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HKT48 森保まどかが語る、10年のアイドル人生で学んだこと 「勝ち負けが全てじゃない」

2021年05月27日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

HKT48・森保まどか

 HKT48の森保まどかが5月26日に卒業記念フォトブック『スコア』(KADOKAWA)を発売した。本作はタイトル通り、5月29日、福岡・アルモニーサンク北九州ソレイユホールで開催される「HKT48コンサート みんな 元気にしとった?」公演を最後に、HKT48を卒業する森保まどかのアイドル人生を凝縮した「総譜(スコア)」のような一冊となっている。


 HKT48の一期生として、またHKT48発のビジュアルユニット・Chouのメンバーとして駆け抜けること約10年。ピアノ一筋だった少女は、大所帯のアイドルグループに加入して、何を感じてきたのだろうか。本作の見どころと、アイドルとして活動した約10年間について語ってもらった。(とり)


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■素の自分をオープンにしたフォトブック


――本作は卒業記念フォトブックということで、約10年のアイドル人生の集大成となっていますね。仕上がりを見ていかがですか?


森保:約10年間で年齢的にも精神的にも成長し、心に余裕ができたからこその表情がたくさん出ていますね。全部、素の私の表情です。本作の撮影にあたり、私の要望を全部叶えてくださったんですよ。それも含め、悔いのない一冊になりました。


――具体的に、どのような要望を?


森保:フォトブックの構成として、男性ファンの方には彼女感を楽しんでもらえるように、女性ファンの方にはファッションを楽しんでもらえるようにしたいとお伝えしました。あとは、デビュー前にレッスンで通っていた中洲周辺の屋台で食べ歩きをしてみたいとか、大きな肉まんを食べたいとかですね(笑)。


――本作のなかで、森保さん的にお気に入りの衣装はどれですか?


森保:ベージュのボディスーツがお気に入りです。私服でもボディスーツを持っていて、普段はデニムと合わせることが多いんですけど、本作内ではニーハイと合わせているんですよ。フォトブックならではの斬新でかわいい着こなしができたので、嬉しかったですね。


――確かに、普段では絶対にやらない組み合わせですね(笑)。逆に、挑戦的だった衣装はありますか?


森保:ランジェリーですかね。恐らくファンの皆さんは「ランジェリー」と聞いて、大人っぽい衣装をイメージされたと思いますが、私が選んだのはかわいい系なので、なかなか珍しいランジェリーカットになったんじゃないでしょうか。


――本作は「言葉」「嫌い」「音楽」「夢」などをテーマに綴られた10編のエッセイも収録されています。それぞれ深い内容が綴られているので、読んでいて、森保さんの人物像が浮かび上がってくるようでした。


森保:これまでインタビューやブログで、お仕事やグループのこと、ファンのみなさんに対する思いを語ることはあっても、自分の頭のなかをオープンにすることはほとんどなかったので、少し恥ずかしかったです。でも、改めてブログに書くのも何だかなぁと思っていたので、写真含め、今の私の等身大をフォトブックに残すことができてよかったなぁ。


 アイドル時代の写真を並べたページもあります。10年分あるので厳選するのが大変で、編集担当の方には実際に掲載してもらった写真の倍近くの枚数を送ってしまったんですよ(笑)。そのなかからさらに選りすぐった写真が掲載されているので、私のアイドル人生を一緒に振り返る気持ちで、フォトブックを楽しんでもらえたら嬉しいです。


■福岡は第二の故郷


――撮影はオール福岡ロケです。森保さんにとって福岡とはどのような街ですか?


森保:HKT48に加入するまでは長崎に住んでいたので、福岡と言ったら大都会でした。中学生の頃、父が勝手に応募してHKT48のオーディションを受けることになったときも、福岡に遊び行けるのが嬉しかったから受けたくらいです。あれからもう10年。今は第二の故郷って感じですね。いつか離れる日が来るのかなって思うと、少し寂しいです。


――離れる予定があるんですか?


