自分に合わない職場からは、早めに身を引くのも一つの手だ。健康な体さえあれば、一時的に食い扶持を失っても、無収入が続くことはないだろう。劣悪な環境に身を置き続けた結果、心身ともに支障をきたせば、働くこともままならない。
京都府の30代女性は、かつて職人の世界に足を踏み入れ、そのことを身をもって体験した一人だ。
「大事な収入源でしたが、それよりも辞めたことの方が満足です。自分の健康を大切にしたいし、我慢して働くことはやっぱり無意味。割り切って収入源と思えるだけの仕事なら、私はアルバイトの方がいいと思いました」
女性は伝統工芸の刺繍職人を目指すも、1か月半で断念した。辞めた理由については「師匠が生理的にも合わず、ストレスに感じたので」と語っている。(文:鹿賀大資)
職場は師匠の自宅「シンクに吐いた痰が残っていて……」
勤務時間は9~18時。その間は、師匠の男性が付きっきり。お昼を過ぎると師匠の母親も加わるため、「気を遣って一人になる時間がなかった」と苦しい胸中を明かす。また職場が師匠の自宅だったことも、妙な生活感にストレスを積もらせた要因と語る。
「寝床のそばでの作業で、布団もそのまま。脱いだ靴下も、ところ構わず投げ捨ててありました。あとシンクに吐いた痰が残っていて……。他人の生活の中に入る仕事は、奥さんになるつもりじゃない限り、できませんよ」
そうしたなか、女性が仕事を辞める決定打となる出来事が起こる。
「こんな人のもとで働きたくないと思いました」
師匠との意思疎通に困っていた女性は、思い切ってその旨をはっきりと伝えてみた。ところが師匠は「お前と俺は恋人同士じゃないんだから(意思疎通なんて)必要ないだろ」と言い放ったという。この言葉で辞める意思が固まった女性は、その旨を師匠に伝えると、「俺だって継ぎたくもない仕事をしている。やりたくてやっているわけではない」と小言を言い始めた。
「余計にこんな人のもとで働きたくないと思いました。職人の世界なので、すぐに技術を習得することはできないと心得ていました。でもこれから先、毎日9時間×月22日間、それが何年も続くと思うと自分の人生を台無しにしそうで……」
女性は「人間性は仕事をする上で本当に大事なポイントだと、身に染みてと分かりました」と綴っている。
ほかには、
「2週間で家具作りの会社を辞めた。木を加工する時に出る粉で苦しくなり、身体を壊した」(30代男性/秋田県)
「設備会社を2~3か月で退職。そこ特有の飲みニケーション代が月5万円でした。それに設計担当の先輩が部品図しか書けず、彼との不和も大きいです。今は精神的に安定し白髪が減りました。収入的には落ちましたが、飲み代がなくなったので生活収入は増えています」(40代男性/神奈川県)
「レストランのキッチンに、ヒステリックな上司がいて。教え方も悪く、動きも遅かったです。結局3回しか出勤していません。今はスッキリしています」(50代女性/茨城県)
といった声も寄せられた。
※キャリコネニュースでは引き続き
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