)を主人公に描く、法とモラルの極限ドラマ。週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館)にて連載されている。2巻では高齢者介護施設の暗部に切り込んだ「家族の距離編」を展開。2巻の発売に際し、元外務省主任分析官であり作家の佐藤優、映画「すばらしき世界」を監督した西川美和、ブロガー・作家のはあちゅう、テレビ東京「ハイパーハードボイルドグルメリポート」などで知られるテレビディレクター・プロデューサーの上出遼平、弁護士の弘中惇一郎からはそれぞれ推薦コメントが寄せられた。
さらに2巻の発売を記念し、1巻に引き続きノベルティキャンペーンを実施。全国の対象書店で「九条の大罪」の単行本を購入した人に、「闇金ウシジマくん」の丑嶋馨と「九条の大罪」の九条間人の描き下ろしイラストカードが進呈される。対象書店のリストはスピリッツの公式サイトに掲載中。配布方法などの詳細は書店により異なるため、詳細は店頭にて確認しよう。
■ 佐藤優(作家・元外務省主任分析官)コメント
依頼人の利益のために何でもやる九条間人の姿が弁護人の理想だ。法律は道徳ではないという法曹界の現実を見事に描いている。きれいごとで済まされない日本の国家と社会の真実の姿を知るための必読書だ。
■ 西川美和(映画監督)コメント
おぞましくて、悲惨が過ぎて、とても見ていられない。大げさに描かれているのだと思いたいけれど、ページをめくるごとに、いや実はこれでもまだ現実よりは柔らかなのかもという気がしてきて、焦る。すべては私があちこちで気配を感じつつ、通り過ぎようとしていることの内幕なのかもしれない。知りたくない、けれどもうやめられない。アンダーグラウンドな領域、法律の領域へのリサーチの深度、またその膨大な情報を、複雑な物語へと昇華させる跳躍力に、敬服します。
■ はあちゅう(ブロガー・作家)コメント
道徳と法律は違う。SNSでどんなに騒がれても刑罰の程度は変わらない。弁護士は正義の味方なんかではなく、悪徳弁護士こそが依頼人にとっては最高の弁護士。「九条の大罪」に出てくる理不尽な出来事は、決して他人事じゃない。
■ 上出遼平コメント
これは現代社会を生き抜くためのワクチンだ。反吐が出るような理不尽の世界は意外なほどすぐそこで口を開けている。いかなる善人であろうと全く唐突に、食われ、呑まれ、落ちる。しかしそのとき「九条の大罪」を予め接種している者は生き抜くことだろう。真鍋昌平の執拗ともいえる取材に基づき描かれる世界は、リアルを煮詰めたスーパーリアルなのだ。
■ 弘中惇一郎(弁護士)コメント
ひゅんと、日常生活を柔らかく覆う殻が突き破られて、荒涼たる、しかし、現実感覚の溢れた世界が広がる。九条弁護士と烏丸弁護士の繰り広げる弁護活動は、ふつうの弁護士の目から見るとかなり逸脱していて、危なっかしい。それなのに、結果は悪くない。いや、素晴らしい。家族もなく、ビルの屋上でのテント暮らしという九条弁護士は、失う物が何もないという意味で絶対的強者でもある。作者は、弱い人間の哀れさと、そこにつけ込む悪や権力のむごさ、怖さを容赦なく描きだし、その上で、二人のスーパー弁護士を登場させて、落とし前をつけ、片付けていく。この展開は、描かれている場面がどろどろした社会の底辺であるのに、きわめて新鮮で爽快である。