メルセデスF1のチーム代表を務めるトト・ウォルフは、予選で赤旗の原因を作ったドライバーの最速ラップを抹消するルールをF1に採用することを支持しており、そうしたレギュレーションによってクラッシュが意図的であったか否かについての憶測を止めることができるだろうとしている。
シャルル・ルクレール(フェラーリ)はホームレースとなった第5戦モナコGPの予選Q3で最速タイムを記録したが、セッション終盤にプールサイドシケイン出口でクラッシュした。このインシデントによってQ3終了まで1分に満たない時点で赤旗が出され、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)、カルロス・サインツJr.(フェラーリ)、バルテリ・ボッタス(メルセデス)の3人は、ルクレールのポールポジションに挑むことができなくなった。
土曜日の状況は、2006年のラスカスにおいてミハエル・シューマッハーが起こした“不運”を思い起こさせる。シューマッハーのライバルたちは、ポールポジションを巡る最後の一発のタイムを出すことができなかったのだ。だが当時の場合は、シューマッハーの不審な動きに対し日曜日のグリッド最後尾への降格ペナルティが科された。
ルクレール車の損傷の程度と、ギヤボックス交換となった場合にポールポジションを失うことが確かであることを考慮すると、ウォルフはルクレール側に悪意があったとは考えられないという。
「確かにシャルルがモナコでポールポジションにいたら素晴らしいストーリーになる。マックスよりもシャルルがポールにいる方がいっそう良いだろう」とウォルフはばかげた陰謀論を一蹴する前に語ったと『The Race』は報じている。
しかしながらウォルフは、ラップ抹消ルールはドライバーの行動についてのいかなる憶測も止めることができるだろうと同意した。アメリカのインディカーでは採用されており、有用であることが証明されている。
「それがアメリカでのルールだとは知らなかったが、混乱を避けることができる知的なルールだと思う」
「今日シャルルがウォールに(意図的に)ぶつかったとは決して考えていない。なぜなら犠牲が多過ぎるからだ」
「だがそのような状況が生み出す論争を問題外とし、起きないようにすることは、小さくとも素晴らしい動機となるだろう。なぜなら誰も疑うことをしなくなるからだ」
さらにウォルフは、ルクレールのミスを疑ってはないことを再度明確にした。
「過去に我々がモナコで見てきたすべてのインシデントがそうだったように、正確に何が起きたのか分かるのはドライバーだけだ」
「あのケースについては、マシンがさらに酷いダメージを負う可能性もあったのに、シャルルがウォールに衝突することにしたのだとは思えない」