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勝田貴元、表彰台を期待させる走りで自己ベストの4位入賞「これからも努力し続ける」/WRC第4戦

2021年05月24日 18:51  AUTOSPORT web

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WRC自己最高位の総合4位でフィニッシュした勝田貴元(トヨタ・ヤリスWRC) 2021年WRC第4戦ポルトガル
TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムから2021年シーズンのWRC世界ラリー選手権の最高峰クラスに、トヨタ・ヤリスWRCでフル参戦している勝田貴元は5月20~23日、ポルトガルで2年ぶりに開催された今季第4戦『ラリー・ポルトガル』に参戦。自己ベストリザルトを更新する総合4位でフィニッシュし、ドライバー選手権ランキング6位につけた。

 開幕戦モンテカルロから3戦連続で、これまでの自己最高位である総合6位入賞を果たしてきた勝田。今シーズン最初に行われるグラベル(未舗装路)ラリーを迎える直前にレッドブルとアスリート契約を交わした彼は、このポルトガルでのラリーを過去3度経験しているものの、WRカーでの出場は今回が初めて。

 また、ピレリのグラベル用タイヤを履いてのラリーも今回が初めてだったため、路面に合ったコンパウンドのタイヤを選び、いかにタイヤマネジメントを行うかが今イベントでの大きなポイントとなった。

 ポルトガルのステージは“ルーズグラベル”と呼ばれる粒子の細かい砂状のグラベルに覆われている路面が多いが、その下には硬い岩盤や石が隠れておりラリーカーが通過するにつれて、それらが表面に表れてくる。すると同じステージでも1走目と2走目でキャラクターが異なる“トリッキー”なコンディションとなる。

 そんななか、直近の3ラウンドでスピードと安定感を進化させてきた勝田は今戦でそのレベルをさらに1段階高め、初日のデイ1で計3回のトップ4タイムを記録し、一時はトヨタ勢最上位につける。

 総合4番手まで浮上した勝田は翌日のデイ2でも好調をキープし、この日はチームメイトで7度のワールドチャンピオン、セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)と何度も順位を入れ替える好バトルを展開。競技2日目を終えた時点で、7冠王者とわずか1.5秒差の4番手につけて最終日を迎えることとなった。

 日曜のデイ3はラリーを完走して経験を積むことを優先し、順位を落とすことなくすべてのステージを走破した彼は総合4位でフィニッシュし、WRCキャリア自己最高順位を更新してみせた。

「この週末はいい戦いができたと思います。難しいラリーで、どのステージも非常にトリッキーでした」と戦いを振りかえった勝田。

「土曜日の夜に1度だけ危ない場面がありましたが、大きな問題はなく乗り切ることができましたし、チームはいつものように素晴らしい仕事でクルマを直してくれました」

「今回は、決して楽な週末ではなかったですし、特に最終日は自分にとって厳しいものでしたが、それでもキャリア最高の結果で走り終えることができました」

■「タカが前途有望であると改めて確信した」とハンニネン

 WRCトップドライバーたちと一緒に戦えたことを「うれしく思う」と語った勝田は、「以前と比べれば確実に一歩前進した」という。

 その一方で、まだまだ改善すべきことは多い、と述べ「正しい方向に進み続けるために、これからも努力し続けます」と、さらなる飛躍を期待させるコメントを残した。

 そんな勝田のインストラクターを務めるユホ・ハンニネンは、「今回タカがとても素晴らしい戦いをしてくれたことを、本当にうれしく思う。今年、彼は急速に成長しているが、その姿を見るのは素晴らしいことだ」と評価している。

「これまでのラリーでも彼は良い結果を残し、安定したタイムを記録してきたが、今回はさらに大きく前進したと思う」

「全ステージでミスをすることなく安定して速く走り続け、土曜日は1日を通してセバスチャン(・オジエ)と戦ったが、その姿を見て私はとてもうれしくなった」

「今回、タカはとてもリラックスしていて、ドライビングを楽しみ、クルマのセットアップをあまり変えることなく、ひたすらドライビングに集中していた」

「また、今年の開幕戦からの好成績も自信につながり、スピードと安定性の両方が底上げされていった。そして今回、表彰台争いに加わり、総合4位でフィニッシュしたことで、彼が前途有望であると改めて確信したよ」