森保:私、いろんな場所に住んでみたいんですよ。とりあえず、東京近郊や北海道に住んでみたいですね。あと、名古屋の広い道路でドライブもしてみたいですし、大阪のわちゃわちゃした雰囲気にも憧れます。だから、いつかは福岡を出て暮らしているかもしれないなって。でも、これからどんな街に住んでも、HKT48のメンバーとして青春を過ごした福岡は忘れられない街だと思います。


――そんな第二の故郷・福岡のなかでも、本作では糸島や能古島、中洲の屋台など、観光地に行かれていますね。


森保:福岡に10年住んでいましたが、能古島に行くのは初めてだったので、プライベート旅行のような気分で楽しみました。ロケ中はずっと天気がよくて最高でしたよ。糸島に行ったときだけは曇り空でしたが、いざ撮影を始めるとパァっと晴れて。いつも以上に綺麗な海が見られて、HKT48として最後の福岡ロケがとてもいい思い出になりました。


■勝ち負けじゃなく、楽しむこと


――HKT48に加入して、約10年。楽しいこと、苦しいこと、いろいろあったと思いますが、ここまで続けてこられたモチベーションはどこにあったんでしょうか。


森保:実は、卒業はもっと前から考えていたんですが、2015年11月のHKT48劇場4周年記念公演でソロピアノアルバムの制作が発表されて。ソロプロジェクトとして、このアルバムを絶対に完成させたいと思い制作に励んだことが、ひとつ大きなモチベーションになっていましたね。昨年1月、約4年越しに『私の中の私』として発売し、コロナの状況を見て卒業発表させていただいた流れになります。


――では、制作の進行度によっては、もう少し早い卒業もあり得たんですか?


森保:そうですね。今年の11月がHKT48劇場10周年記念なので、ファンの方からは「10周年まで在籍していると思った」と言っていただくことが多いのですが、むしろ思っていたより長くグループにいさせてもらったという感じなんです。けれど、いざ卒業を前にすると、毎日のように顔を合わせていたメンバーともしばらく会えなくなってしまう寂しさから、今の時間を大切にしたいなってより一層思うようになりましたね。


――卒業公演まで後少しですね。


森保:メンバーと過ごす残り少ない時間、今まで以上にみんなとイチャイチャして過ごしています。普段は自分から話しかけに行くタイプではないのに、今は積極的に話しかけて、寝溜(だ)めならぬ話溜(だ)めをしているほどです。


――10年って相当長いですからね。そんなアイドル人生のなかで、森保さんが学んだことって何ですか?


森保:勝ち負けが全てじゃないということですね。HKT48に加入するまでは、ピアノ一筋でずっと勝負の世界にいたので、数字や勝ち負けをすごく気にしていました。でも、アイドルの世界では、失敗が全てマイナス評価になるわけではないんですよね。失敗した姿からファンの方が魅力を感じてくださったり、思いも寄らないいい方向に転がったりして。こんな世界があることを知れたのは、私の人生において大きな学びでした。


――48グループは選抜制度や総選挙があって、一見すると厳しい勝負の世界にも見えます。


森保:私もそう思っていました。最初はどうしても順位を気にしていましたし、選抜に選ばれなかったときは本当に悔しかったです。でも、順位が下がることや、選抜から落ちることで見られる景色がありましたし、そこで踏ん張ることで、ファンのみなさんがもっといいポジションにいけるよう背中を押してくれることもあって、ただ負けたわけではないんだと、だんだん理解できるようになりました。もちろん、順位を上げることや選抜に入ることには意味があります。ただ、それだけが全てじゃないんだと身をもって感じられたときに、本当の意味でアイドルを楽しめるようになった気がします。


――説得力がありますね。ピアノ一筋だった人生からアイドル一筋の人生になり、今日まで駆け抜けてきました。今後はどんな人生を歩みたいですか?


森保:HKT48ではお姉さん的な立ち位置だったので、これからは後輩的なポジションを味わってみたいです。今23歳なので、世間的には新卒1年目くらいですよね。まあ、私は既に社会人10年目なんですけど(笑)。HKT48にいるときは年上メンバーらしく振る舞っていましたが、実際はそんなにしっかりしている人間じゃないんです。だから卒業後は、新社会人のような気持ちで、年上の方からいろんなことを学んでいきたいですね。


――社会人10年目はだいぶベテランですね(笑)。では最後に、そんな10年間の思いが詰まったフォトブックを見てくださる方にメッセージをお願いします。


森保:インタビューでもお話ししましたが、私の素の表情が見られるフォトブックになっています。ピアノや肉まんなど「あ、森保まどかだね!」と感じていただけるようなカットが満載なので、10年を振り返りながら楽しんでもらえたら嬉しいです。たくさん読んでください!